【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ

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第1章 復讐の魔女

第28話 助っ人

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「要は、おっさんだけ、なぜか私たちのことを正確に記憶してるってわけね。まずさあ、そこが怪しいのよねえ。他の人たちに、おっさんみたいな人はいなかったんでしょ? てか、何でここがわかったの?」

 一通り説明し終えた後、ベレニスがバルドさんに質問をする。

 まあ気になるところだよね、私もそう思うし。

「魔法の原理なんて俺は知らん。だから俺がお前らを覚えている理由は不明だ。ここにいると当たりをつけたのは、衛兵共や冒険者の連中が探しても、見つからない場所。……ならば、夜中は使用されてない家屋が妥当だと考えたからだ」

 なるほど、理屈としてはおかしくない。
 冒険者ギルドのマスターである彼にとって、ビオレールの街の構造は知り尽くしているだろう。
 私たちがここにいる可能性を考慮し、探しに来たってことね。

「まあ、嘘はついてないようね。で、聞いた感想を聞かせてくれるかしら? このまま私たちにつくか、それとも領主殺しの犯人として私たちを売るか」

「待ってベレニス。……私たちの現状、お話した通りです。力になってくれると助かります」

 私はベレニスを制止し、バルドさんに話しかける。

「10年前に、病死したとされるローゼマリー王女か。……なるほど、お前さんらの話も、嘘ではなさそうだ」

 バルドさんは私をじっと見てくる。

「……10年前、ちょうど俺は王都で冒険者をやっていてな。今でも先王様と先王妃様、姫殿下が病死したとの報に愕然とし、涙を流す人々の光景を覚えている」

「おっさんは泣かなかったの?」

「一介の冒険者だったからなあ。だが、死して知る偉大さよ。先王様たちが健在ならば、この国の未来は安泰だったとな」

 盗賊や魔物の被害が拡大したのは、貴族政治による民衆への搾取が原因だ。
 そして今、貴族政治の弊害が国中に根付いているのだ。

「バルド殿、貴殿は驚かれてないのですな。ディアナ嬢がこの件の首謀者の1人だったと」

 リョウの疑問は最もだ。
 バルドさんは私の説明で、ディアナが教会に潜り込んでいたジーニアという魔女と仲間だったと伝えても、彼は眉をピクリとも動かさなかった。

 ギルドで占い師として信頼の厚かったディアナ。
 そのディアナが邪教関係者と知っても、バルドさんは微動だにしなかったのだ。
 それどころか、納得したかのような態度を見せている。

「彼女には、ボルガン山地でロック鳥に殺されたと思われる人骨の調査依頼と、逃亡したジーニアの捜索を依頼していたのはお前らも知っているな。彼女の能力なら、何かしらの結果をすぐに出せたはずだ。なのに何も結果を出さなかった。無論、そういう時もあると最初は考えていたが、な」

「私たちの話を聞いて変わった感じ……でもなさそうですね」

「ああ。ディアナは人当たりが悪くはないが、他人と深く関わるタイプではなかった。目立たずひっそりとギルドで仕事をこなして、1人で生活するタイプだ。だがお前さんらが現れてから何かが変わった。お前さんらを時折見る目は、今まで見たことのない強い決意に満ちていた。まるで、何かに飢えているかのようにな」

 そうだったのか……
 でも、私は初めての出会いを感謝している。
 あの時ディアナさんに後押しされなければ、リョウは死んでいただろうから……

「バルド殿、お願いできるだろうか? ローゼとベレニスを護ってはもらえないだろうか?」

 リョウはバルドさんに深く頭を下げる。

 ま~たこいつは、という目をベレニスがしていて、私もムッとしてリョウを見る。

「それでお前さんは城に乗り込むか。案としては悪くない」

「ちょ、ちょっとバルドさん!」

 まさかリョウの提案を飲むなんて⁉

 後押しされたらリョウが何を言い出すかわからなかったので、私は慌ててバルドさんに声をかける。

「術者を殺せば塗り替えられた現実を元に戻せる。ディアナはビオレール城に庇護された。だからお前さんは城に乗り込む。だが、それは陽動でお嬢ちゃん2人を街から脱出させる時間稼ぎ。これで合ってるか?」

 リョウは迷いのない目で頷き、バルドさんも頷く。

「どうなんだ? それでその後、お嬢ちゃんたちは何とか出来るのか?」

 私へ目線を移すバルドさんの問い。

「ディアナとジーニアの所属している邪教集団を探り、潰していく手段ぐらいしか思いつきませんけど、そうなると何年かかるか……リョウの案を実行したとして、捕虜となったリョウを助けるのは厳しいです」

「まあ、ローゼなら処刑場で大暴れするのが目に浮かぶわ」

 ベレニスが愉快そうに笑う。
 そこ、笑わない! 事実だけどさ……
 リョウも呆れ気味に私を見ているし……

 そんな私たちを見たバルドさんは深くため息をつき、組んでいた腕を解き口を開く。

「成功率と生存率と言ったが、成功率を選択したお前さんは傭兵として正しいだろうよ。だがな、成功率を高めつつ生存率も高めたいなら俺が力を貸してやる」

 バルドさんはニヤリと笑って私たちを見てくる。
 その言葉を受け、私もベレニスも驚きに目を見開くのだった。
 
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