【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ

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第7章 絶望の鐘

第34話 ヴィレッタの謀略

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 翌朝、私は久しぶりに夢を見た記憶がなく目覚めた。

「さてと、リョウたちはどこへ向かったのかな? 合流して一緒に探すとしますか。フタエゴとバラオビがちゃんと一緒にいるかも確認したいし」

「ローゼ、まだ大人しくしてくださいまし。昨日まで目覚めなかったのです。無茶はさせられません」

 う~ん。もう完全復活しているんだけどなあ。

「魔王軍五大将軍と、自ら名乗る人物が滅ぼされたのです。現状は新たな魔族の出現はありませんが、注意深く慎重に行動しなければなりません。リョウ様たちがお戻りになるまで休んでいてください」

 ヴィレッタは慎重なんだよね。
 そこが頼りになったりするんだけど、今は身体を動かしたい気分なんだよな~。

 リョウたちをずっと待ちぼうけして、いつ戻ってくるかわからない状況、しかも私のために動いている。

 なら、もう大丈夫って伝えたほうがいいよね。

 私はヴィレッタにそう伝えるが、彼女は何か閃いたのか目を輝かせる。

「ローゼ、思いつきました。ローゼはリョウ様が雪の雫を持ち帰ったら、それを飲んで復活したとアピールしましょう」

「ん? どういうこと?」

「そうすることで、リョウ様はローゼを救ったという達成感と、ローゼが感謝を伝えることで、深く記憶に刻まれる思い出となります」

「んん?」

「これは進展しない2人への好機です! ローゼ、わたくしの言う通りにしてくださいませ」

「ほえっ⁉ ちょっ⁉ ヴィレッタ!」

「大丈夫です。ベレニスが嘘に気づく可能性がありますが、わたくしから言い含めます。フィーリアは察して沈黙すると思います。クリスは、わたくしのマナー講座を一回休みにすれば取引成立するでしょう。レオノールとリョウ様は単純ですので、気づかないはずです。きっと成功します」

 おお! クールビューティーなヴィレッタの即席の謀略発動!
 自信満々で、ガーデリア領主邸の人たちにテキパキ指示していく。

 言っちゃいけない雰囲気だなあ。
 完璧っぽいけどそれ、穴だらけだって。

 成功したところで、私とリョウの関係性に進展はないと思うし。
 ……ちょっと泣けてきた。

 まあ、でも、私のために考えてくれるヴィレッタの気持ちは嬉しい。
 リョウの反応を見たいし、演技するのもありかな?

 こうして私たちは策を入念に詰め、リョウたちの帰りを待った。

 そして翌日の夕刻。
 みんなが帰還したのである!

 部屋の窓から見下ろして、みんなの様子を窺う。
 どうなるのかなあ、ちょっとワクワク。

 ヴィレッタが迎えに行き、中庭でリョウたちと合流する。
 みんな疲れているのかな、顔が暗い。

 ん? あれ? リョウが頭を下げてる?
 ベレニスも泣いてる?
 レオノールも拳で地面を叩きつけているし、フィーリアは何やら真剣な顔で、まだ手はあるかと考えている表情だ。

 クリスは……やばい、私と目が合った⁉
 というか、この状況で上を見るなよ。
 クリスは不思議そうに、口を開けてポカンとしている。

 フタエゴとバラオビはあくびしてやがる。

 ヴィレッタは立ち眩みしたみたいで、身体が崩れていく。
 そこで私はこれはまずいと魔法で飛び降り、ヴィレッタを抱きかかえた。

「ちょっと、どうしたの⁉」

「どうもこうもありません! リョウ様たちは雪の雫の入手に失敗したのです。時期的に、もう入手は不可能だったそうです」

 うん、知ってた。
 あれって初雪っていう条件なんだよね。
 ディルのところでの修行時代、よく精製を手伝ってたから覚えているよ。

 ……なんてヴィレッタに言えるわけもなく、私は苦笑いしつつ口にする。

「そっか~。まあ、季節限定品なら仕方ないよ」

「ああ……わたくしの策が。台無しです」

 凹むヴィレッタだが、元々無理がある策だ。
 そこまで凹まなくてもいいし、私は気にしていないよ。

 ……ん? なんか、みんなの視線が私に注がれているような?

「ちょっとローゼ⁉ なんで生きてんの?」

「ベレニス、元から死んでないって!」

「奇跡っすね。ていうか策ってなんすか?」

「フィーリア、そこは無視して」

「全然大丈夫そうだね~。うん。元通りっぽい。普段の抜けてるローゼの顔だね~」

「クリス? どういう意味かな?」

「うおおおおおお、姉様ああああああ。ご無事で何よりですうううううう」

「レオノール! 涙と鼻水出しながら、抱きついて来るなああああああ!」

 私はみんなにツッコミながら、レオノールの突進を受け止めるのだった。

 そこへ、リョウが私の前に立つ。

 もう……早くみんなみたいに口にしてよ。

「ああ、その、なんだ。無事でよかった」

「……うん。リョウも。みんなも」

 こうして、私は私として復活した。
 まったく、リョウめ。もうちょい気の利いたセリフを吐いて欲しかったけど、リョウだから仕方がない。

 私はリョウの胸を小突いて、笑顔を見せるのであった!

 そんな翌日。

 ガーデリア領主、アレイスター伯爵に挨拶して、旅立ちの準備をする私たち。

 アレイスター伯爵は70歳を越えた老人だが、知識人であり、この地方の歴史についても造詣が深く、旅立つ前に話を聞くことができた。

「大昔、3人の魔女が雨を降らせて干ばつに苦しむこの地方を救った、と聞いております」

 そう私が訊ねると、伯爵は即座に金髪のディル、赤髪のチャービル、黒髪のマツバの名前を出した。

「大陸暦85年頃の出来事ですね。3人の魔女は少女にもかかわらず、絶大な魔力を持っていたと、この地に伝わっております」

 ……大陸暦85年。ディンレル王国滅亡の、私が夢で見たディルたちがバアフィンに殺された95年後の時間軸。

 魔王アリスが魂に呪いをかけ、ディルたちは転生を繰り返していると考えるのが無難だろう。

 邪教『真実の眼』の目的や、ディルが私を育てた意味がおぼろげながら見えた気がする。

「一度リオーネに戻って、ダリム宰相を締め上げ……もとい、知っていることを全て教えてもらうのが無難かな?」

 ディンレル王国王都リュンカーラがあった地に行く手段もあるが、正直言うと少し怖い。
 今の私がリュンカーラの地に足を踏み入れると、私が私のままでいられなくなる気がしたからだ。

 それに、家出状態のレオノールについても、きちんとマーガレット叔母様とラインハルト王に、私たちの旅の仲間とする許可を取らないとね。

 レオノールは最初渋い顔をしたけど、私の「これからも頼むね、レオノール」と聞いて喜び、みんなからの反対意見もなくてさらに喜び、私の意見に賛成してくれた。

「勉強については、わたくしが教えますから覚悟してくださいね、レオノール」

 ヴィレッタにそう言われて、レオノールは少し震えていたけど。
 
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