【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ

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第1章 復讐の魔女

第11話 冒険者デビュー

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 チュンチュンという小鳥の囀りと暖かい春の陽射しが窓から注ぎ込む中で、目覚める私が最初に目にしたのは細くて柔らかそうな足だった。

 続いて聞こえるのはベレニスの寝息。
 お~いベレニス? 何故に反対向きで寝ているんだ?
 私の足に顔を埋めて……

 私はベレニスの足をそっと退けると、ベッドから降りて伸びをする。

 ん~っ! いい朝だ! 下着姿の私とベレニスだけど、全然寒くない。
 今日は冒険者デビューするし、身支度してギルドに行かなきゃ!
 服に袖を通すと、ベレニスを揺すり起こす。

 ふわぁ~とあくびをしながらムクッと起き上がったベレニスは、下着姿でキョロキョロするとまたコテッとベッドの上に倒れる。

「まだ早い……あと10時間……」

「って! 単位がおかしい! もう、ほら起きて。朝食はギルドの酒場で食べよ。早く行かないとベレニスの分も私が食べちゃうよ?」

 ベレニスが被ったシーツをガバッと剥がすと、彼女は観念して起き上がる。

 身支度を整えた私たちは、ギルドの酒場へとやって来た。
 結構いるなあ……あっ、昨日出会ってリョウについて助言してくれた占いが専門っていうディアナさんもいる。

 よかった、リョウもいる。
 一緒にいる人は……? あれはたしかギルドマスターのバルドさんだっけ?
 何か話してるけど何だろ?

「ローゼ、先に食事にしましょ。ふかふかのパンが食べたいわ」

 ベレニスに手を引かれてカウンター席に座ると、私は2人分の朝食を頼んだ。

「あら2人共、昨日はギルドに戻って来ないから心配したわ」

 隣にディアナさんがいて、私たちに話しかけてきた。
 私はパンを頬張りながら、すみませんでしたと謝る。

「傭兵君も無事なようで何よりね。でもちょっとだけビックリ。私が昨日彼を視た時、彼は今日死ぬ運命と視えたから。……ねえ? 何があったのか教えてくれないかしら?」

 ディアナさんが興味本位で尋ねてくるが、私はベレニスと目を見合わせる。

 死ぬ運命だった? それはこっちも驚くぞ。

 でもビオレール城前で暗殺を企てたなんて言ったら、衛兵が来かねないからなあ。

「占いでわかるんじゃないの?」

「そこまでは無理ね。私が視えるのはあくまでその人に起こりうる運命だけ。だから昨日の傭兵君の死は、運命の分岐点だったようね」

 ベレニスの疑問にディアナさんは答えると、クスッと笑う。

「ふうん? ならローゼも占って貰ったら? ディアナ、ローゼって復讐したい相手がいるんだけど、その人の情報がなくて困ってるの。ディアナなら占えるでしょ?」

 ベレニスの提案に私はパンを喉に詰らせそうになる。

 ちょ……ちょっと⁉ いきなり何言い出すのだ!
 昨日寝る前にざっくり話した私の復讐の動機を、寝ぼけ眼で聞いてたくせに。

 私の動揺をよそに、ディアナさんは興味深そうに目を覗き込んでくる。

「そうね。時と場所や、他にも知っている情報があれば正確な占いは出来るけど。……ローゼちゃんが復讐したい相手は、どんな人物なのかしら?」

「えっと、10年前の今頃の季節で場所は王都ベルンです。殺されたのは両親で、犯人の特徴は長い黒髪に漆黒の剣を所有した、黒いフードを被った魔女。……当時の年齢は20歳ぐらいだったと思います」

「10年前の王都? ちょうど先王様と先王妃様、それに王女様が流行り病で亡くなった頃ね。そんな殺人事件あったかしら? まあいいわ。占ってあげる。お代として大銀貨3枚ね」

 ええ⁉ お金取るの?
 ディアナさん、昨日の酒場で私たちに助言してくれた時はタダだったのに。
 しかも大銀貨3枚って高すぎる!

「フフ、じゃあ今日の夜にしましょうか? その時には……」

 とまで言われた時に、リョウとギルドマスターが近づいてくる。

「仕事だ。ローゼ、ベレニス、ギルドに登録をしてきてくれ」

 おお~。初仕事が選ぶんじゃなくて、選ばれるとは!

 いや、わかっていますよ。
 アランの傭兵というリョウの肩書で回ってきた仕事だってのは。

「どんな仕事なの?」

「南のボルガン山岳地帯にある今は使われていない教会に魔物が住み着いてしまいました。ギルドで調査したところ、どうやらロック鳥らしいのです」

 と、バルドさんが答えてくれる。
 ロック鳥は巨大な白い鳥の姿をした魔物で、その嘴と爪は岩をも砕く。
 魔獣と呼ばれていて人間を襲うことはあるが、基本的に人里から離れた場所に巣を作り繁殖する習性がある。

 なので滅多なことで、人間の住む場所まで降りてくることはないはずなんだけど……
 それで退治してほしいってことか。

「報酬は小金貨3枚です。いかがなさいますか?」

 そんなギルドマスターの問いに、私とベレニスは同時に答える。

「その依頼、引き受けます!」

「フン! 受けてあげてもいいわよ」

 受付で冒険者登録の書類に記入して、今回の依頼の用紙にもサインした私たちは、早速南の山にある教会へと向かったのであった。
 
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