【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ

文字の大きさ
70 / 315
第2章 英雄の最期

第28話 覚悟の業火

しおりを挟む
「ちょっとベレニス! フィーリア! こんな時にまでケンカしないの‼」

 我らが神になるはずだった、ただの魔女の女が仲裁に入るが、2人の口論は止まらない。

 私は……こんな奴らに負けたのか? 何故だ! 何故なのだ‼

「お前さんら、いらぬなら、この魔女ルシエンとやらはこっちで始末するぞ」

 しびれを切らしたのか、ドワーフどもが斧を片手に包囲を狭めてくる。

 ローゼマリー様? がそれを制止する。

「待ってください! 少しだけ時間をください!」

「時間だと?」

 私の自嘲の笑いが止まらない。
 この状況は何だ? 私は道化師ではない。
 これ以上の屈辱は耐え難い‼

「ルシエン。フィーリアとベレニスがこの策を使ったのは、貴方たちの目的をはっきりさせるため。……それと私についても想定外だったけど想像内だったみたい。う~ん、自分が魔王の器って凹むわ~」

 魔女ローゼは勝手に落胆している。

「リョウを狙ったのが本来のルシエンの目的だった。邪教崇拝の集団の魔女、それがルシエンの正体」

「語った内容から、ジーニアっていう魔女と同じ感じだったわよね。傭兵を狙ったのは、脅威になりうる英雄になる恐れがあるから? ばっかばかしい。あんたの敗因はこの私を狙わなかったことよ!」

 ベレニスとかいうエルフの小娘が高らかに笑う。

「いやいやベレニスさん。実際にベレニスさんがターゲットだったら、ご飯あげるからの毒殺で終わるっすよ……」

「私、そこまで食いしん坊じゃないわよ!」

 ドワーフの娘とエルフの小娘がまた言い争いを始める。

「俺を狙ったのは光栄だな。矢の雨をローゼに向けたのも、俺が庇うと見越してか」

「くふっ。用心深く猜疑に溢れ、己の見たもの以外は信じぬのに、大事な存在を作った貴様を仕留めるには最高の策だったろう」

「そうだな。だが、俺なら矢を無数に受けて倒れた相手を放置せん。確実に首を刎ねていた」

「ちょっとリョウ! 話が変わるからそれは別の機会にして!」

「そっすよ。リョウ様も、少しはローゼさんの魔力を浴びて覚えているかもしんないっすけど、死んでからの記憶はないはずっす。ここは黙って、その後の話をさせてくださいっす」

「ぷぷ。傭兵は仲間はずれになるのが嫌なのね。お子ちゃまねえ」

 魔女にドワーフにエルフに言われ、リョウ・アルバースは憮然とした顔になる。

「仮にリョウ様が、その時死亡状態じゃなかったとしても、全身に矢を浴びた状態っす。最高の神聖魔法の使い手がいなければ、確実にリョウ様は死んでいたっすよ」

 フィーリアという小娘の言葉に、私は架空の出来事だった時間の最後を思い出す。

 ……あの時、この傭兵はピクリと身体を動かし、そして私を凝視していた⁉
 獲物を仕留めようと、動かぬ身体でも尚も機会を窺う修羅の目に、私は恐怖した。

 その獲物が私だという事実に震えたのだ!

 混沌を欲する我らとは真逆の存在。
 全てを無に帰す、この世界の理から外れた化け物。

 リョウ・アルバース。
 こいつは英雄になる器だから殺さねばならない。

 だが、そんなのは些事だ。
 この化け物は必ず殺さねば……世界は混沌にもならず、殺され尽くすだろう。

「ルシエンさん……それで私の魔王の器なんだけど、私は絶対に魔王にならないと宣言する。貴女や背後にいる邪教の連中の企みも暴いて、世界を混沌なんて馬鹿らしいことはさせない。だから……」

 魔女ローゼは手を差し伸ばしてくる。

「だから貴女にも協力してほしい。平たく言うと仲間になってくれると嬉しいかなあって」

 何を言っているのだ? この女は?

「無論リョウを狙うのは、もうさせないし殺させない。当然、ベレニスやフィーリア。私の目に届く範囲の仲間は何があっても護る。だからルシエンさんにも、その仲間になってくれたら嬉しいかなって」

「ホント、ローゼって頭がお花畑っていうか。でもそういうの、私は嫌いじゃないのよね」

「自分的には、ルシエンさんの背後の組織のことが気になるっす」

「ローゼがそうしたいならそうすればいい。俺の命を狙い続けていても構わん」

 ……そうだろうよ。リョウ・アルバース。
 貴様はそういう人間だ。

 私をこのような人生を歩ませた、ノイズ・グレゴリオに育てられた元少年兵よ。

「ふふ……はは……はーっはっはっは! 答えはノーだ! 我らが神、魔王ローゼマリー様の目覚めに散れ! リョウ・アルバーーーーーース!」

 私は叫んだ。全身に魔力を渦巻かせ。

 身構える小娘3人に、ドワーフの戦士ども。

 それに、もしかしたら共にノイズ・グレゴリオを倒すために手を組んだかもしれなかった傭兵の少年よ。

 私が拒否するのは予測済みだろう。
 多勢に無勢。無力化されて私が負けるが必定。
 だから私はこう選択する。

 炎が私の全身を焼いていく。

「な⁉ 氷魔法で……くっ!」

 無駄な足掻きをする魔女ローゼよ。
 炎魔法が得意と聞いたが私には劣るだろ?

 なにせ私は産まれてすぐに母体を焼き、己の右目上の皮膚すら焼き剥がしてしまったのだからな‼

 貴様の炎など、この右目上が受けた熱に比べれば何するものぞ。

 私の身体は業火に包まれ、やがて骨すら残さず消え去るだろう。
 貴様らは何も出来ずに我が死を見てるがいい‼

 おっと、最期にこう告げて悔しがらせよう。

「ノイズ様。お世話になりました」

「何⁉ ノイズを知っているのか‼」

 フフ、その驚愕の顔よ。私の勝ちだリョウ・アルバース。
 共にノイズに歪まされた人生を歩みし者同士よ。

 魔女ローゼよ、貴様もリョウと同じく歪に育ってしまったようだ。

 だから私の存在は、最期の土産として受け取りたまえ。

 魔王の器たるものよ。
 いずれ必ず魔王となりて、世界を混沌にするその日を地獄より眺めていようぞ‼

 ふふふ……はーっはっはっは……
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~

月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』 恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。 戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。 だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】 導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。 「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」 「誰も本当の私なんて見てくれない」 「私の力は……人を傷つけるだけ」 「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」 傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。 しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。 ――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。 「君たちを、大陸最強にプロデュースする」 「「「「……はぁ!?」」」」 落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。 俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。 ◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!

古代文明の最強王、5000年後に転生すると魔法が弱体化しすぎていたのでもう一度最強になります。~底辺貴族からの成り上がり~

しNぱ
ファンタジー
5000年前、魔法文明マギア魔導王国を築き、 魔法体系そのものを創造した王アーケ・マギアス・マギアは、 さらなる魔法の発展を求め、自らの魂を未来へ送る転生魔法を発動した。成熟した古代魔法を超える研究が進んだ世界を見たいという純粋な探求心から、5000年後の世界へと意識を沈めた。 目覚めた先は、スケルド男爵家三男レイフとしての赤子の身体だった。産まれた瞬間から記憶を持つ彼は、質素な家と薄い魔力の流れを前に、未来の魔法研究が古代よりも大きく退化していることに気づく。最底辺と呼ばれる家に生まれながらも、家族は温かく、彼の異常な魔力量を希望として受け入れた。 幼少期から魔力操作を自然に行い、三歳で石を浮かせ、五歳で光魔法を自在に扱うなど、古代王としての力を隠しながら成長する。外では古代魔法を使わず、転生者であることを悟られないよう慎重に振る舞いながら、未来の魔法体系を観察し続けた。 十歳になると身体強化などの古代魔法を最低限だけ使い、父との剣術訓練でも圧倒的な動きを見せるが、本来の力は隠したまま過ごす。そして十六歳、高等魔導学園に入学したレイフは、初日の実技試験で無詠唱魔法や術式無効化を用いて試験官を圧倒し、最底辺男爵家ながらA級判定を受ける。 その姿を見たストラング公爵家の令嬢エリナは、彼に強い興味を抱く。5000年後の世界は古代より魔法が退化していたが、だからこそ発展の余地がある。レイフは古代王としての知識をもとに、もう一度魔法の未来を切り開くことを決意する。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

クラス転移したからクラスの奴に復讐します

wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。 ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。 だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。 クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。 まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。 閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。 追伸、 雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。 気になった方は是非読んでみてください。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

《完》義弟と継母をいじめ倒したら溺愛ルートに入りました。何故に?

桐生桜月姫
恋愛
公爵令嬢たるクラウディア・ローズバードは自分の前に現れた天敵たる天才な義弟と継母を追い出すために、たくさんのクラウディアの思う最高のいじめを仕掛ける。 だが、義弟は地味にずれているクラウディアの意地悪を糧にしてどんどん賢くなり、継母は陰ながら?クラウディアをものすっごく微笑ましく眺めて溺愛してしまう。 「もう!どうしてなのよ!!」 クラウディアが気がつく頃には外堀が全て埋め尽くされ、大変なことに!? 天然混じりの大人びている?少女と、冷たい天才義弟、そして変わり者な継母の家族の行方はいかに!?

処理中です...