創造魔法で想像以上に騒々しい異世界ライフ

埼玉ポテチ

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第五十五話

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 面接から3日後、学院の休みの日に合わせて店舗をオープンする事にした。一応学院の生徒達には口コミを掛けているがそれ以外の宣伝はしていない。休みの日と言う事もあってメンバー全員が店舗に集まっているが、手伝いをするほど忙しくなるとは思えない。単純に興味本位だろう。

 10時を迎え、開店の為にアロマが店の扉を開きクローズの札をひっくり返してオープンに変える。今日はそのまま扉を開きっぱなしにして置く。これは開店しましたよと言う合図でもある。

 アロマとリーズはシャンプーをし口紅を付けてるせいかこの間より大人っぽく見える。ユーリたちはバックヤードにテーブルと椅子を並べお菓子と飲み物を摘まんだり飲んだりしている。

 やはり開店してすぐには客は来ない。リーズに声掛けをするように指示をする。

「雑貨屋イルミ本日開店です!他には無い商品が揃ってますので是非覗いて行って下さい!!」

 流石にプロらしく、恥ずかしさは皆無だ。声も良く通る。そのままリーズには数分に1回の割合で声掛けをして貰う。

 20分位過ぎた頃に最初の客がやってきた。年恰好からすると学院の生徒だろう。一通り店を見て回ってシャンプーと石鹸を買って行った。

 午前中の客は全部で4組だった。アロマとリーズに交代で食事を取る様に指示しテーブルにメンバーの分も軽食を出す。メニューは簡単に済ませられる様にパスタにした。

 午後になると買い物客も増え、外の通りを歩く人も多くなる。気になって覗いて行く客もぽつぽつと来るようになった。値段を見て安いと言う割には買って行かない。

 15時過ぎに貴族の子女っぽい団体が来た。学院関係者かな?

「あれは貴族学院の生徒ですね。あのマントが目印です。」

 そう、アルトが言った。

 貴族学院の生徒達は結構な大量買いをしてくれたので、これからもメインの客層になるかもしれない。本も結構な数売れたし、女生徒は下着を大量買いして行った。

 魔法学院生以外でも本を読む層は皆無と言う訳では無さそうだ。その後も、貴族学院の生徒は何組か団体で買い物をして行った。初日なのであまり売り上げは無いと考えていたが嬉しい誤算だ。

 夕方になるとギルド職員や他の商店の店主などが新しい店がどんな店か偵察半分でやってくる。ギルド職員は文字が読めるので珍しがって本を買って行ってくれた。他店の店主たちは奥さんへの土産に鏡や口紅を購入して行く。

 閉店の17時にアロマがクローズドにすると。全員で今日の売り上げを確認する。銅貨300枚以上の売り上げになった。日本円で3万円強である。初日としては悪く無い。商品の殆どが銅貨5枚なので、品数にすれば60品は出た計算になる、この店は口コミだけでやって行くつもりなので今日買い物をした客が口コミしてくれれば売り上げは徐々に伸びて行くだろう。

 学院販売部のメンバーは満足して帰路につく。ユーリは店員2人に明日からもよろしくと声を掛けて店を出た。

 翌朝学院へ行くと部室でメンバーが盛り上がっていた。

「いやあ、実店舗で商品が売れるのを見るとテンション上がるよね。」

「そうね、自分たちで売るのも達成感あるけど、他の人に売って貰うとまた違う感慨があるわね。」

「こうなると新製品を考えないとね。」

 良い傾向である。商店が刺激になって皆のやる気がアップしている。

「おはよう!みんな随分とやる気があるようだね。その調子で新製品のアイデア考えてね~」

「あ、ユーリ君おはよう!」

「新製品では無いんですが、日持ちする甘い物って駄目ですかね?貴族のお茶会やちょっとしたお土産に持って行ったりするのに使える物って売れると思うんですがどうでしょう?」

 珍しくキルケが提案して来た。

「ん~、日持ちするって、具体的には何日くらい?」

「そうですね、1週間から10日位持てば十分かと。」

「だとすると、パウンドケーキかな。」

「パウンドケーキ?ですか?」

 1.5センチ位の幅に切ったパウンドケーキを皿の上に並べてテーブルに出してみる。フォークも出すのを忘れない。

「これなら開封しなければ10日位持つよ。開封したら早めに食べないといけないけどね。」

 皆味見に夢中だ。ちゃんと聞いているのだろうか?

「美味しいですね。砂糖の甘さも上品ですし。これは売れると思いますよ。」

「だったらさぁ、ポテトチップスも売って欲しいな。」

 ルーカスが不満そうだ。

「学院でお菓子を売るのはどうかなと思うんだ。売るなら商店限定になるけど良いかい?」

「私はそれでも構いません。」

「僕も構わないけど、安くしてくれよ。」

「パウンドケーキは銅貨5枚で、ポテチは銅貨1枚でどうかな?」

「ポテチはどの位の量入ってその値段?」

 この位かなと言いつつ大きめの紙袋にポテチを入れてルーカスに差し出す。70グラムに設定してみた。

「これで銅貨1枚なら安いな。おやつ用に買いに行くよ。」

「ちなみにパウンドケーキは大きさが決まっていて、このサイズになるよ。」

 そう言って切り分けてないパウンドケーキをビニールで包装してキルケに渡す。

「結構大きくて重いですね。」

「どれどれ、私にも持たせて。」

 イルミが横から手を出しキルケからケーキを受け取る。

「あ、本当だ、結構重い。」

 全ての材料を100グラムで統一して作ったので400グラムある。長さは16センチ位だ。ちなみにパウンドケーキは小麦粉、砂糖、卵、バターをそれぞれ1ポンドずつ使って作るのでその名が付いている。ユーリのパウンドケーキはラム酒を保存料として少しだけ加えて、バニラエッセンスも使っている。

「このサイズなら切り方次第で適当な人数に対応できるでしょ?」

「いいんじゃない?店舗オリジナル商品って言う事で口コミを掛ければ店舗に行く人も増えるだろうし。」

「じゃあ、お菓子は店舗限定で決定ね。最初はケーキとポテチで、後々増やして行っても良いしね。」

 こうして、店舗オリジナル商品が誕生した。
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