【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ

文字の大きさ
128 / 315
第4章 竜は泉で静かに踊る

第5話 エルフの女王

しおりを挟む
 おお! 美形揃いの種族だけあって、男性も女性もベレニス級ばっかり!
 全員、ベレニスを一回り成長させたような見た目だなあ。

 駆け寄ってきたエルフたちに羨望の眼差しを向ける私だったが、なんか弓矢を構えているのもいっぱいいるんですけど⁉

「人間3人はこのまま立ち去れ。ドワーフの娘は特別に里に入ることを許可する。従わぬなら始末する」

 エルフの1人が厳かな声で言ってきた。
 人間3人って、私とリョウとヴィレッタは帰れってこと⁉
 いやいや、ここまで来てそれは酷くない?

「えっと~。ローゼといいます。ベレニスの友人です♪」

 ここは敵意なしだと伝えないと。
 ベレニスとは仲良くしているんだし、この人たちもわかってくれるでしょ?
 そんな期待を込めて口にしたのだが、無反応なんですが⁉

 ……無視は傷つくよ。

「初めまして。自分はドワーフのフィーリア・メルトダと申しますっす。突然の訪問の非礼をお詫びするっす。人間のこの御三方も、こちらにいるエルフのベレニスさんの友人で、他の皆さんに危害を加えるつもりも拐うつもりもないので、一緒に入れてほしいっす」

 さすがフィーリア、度胸と舌先三寸が凄いよ。
 頼むよ~私もエルフの里に入れるように説得してくれ~。

「ドワーフの小娘よ。そなたはまだ若い。人間というのは魔族の次に忌むべき種族だ。その者たちにどうして肩入れする?」

「知ればわかると思うっすよ」

 フィーリアの子供スマイルが炸裂する。
 キュン死しそうになったのは内緒だ。

「もう! 私の友達なの! 御託はいいからさっさと中に入れて、温かい食事とベッドを用意してよね!」

 ベレニスがキレた。
 ちょ⁉ あんた家出娘だろ!
 そんな態度をしていたら向こうもブチギレするだろ!

「しかしベレニス様、この里に人が立ち寄ったのはフォレスタ様のお仲間たちのみ。そのような偉大なる御方たちと、この者たちを同じような扱いは致しかねます」

 ん? ベレニス様? あ~、エルフって上品な種族だもんね。
 きっと年齢関係なく、互いを様付けて呼び合っているんだなあ。

「何? クーリンディア? 私の言うことが聞けないってわけ‼」

 ん? ちょっ⁉ ベレニス‼ 絶対年上だろうに、その言い方はマズいでしょ!
 ほら、クーリンディアさんてエルフの人が怒っているよ‼
 私やリョウやヴィレッタに‼

 って! なんでだよ。

「おのれ人間! ベレニス様を誑かしおって‼ スーリオン! マブンルグ! アグラリエン! 弓を構え、人間どもを射殺せ‼」

 ちょ⁉ なんでそうなるんじゃあああああああ。

 間髪入れず飛んでくる弓矢。
 おにょれ、命令されるのを待っていたな。

 だが私の魔法障壁が弓矢を弾くとリョウが飛び出し、瞬く間に弓を無力化した。

「なっ⁉」

 絶句するエルフたち。

「ええい! 全員だ! 里の総力を持って、ベレニス様を悪しき人の手から奪還するのだ‼」

 クーリンディアって人の命令が響き渡る。

 もうこうなったら、ボコって実力で認めさせるしかないかと腹をくくっていると、ベレニスが喚いた。

「いい加減にしないと、私はもう二度と里には帰らないわよ!」

 ベレニスの言葉に、クーリンディアたちエルフが騒ぎ出す。

「そ、それは困ります。女王陛下」

 んん? なんだって?

「その呼び名は止めてって言ってるでしょ! ララノア、とりあえずクーリンディアたちを下がらせて、私たち5人を里で休ませて。それから、この人間たちは極悪非道じゃないから安心するように。ただのアホよ」

 ベレニスの言葉に、ララノアと呼ばれたエルフが目を白黒させた。
 そしてクーリンディアたちエルフは、慌てて私たちに謝罪するのだった。

 なんかよくわからんが、とりあえず私たちは里へ入れてもらえることになったようだ。

「ただのアホって……」

「儲け話や出世を望まないで誰かのために旅をしているのをそう表現しただけよ。っへ、いひゃいはよローへ」

 とりあえず両頬をつねってやった。
 するとエルフ全員から睨まれたんですけど⁉
 こ、これはヤバいかも。

「もうベレニスったら~。私のことをよくわかっているんだから~」

「なんか精霊が祝福していないようなセリフね。……って! みんなもこれは大丈夫だから安心しなさい!」

 なんとかベレニスのおかげで、一難去ったのであった。

 私たちはララノアさんに案内されて、エルフの里へと足を踏み入れる。

 木々に溶け込むように建てられた住居は、樹皮で覆われた壁と葉で編まれた屋根を持ち、自然との調和を感じさせた。
 建物の周りには、精巧な模様が彫り込まれた石の彫刻が点在し、エルフたちの芸術性の高さを物語っていた。

 里のど真ん中にはでっかい大木がある。

 あれが世界樹かな?
 世界樹は、他の木々を遥かに凌駕する巨大さで、その幹は何十人もの人が手をつないでも囲めないほどだった。
 幹から伸びる枝は空高く伸び、葉は青と金が混ざったような不思議な色合いを放っていた。
 樹の周りには、目に見えない力が漂っているような独特の空気感も感じられた。

 そして私たちを案内するララノアさんは、他のエルフたちよりも少し年下に見えるが、人間で言えば20代前半ぐらいだろうか?
 長い金髪に整った顔立ちでスタイルも抜群。

「ベレニスはエルフの女王なのですか?」

 里を歩きながらのヴィレッタの質問。

「知らないわよ。本当に女王なら、勉強しなさいって追いかけ回したりしてないじゃない?」

 ベレニスがそう答えると、ヴィレッタはちょっと苦笑い。

「ベレニス様は紛れもなく女王ですよ。偉大なる先の女王フォレスタ様が木々と同化し消滅した直後に、数百年振りに誕生した我が一族の赤子だったのですから」

 と、ララノアさんが答えてくれた。

 その理屈は、輪廻転生は亡くなった直後に誕生した命に宿るって感じなのかな?
 神話にそういう逸話がちらほらあるし、エルフは信じているのかな?

 私はロマンがあっていいとは思うが、母親の胎内で生命として誕生すると考えるのが魔女の思考なので信じてはいない。

 そして、一つの建物の中に私たちが案内されて室内を見渡すと、そこは板張りの床と丸太で組み立てた円形の家具、ベッドが幾つかある素朴な空間だった。
 加工されたテーブルや椅子はなく、代わりに部屋の中央には切り株がある。
 岩をくり抜いて作られた暖炉には火が灯り、暖かい空気を与えてくれた。

 さすが森の民のエルフ。無駄を排したシンプルな生活だね。
 てかクーリンディアたち他のエルフが建物の外に集まって、ソワソワしているのはこっちも落ち着けないぞ。

「ベレニスが帰ってきて嬉しいのでしょう。でもどうして帰ってきたのか? なぜ人を連れているのか? またいなくなってしまわれないか、と心配しているのだと思われます」

「青髪の人の仰る通りですね。一つ付け加えるなら黒髪の人の男との関係は? とヤキモキもしております」

 ベレニスがウンザリしながら頬杖をついていると、ララノアさんがシチューを用意しながら呟いた。

 おお、キノコがいっぱい♪ うん温かい。美味しいなあ♪
 リョウとの関係でヤキモキ?
 エルフもそういうの考えるんだ。

「ララノア、傭兵を見てよ。これどう思うの?」

 ベレニスに言われてララノアさんはリョウの顔を見て、ちょっとビクッとしてそっぽを向く。

「美しい女4人と同行している男の容姿にしては……いえ、なんでもございません」

 お~い。リョウはそこまで酷くないぞ?
 ちょっと目つきが悪くて無愛想で鈍感なだけで。
 ……あれ? やっぱり酷いのかな?

 そして私たちは、食事を終えてお風呂に入ってさっぱりしたところで、エルフたちが集まる広場へと連れて行かれる。

 エルフたちは、木の葉や花を模した繊細な刺繍が施された緑や茶色の衣装を身にまとい、耳には木の実や小さな宝石をあしらった装飾品をつけていた。
 彼らの動きは優雅で、まるで風に揺れる木々のようで、話す時も言葉の一つ一つに音楽性があるかのような響きがある。

 おお! 世界樹が近い! えへへ、ちょっと抱きついてみようかな?
 いかんいかん、警備しているエルフたちがいるな。
 まずは説得してどいてもらわないと駄目かな?

「ローゼさん駄目っすよ。てか世界樹の活用はエルフしか無理っす。そのエルフたちも原理をよくわかっていないっすから、エルフの機嫌を害するだけの行動っすよ?」

 おにょれフィーリア。私の行動を読むんじゃない。
 てかエルフしか効果を出せないのか、無念。

 壇上が用意されていて、そこにベレニスがあがると一斉にエルフたちが跪く。

 ララノアさんの話によると、この里で一番偉いのはベレニスで次席がクーリンディアらしい。

 ちなみに私たちも壇上に上げられて、いかにも興味深そうに観察されるので居心地が悪い。

 リョウだけは堂々としているが、こいつ今、何も考えてないな。

 そしてララノアさんが厳かな口調で口を開いた。

「ベレニス様の帰還の挨拶を賜りたいと思います。ベレニス様お願いします」

 ベレニスの演説が始まる。
 その横顔は、私が知っているぐ~たらな普段とは違う凛々しさがあった。

「は? 別に帰還したわけじゃないし。ていうか、ここにわざわざ上がったのは都合がよかっただけ。簡潔に答えて。最近森で魔獣の出没が増えているのでしょう? その原因を知りたいの」

 ベレニスの言葉にエルフたちがざわめく。
 すると1人の男性が前へ進み出ると、ベレニスに一礼した。
 なんか知的な感じの緑髪イケメンさんだ。

「森で最近異変が起きているのは我らも承知しております。里には被害が出ていないので、特に何も対処はしておりません」

「そう。ありがとうイズレンディア。じゃあ私たちが調べるで問題ないわね。みんなは普段通りにしてて。でも、もし魔獣の出没が頻発するようなら私かララノアに連絡を頂戴。じゃあ解散!」

 ベレニスの言葉にイズレンディアと呼ばれたエルフの男性も、他のエルフたちも一礼して去っていった。
 そして私たちに向き直るベレニス。

「はひい……疲れた~メンドイ~。もう帰るわ~」

 おいおい、さっきのキリリとしたベレニス、もうちょっと見せてよ~。

 ともあれ、こうして私たちはエルフの里にてお世話になりながら、森の異変についての調査を開始するのだった。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

クラス転移したからクラスの奴に復讐します

wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。 ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。 だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。 クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。 まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。 閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。 追伸、 雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。 気になった方は是非読んでみてください。

みそっかす銀狐(シルバーフォックス)、家族を探す旅に出る

伽羅
ファンタジー
三つ子で生まれた銀狐の獣人シリル。一人だけ体が小さく人型に変化しても赤ん坊のままだった。 それでも親子で仲良く暮らしていた獣人の里が人間に襲撃される。 兄達を助ける為に囮になったシリルは逃げる途中で崖から川に転落して流されてしまう。 何とか一命を取り留めたシリルは家族を探す旅に出るのだった…。

【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~

月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』 恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。 戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。 だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】 導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。 「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」 「誰も本当の私なんて見てくれない」 「私の力は……人を傷つけるだけ」 「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」 傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。 しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。 ――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。 「君たちを、大陸最強にプロデュースする」 「「「「……はぁ!?」」」」 落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。 俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。 ◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!

貴方がLv1から2に上がるまでに必要な経験値は【6億4873万5213】だと宣言されたけどレベル1の状態でも実は最強な村娘!!

ルシェ(Twitter名はカイトGT)
ファンタジー
この世界の勇者達に道案内をして欲しいと言われ素直に従う村娘のケロナ。 その道中で【戦闘レベル】なる物の存在を知った彼女は教会でレベルアップに必要な経験値量を言われて唖然とする。 ケロナがたった1レベル上昇する為に必要な経験値は...なんと億越えだったのだ!!。 それを勇者パーティの面々に鼻で笑われてしまうケロナだったが彼女はめげない!!。 そもそも今の彼女は村娘で戦う必要がないから安心だよね?。 ※1話1話が物凄く短く500文字から1000文字程度で書かせていただくつもりです。

《完》義弟と継母をいじめ倒したら溺愛ルートに入りました。何故に?

桐生桜月姫
恋愛
公爵令嬢たるクラウディア・ローズバードは自分の前に現れた天敵たる天才な義弟と継母を追い出すために、たくさんのクラウディアの思う最高のいじめを仕掛ける。 だが、義弟は地味にずれているクラウディアの意地悪を糧にしてどんどん賢くなり、継母は陰ながら?クラウディアをものすっごく微笑ましく眺めて溺愛してしまう。 「もう!どうしてなのよ!!」 クラウディアが気がつく頃には外堀が全て埋め尽くされ、大変なことに!? 天然混じりの大人びている?少女と、冷たい天才義弟、そして変わり者な継母の家族の行方はいかに!?

処理中です...