創造魔法で想像以上に騒々しい異世界ライフ

埼玉ポテチ

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第三十二話

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 魔法学院の入学試験の日、ユーリは馬車で学院まで向かった。普段は貴族の息子と言うのがバレない様に極力馬車は使わない様にしている。

 学院の試験は筆記だけで実技は無い。魔法は通常、学院へ入ってから勉強するものだからだ。子供の魔力量は少ないので、きちんとした設備で練習をしないと危険だと言うのもある。

 筆記だけの試験ならユーリには『賢者の叡智』がある。まあ、満点を取って目立っても不味いので、そこそこの点数を取れる様に細工する。

 魔法学院は5年制である。つまり姉上は既に卒業している。実は15歳の時に婚約をして、卒業の16歳を待って結婚をして既に子供も居る。相手は侯爵の次男だそうだ。
 ちなみに長男のアルフリードも結婚しており既に2人の子供が居る。次男のジークハルトはまだ独身だが、婚約者が居る。これも相手の貴族学院卒業を待って結婚するそうだ。

 この日は筆記試験を受けて伯爵家へ帰る。特にテンプレな展開は無い。合格発表は四日後、魔法学院はまず落ちる事は無い。

 四日後無事に合格を貰い。学院へ行く準備をする。基本王都に住む者は通いだ。地方から来る者の為の寮もあるが、人数はあまり多くない。学院へ通うのは貴族7割庶民3割と言った感じだろうか。女子は将来の伴侶目当てが多い。

 いつか、姉上と訪れた事のある魔法屋で必要な物を揃える。必要な物と言っても大抵の物は魔法で作れるので、教科書と杖だけを買った。

「へぇ、これが杖か、確か魔法の速度と精度が上がるんだったっけ。」

 杖を振ってみて満足気に頷くユーリであった。

 














 そして初登校の日、ユーリは母上と共に学院へ来ていた。午前中に入学式があり。午後からクラス発表や説明会があるらしい。

 ユーリの入試の成績は上の中、一番目立たない位置だ。クラスはAクラス。1クラス30人程度の編成になっていて、クラスはFまである。

 折角だから友達を作りたいユーリであった。Aクラスには貴族が中心に集まっていて、平民の子女は3人しかいない。あの3人は肩身が狭いだろうなと不憫に思う。

 生徒たちは緊張しているのか意外に大人しく、トラブルなどは起こらなかった。説明会は順調に終わり。明日から本格的に授業が始まる事になる。

 翌日から授業が始まるが、1週間は座学のみである。この間に魔力の伸ばし方なども教わるので、重要と言えば重要だが魔法が使えると思っていたユーリは肩透かしを食った気分だ。そこでこの期間を利用して友達を作る事にした。

 ユーリはあまり貴族っぽく見られない。そこで最初に声を掛けたのは平民の3人組だ。この3人はクラスに平民が3人しか居ないので常に行動を共にしている。

「ねぇ。僕も仲間に入れてくれないかな?」

「え?あなた貴族でしょ?なんで?」

平民の3人はルーカスと言う背の低い男子と、ユーカと言う元気系の女の子、そして、今ユーリに返事したリーダー格のイルミと言う女の子だ。イルミは大商会の令嬢らしく、貴族にも物おじしない。

「うーん、あんまり貴族って好きじゃないんだよね。話合わないし。」

「変わってるわね君、名前は?」

「親しい人はユーリって呼ぶよ。」

「じゃあ、私たちもユーリって呼ぶわ。それで良い?」

「構わないよ。で、これからお昼休みだけど、皆はどうするの?」

「学生食堂で軽い物を食べながら授業の復習をしようかと。」

 3人組は結構真面目な様だ。まあ、しっかり勉強しないとクラス落ちもあるから結構大変なのかもしれない。平民だと、成績上位者には奨学金が出ると言う話も聞いた事がある。

「じゃあ、僕も一緒して構わないかな?」

「良いよ~!」

 4人で連れ立って学生食堂へと向かう。学生食堂は国から補助金が出ているので安い金額で十分な物が食べられるので平民の生徒達には人気だ。しかし、貴族達は見栄があるのか弁当を持参する者も多い。

 この5年間でアトマス商会はレシピや食材を大量に販売している。その影響か、庶民の食事レベルは10年は進んだとユーリは思っている。この学生食堂がどんな物を食べさせてくれるのか、期待してしまう。

「みんな日替わりで良い?ユーリ君は?」

「あ、僕も同じで。」

 日替わり定食は銅貨2枚で食べられる、一番安いメニューだ。受付カウンターでメニューを言ってお金を払い左にずれて食事を受け取る。
 空いてる席を見つけ皆でそこに座った。こう言う構図だと男女2人ずつになるよね。メニューは煮込みと何かのフライ、それからパンだ。

 とりあえずパンを2つに割ってみる。ふわふわとはいかないが昔の様な固いパンではない。これでも進歩かな。煮込みは塩味だが、肉と野菜がたっぷり入っており良い味がする。フライはやはり塩味でコロッケの様だった。ソースが欲しい所だ。

「どう?口に合うかしら?普段良い物食べてるんでしょ?」

「いや、美味しいですよ。貴族だって毎日贅沢している訳じゃありません。特に下級貴族はね。」

「そう?私は満足してないわ。家の料理の方が美味しいし。」

「イルミさんの家は食材とか扱ってる商会なんですか?」

「もちろん食材も扱ってるわ。他にも貴金属や調度品も扱ってるし、貴族の御用商人って所かしら。」

「なら、この食事じゃ満足できませんね。では、こう言うのは如何ですか?」

 ユーリは紙に包まれたチーズバーガーを3人の目の前に出してあげる。

「これは?」

「まあ、食べてみて下さい。まだ温かいですよ。」

 3人は恐る恐るチーズバーガーを口にし同時に吃驚するのであった。




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