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第六十三話
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そこに宰相が割って入る。
「確かに色は黒かったが、あの大きさはエンシェントドラゴンで間違いありません。そもそもブラックドラゴンはレッドドラゴンより凶暴だが体躯はレッドドラゴンより一回り小さいと言われている。」
「って事は、僕はブラックドラゴンと間違ってエンシェントドラゴンを倒してしまったと?」
「そうなるな。ちなみに歴史上エンシェントドラゴンを退治したと言う記録は無い。しかも君は単独で勝利している。」
「この前代未聞の功績に我々はどう報いればよいのか王家だけでなく上級貴族が集まっているのもその為じゃ。」
(またやっちまったよ~ヤバくない?)
「それでだ、本人の希望を聞くのが一番手っ取り早いのではと宰相が言うでな、ユーライナよ何を望む?」
「あの~、僕は3男でして、成人したら平民扱いになります。」
「解った。皆まで言うな。そちを子爵に叙爵しよう。領土も与える。更に、エンシェントドラゴンの遺骸は王家で買い取ろう。こんな所でどうじゃ?」
「はい、それで結構です。」
「しかし、意外に欲が無いな。王宮魔導士や宝物庫には興味は無いのか?魔剣や聖剣もあるぞ。」
「はい、物欲はありません。僕は商売が出来れば幸せです。」
「カザフもそれで良いか?」
「はい。ユーライナのやりたい様にできればそれが一番です。」
「解った。謁見は以上だ。後の事は宰相に任せる。」
この言葉で謁見は終わった。
「しかしユーリ、目立つのは嫌いだったのではないのか?国に取り込まれるのも嫌だと言って無かったか?」
「覚えていたんですか?それは今も変わりません。しかしちょっと事情がありまして、貴族の身分が必要になったのです。」
「ほう?女か?」
「な、何故それを・・・」
「男とはそう言う生き物だ。まあ、お前はいずれ貴族になると思って居たがな。予定よりだいぶ早かったが。」
父上と一緒に伯爵家に帰り母上や家族皆に叙爵された報告をする。
宰相の話では領地とドラゴンの買い取りは後日行うとの事だった。取り急ぎ叙爵だけ済ませて。ドラゴン騒ぎを治めるべく走り回っていた。忙しい人だ。
「父上、領地を賜ると王都へは来れなくなるのですか?」
「いや、貴族と言うのは半年は領地、半年は王都で暮らすものだ、お前も王都に家を構える事になるだろう。」
「学院はどうしたら良いのでしょう?」
「事情を話せば卒業扱いにしてくれるよ。その辺は心配しなくても私がやって置く。」
「商売は続けても大丈夫ですよね?」
「そうだな。新領地でも色々やりたいんだろう?」
流石父上は解っている。貴族が商売をするのは禁じられて居ない。ただし、直接貴族が動く事は少ない、大抵は商会を作り、そこの会頭に任せるのだ。しかし、王都に半分居るならアトマスさんを連れて行くわけには行かない。誰か新しい人を向こうで見つけよう。
イルミとユーカの件も早めに片づけないとな、変な横やりが入ったら苦労した意味が無い。明日、学院であったら相談してみよう。
あれ?何か忘れてる気がするぞ。なんだろう?
無名の青年が突如叙爵され子爵になる・・・
貴族が1つ増える訳だ。当主は成人前の学院生、僕が貴族の当主なら娘をどうにか押し込もうとするだろう。って、ヤバいヤバい。まだ、誰が叙爵されたかはそれ程広まってないはずだ、今のうちに手を打たないと。
そう言えば領地を貰えるって話だけど、あんまり辺境だと嫌だな。出来れば王都と交易できるくらいの場所だと良いな。
イルミとユーカはどうしよう?領地へ置くか王都に置くか悩むところだな。あ、一緒に行動しても良いのか。でも子供が出来たらあまり移動するのもなぁ。
考える事が沢山あり過ぎる。神様の宿題もあるし。でも、なんか楽しいな。
その頃王城では国王と宰相が2人きりで密談をしていた。
「あのユーリと言う子どう考える?」
「そうですね、個人で持つには力が大きすぎるかと。」
「そちも、そう思うか?しかし、あれを抑え込むのは難しいぞ。」
「確か、オーバルバイン伯爵は公爵派でしたね。公爵には今年12歳の女児が居たはず。公爵家の娘を娶れば王家と姻戚関係になるのではありませんか?」
「なるほどな、しかし子爵では嫁にやれんぞ。」
「では、何か功績を上げさせて伯爵に陞爵させては?伯爵ならば上級貴族ですので公爵から嫁がせても問題無いかと。」
「まだ成人もしておらん子供を伯爵にか・・・」
「子供ですが、ただの子供ではありません。今のうちに手を打って置くのが吉かと。」
「ふむ、上手い事やってくれよ。」
「畏まりました。」
恐れていた国の囲い込みと言う策略を巡らされているとは知らずに、浮かれているユーリであった。
一方イルミは、王都でドラゴン騒ぎがあったと分かった時にユーリが作戦に成功したと確信を持っていた。ユーリが自分とユーカを嫁に迎える為に貴族になる決断をした事は解っている。イルミは純粋にそれを嬉しいと思った。もうすぐ14歳になる。14歳になれば婚約が可能だ。自分はユーリの妻になる。まだ、実感は湧かないが、そう思うだけで体が温かくなる。
「確かに色は黒かったが、あの大きさはエンシェントドラゴンで間違いありません。そもそもブラックドラゴンはレッドドラゴンより凶暴だが体躯はレッドドラゴンより一回り小さいと言われている。」
「って事は、僕はブラックドラゴンと間違ってエンシェントドラゴンを倒してしまったと?」
「そうなるな。ちなみに歴史上エンシェントドラゴンを退治したと言う記録は無い。しかも君は単独で勝利している。」
「この前代未聞の功績に我々はどう報いればよいのか王家だけでなく上級貴族が集まっているのもその為じゃ。」
(またやっちまったよ~ヤバくない?)
「それでだ、本人の希望を聞くのが一番手っ取り早いのではと宰相が言うでな、ユーライナよ何を望む?」
「あの~、僕は3男でして、成人したら平民扱いになります。」
「解った。皆まで言うな。そちを子爵に叙爵しよう。領土も与える。更に、エンシェントドラゴンの遺骸は王家で買い取ろう。こんな所でどうじゃ?」
「はい、それで結構です。」
「しかし、意外に欲が無いな。王宮魔導士や宝物庫には興味は無いのか?魔剣や聖剣もあるぞ。」
「はい、物欲はありません。僕は商売が出来れば幸せです。」
「カザフもそれで良いか?」
「はい。ユーライナのやりたい様にできればそれが一番です。」
「解った。謁見は以上だ。後の事は宰相に任せる。」
この言葉で謁見は終わった。
「しかしユーリ、目立つのは嫌いだったのではないのか?国に取り込まれるのも嫌だと言って無かったか?」
「覚えていたんですか?それは今も変わりません。しかしちょっと事情がありまして、貴族の身分が必要になったのです。」
「ほう?女か?」
「な、何故それを・・・」
「男とはそう言う生き物だ。まあ、お前はいずれ貴族になると思って居たがな。予定よりだいぶ早かったが。」
父上と一緒に伯爵家に帰り母上や家族皆に叙爵された報告をする。
宰相の話では領地とドラゴンの買い取りは後日行うとの事だった。取り急ぎ叙爵だけ済ませて。ドラゴン騒ぎを治めるべく走り回っていた。忙しい人だ。
「父上、領地を賜ると王都へは来れなくなるのですか?」
「いや、貴族と言うのは半年は領地、半年は王都で暮らすものだ、お前も王都に家を構える事になるだろう。」
「学院はどうしたら良いのでしょう?」
「事情を話せば卒業扱いにしてくれるよ。その辺は心配しなくても私がやって置く。」
「商売は続けても大丈夫ですよね?」
「そうだな。新領地でも色々やりたいんだろう?」
流石父上は解っている。貴族が商売をするのは禁じられて居ない。ただし、直接貴族が動く事は少ない、大抵は商会を作り、そこの会頭に任せるのだ。しかし、王都に半分居るならアトマスさんを連れて行くわけには行かない。誰か新しい人を向こうで見つけよう。
イルミとユーカの件も早めに片づけないとな、変な横やりが入ったら苦労した意味が無い。明日、学院であったら相談してみよう。
あれ?何か忘れてる気がするぞ。なんだろう?
無名の青年が突如叙爵され子爵になる・・・
貴族が1つ増える訳だ。当主は成人前の学院生、僕が貴族の当主なら娘をどうにか押し込もうとするだろう。って、ヤバいヤバい。まだ、誰が叙爵されたかはそれ程広まってないはずだ、今のうちに手を打たないと。
そう言えば領地を貰えるって話だけど、あんまり辺境だと嫌だな。出来れば王都と交易できるくらいの場所だと良いな。
イルミとユーカはどうしよう?領地へ置くか王都に置くか悩むところだな。あ、一緒に行動しても良いのか。でも子供が出来たらあまり移動するのもなぁ。
考える事が沢山あり過ぎる。神様の宿題もあるし。でも、なんか楽しいな。
その頃王城では国王と宰相が2人きりで密談をしていた。
「あのユーリと言う子どう考える?」
「そうですね、個人で持つには力が大きすぎるかと。」
「そちも、そう思うか?しかし、あれを抑え込むのは難しいぞ。」
「確か、オーバルバイン伯爵は公爵派でしたね。公爵には今年12歳の女児が居たはず。公爵家の娘を娶れば王家と姻戚関係になるのではありませんか?」
「なるほどな、しかし子爵では嫁にやれんぞ。」
「では、何か功績を上げさせて伯爵に陞爵させては?伯爵ならば上級貴族ですので公爵から嫁がせても問題無いかと。」
「まだ成人もしておらん子供を伯爵にか・・・」
「子供ですが、ただの子供ではありません。今のうちに手を打って置くのが吉かと。」
「ふむ、上手い事やってくれよ。」
「畏まりました。」
恐れていた国の囲い込みと言う策略を巡らされているとは知らずに、浮かれているユーリであった。
一方イルミは、王都でドラゴン騒ぎがあったと分かった時にユーリが作戦に成功したと確信を持っていた。ユーリが自分とユーカを嫁に迎える為に貴族になる決断をした事は解っている。イルミは純粋にそれを嬉しいと思った。もうすぐ14歳になる。14歳になれば婚約が可能だ。自分はユーリの妻になる。まだ、実感は湧かないが、そう思うだけで体が温かくなる。
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