【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ

文字の大きさ
29 / 314
第1章 復讐の魔女

第27話 王女

しおりを挟む
「その日、私は5歳の誕生日だった。パーティーは盛大に行われた。私は国中から貴族が領地から集まって祝福してくれる中ではしゃぎまくっていた。公爵家に同い年の女の子が2人いたんだけど、その娘たちを連れ回してね。父や母は遊び疲れてすぐに寝ちゃうんじゃないかと心配していた。『大丈夫かい? ローゼマリー』なんて言ってきたけど、パーティーが終わってからの最大の楽しみに、私は絶対寝ないよと目を輝かせて言った。だって、久しぶりに両親と一緒のベッドで眠れる。それが本当に嬉しくて、幸せだったから。あの本を読んでもらおうとか、この本も読んでもらおうとか……」

 パーティーが終わり、お待ちかねのベッドでの両親との時間を楽しみにしていた私。

 それは父も母も同じだったと思う。
 その日、私の好きな御伽噺や絵本を寝物語として読んでくれたのだ。
 とても幸せな時間だった。

「夜中に目が覚めてトイレに行った時は、異変はなかった。寝室の外で護衛していた、親衛隊長のアデルと一緒にトイレに行って戻った時、既に黒髪の漆黒の剣を持つ魔女……ノエルと両親が戦ってた」

 結果、私とアデルは母ローラの転移魔法で、遥か北の地スノッサの森に送られた。
 最期に目に焼き付いたのは両親が殺されるシーン。

 そして森で出会う魔女ディル。
 私は魔女になって復讐する力を願った。

「ディルの出した条件は、期限は10年間で1人で修行すること。アデルについては王都へ送り返されるが、王と王妃の暗殺と、王女失踪の罪で処刑されるだろうとの会話があった。私はどうでもいいけど、アデルが処刑されると聞いて仰天した私は追加で願った。なんとかして、と」

 結果、王夫妻と王女は病死したという事実になり、殺害という行為がなかったことにされた。

「歴史的事実と実際に起きた出来事は違うし、両親の死が本当は暗殺だったのに、認知されてない現実に拭いきれない違和感はあった。けど、私が魔女となって両親を暗殺した者と、なぜ暗殺したのかの理由を突き止めればいい。……そう考えて10年ディルに師事し、修行を重ね、旅に出てリョウと出会い、ベレニスに出会った」

 私はここで言葉を止める。
 正直反応が怖い。
 リョウは貴族を快く思っていないし、ベレニスは一見能天気に見えるけど、嘘を不快に感じているのは共に行動していてわかっている。

 きっと嫌われただろうなあ……
 でも、2人には隠し事せず話したかったから後悔はない。

「ちょっと! 出会ったの一言で終わらせないでよ。すんごく可愛くて、超絶美少女なエルフに出会ったからラッキーとかあるでしょ?」

 ベレニスのいつも通りな、アホな発言に私は笑う。

「ベレニスと出会った時は、一緒にパーティーを組むとは思ってなかったよ。でも今では仲間だし親友だよ」

 その発言に、今度はベレニスが笑う。
 私の頬に手を伸ばし、ツンツンとつついてくる。

 少しくすぐったいけど、嬉しそうな彼女を見ていると嬉しくなる。

「傭兵も何か言いなさいよ! 真っ先に言わないなんて、男としてどうかと思うわ。まあ傭兵のことだから、仲間とか親友とか好きだとか、素直に言うのが恥ずかしくて言えないのもわかるけど」

 ほえっ⁉ すすす好きって!
 ベレニスの言葉にリョウは何も言わない。
 まるで石像のように動かない……って、えっ⁉ 何で赤くなってるの?

 やがて彼は私に向き直り告げる。
 その声は若干震えているような気もした。
 でも言った内容はいつも通りだ。

「俺はローゼの過去を詮索するつもりはない。もし話したくなったら、話してくれればいい。あーその、なんだ。ローゼが王女だろうが魔女だろうが、俺にとってはローゼはローゼだ。遠慮はいらないし、するつもりもない」

「リョウ……ありがとう」

 嬉しかった。
 私を私として見てくれるのが、こんなにも嬉しいことだなんて知らなかったなあ。

「は? 相変わらず傭兵はダメダメね。ここはキスする流れでしょ」

 ベレニスがやれやれといった態度をとる。
 こらこら、そんなことするわけないでしょ。
 だが……まあ少しぐらいなら? と思わなくもなかったり……
 い、いや! 今はそんなことよりも!
 リョウは扉に手をかけ出ていこうとしているし!

「先に告げた通り、俺が城に斬り込む。その間に2人は逃げろ」

「あらら、話が振り出しに戻ったわね」

 ベレニスが呆れ顔で言う。

「リョウ。そんなの私もベレニスも望んでない」

 ここだけは譲れないから!
 扉に手をかけるリョウの手に手を添える。

「死ぬつもりはないさ。アランの傭兵の俺だ。捕虜にして、傭兵団に確認してから処刑するだろう。その間にローゼとベレニスが対抗策を考え、実行すればいい。だから2人は逃げ……」

 私はリョウの言葉を遮るように、彼の頰を両手で挟み込む。

「リョウの考えはわかった。たしかに今すぐ出来る策かもしれないけど、それでも私は反対する」

「成功率と生存率というのがある。傭兵は成功率を重視する」

 成功率とは、この状況では真相を暴けるかって意味だろう。
 たしかにこのまま街を脱出しようにも、誰かを犠牲にしなければ無理かもしれない。

「俺が脱出の時間を稼ぎ、ローゼとベレニスが真相を暴くのに賭けよう。反対するなら、それなりの策を提示するのが筋だ」

 合理的な考えだし、それがリョウの強みであるのはわかっている。
 でも! 私は傭兵じゃない!
 だから……たまには我儘な女の子になってもいいよね?
 王女ローゼマリーとしてではなく、魔女ローゼでもなく、1人の人間として私の思いを伝えるよ。

「私は、リョウの側にいたい。これからもずっと……」

 私の発言に、リョウは目を丸くして固まってしまう。

 ベレニスは、そんな私とリョウをニヤニヤしながら見ているけど……まあいっか!

 というか固まってないで何か言ってくれええええ!
 恥ずかしいいいい‼

 何秒経ったか……ようやくリョウが口を開こうとした瞬間だ。

 扉がコンコンとノックされる。
 誰? まさか衛兵!
 ここにいるとバレた⁉

 リョウもベレニスも警戒する中でガチャリ、と扉が開く。
 扉の向こうに立っていた人物は、私たちのよく知る人物だった。

「ここにいたのか」

 私たちを見て短く呟く人物。
 ビオレール冒険者ギルドのマスターのバルドさんが、無表情で立っていた。

 私たちが警戒する中、バルドさんは部屋の中へと足を踏み入れる。

 リョウは私を庇うように前に立ち、ベレニスも私に寄り添うように立ってくれていた。

 ドカンと座るバルドさんは、腕組みしてまた短く一言。

「説明しろ」

 納得のいく説明をしないと、ここから出て行かないぞと言わんばかりに、私を見つめてきたのだった。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~

尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。 だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。 全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。 勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。 そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。 エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。 これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。 …その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。 妹とは血の繋がりであろうか? 妹とは魂の繋がりである。 兄とは何か? 妹を護る存在である。 かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

クラス転移したからクラスの奴に復讐します

wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。 ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。 だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。 クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。 まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。 閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。 追伸、 雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。 気になった方は是非読んでみてください。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜

ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。 アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった 騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。 今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。 しかし、この賭けは罠であった。 アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。 賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。 アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。 小説家になろうにも投稿しています。 なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。

処理中です...