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第7章 絶望の鐘
第34話 ヴィレッタの謀略
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翌朝、私は久しぶりに夢を見た記憶がなく目覚めた。
「さてと、リョウたちはどこへ向かったのかな? 合流して一緒に探すとしますか。フタエゴとバラオビがちゃんと一緒にいるかも確認したいし」
「ローゼ、まだ大人しくしてくださいまし。昨日まで目覚めなかったのです。無茶はさせられません」
う~ん。もう完全復活しているんだけどなあ。
「魔王軍五大将軍と、自ら名乗る人物が滅ぼされたのです。現状は新たな魔族の出現はありませんが、注意深く慎重に行動しなければなりません。リョウ様たちがお戻りになるまで休んでいてください」
ヴィレッタは慎重なんだよね。
そこが頼りになったりするんだけど、今は身体を動かしたい気分なんだよな~。
リョウたちをずっと待ちぼうけして、いつ戻ってくるかわからない状況、しかも私のために動いている。
なら、もう大丈夫って伝えたほうがいいよね。
私はヴィレッタにそう伝えるが、彼女は何か閃いたのか目を輝かせる。
「ローゼ、思いつきました。ローゼはリョウ様が雪の雫を持ち帰ったら、それを飲んで復活したとアピールしましょう」
「ん? どういうこと?」
「そうすることで、リョウ様はローゼを救ったという達成感と、ローゼが感謝を伝えることで、深く記憶に刻まれる思い出となります」
「んん?」
「これは進展しない2人への好機です! ローゼ、わたくしの言う通りにしてくださいませ」
「ほえっ⁉ ちょっ⁉ ヴィレッタ!」
「大丈夫です。ベレニスが嘘に気づく可能性がありますが、わたくしから言い含めます。フィーリアは察して沈黙すると思います。クリスは、わたくしのマナー講座を一回休みにすれば取引成立するでしょう。レオノールとリョウ様は単純ですので、気づかないはずです。きっと成功します」
おお! クールビューティーなヴィレッタの即席の謀略発動!
自信満々で、ガーデリア領主邸の人たちにテキパキ指示していく。
言っちゃいけない雰囲気だなあ。
完璧っぽいけどそれ、穴だらけだって。
成功したところで、私とリョウの関係性に進展はないと思うし。
……ちょっと泣けてきた。
まあ、でも、私のために考えてくれるヴィレッタの気持ちは嬉しい。
リョウの反応を見たいし、演技するのもありかな?
こうして私たちは策を入念に詰め、リョウたちの帰りを待った。
そして翌日の夕刻。
みんなが帰還したのである!
部屋の窓から見下ろして、みんなの様子を窺う。
どうなるのかなあ、ちょっとワクワク。
ヴィレッタが迎えに行き、中庭でリョウたちと合流する。
みんな疲れているのかな、顔が暗い。
ん? あれ? リョウが頭を下げてる?
ベレニスも泣いてる?
レオノールも拳で地面を叩きつけているし、フィーリアは何やら真剣な顔で、まだ手はあるかと考えている表情だ。
クリスは……やばい、私と目が合った⁉
というか、この状況で上を見るなよ。
クリスは不思議そうに、口を開けてポカンとしている。
フタエゴとバラオビはあくびしてやがる。
ヴィレッタは立ち眩みしたみたいで、身体が崩れていく。
そこで私はこれはまずいと魔法で飛び降り、ヴィレッタを抱きかかえた。
「ちょっと、どうしたの⁉」
「どうもこうもありません! リョウ様たちは雪の雫の入手に失敗したのです。時期的に、もう入手は不可能だったそうです」
うん、知ってた。
あれって初雪っていう条件なんだよね。
ディルのところでの修行時代、よく精製を手伝ってたから覚えているよ。
……なんてヴィレッタに言えるわけもなく、私は苦笑いしつつ口にする。
「そっか~。まあ、季節限定品なら仕方ないよ」
「ああ……わたくしの策が。台無しです」
凹むヴィレッタだが、元々無理がある策だ。
そこまで凹まなくてもいいし、私は気にしていないよ。
……ん? なんか、みんなの視線が私に注がれているような?
「ちょっとローゼ⁉ なんで生きてんの?」
「ベレニス、元から死んでないって!」
「奇跡っすね。ていうか策ってなんすか?」
「フィーリア、そこは無視して」
「全然大丈夫そうだね~。うん。元通りっぽい。普段の抜けてるローゼの顔だね~」
「クリス? どういう意味かな?」
「うおおおおおお、姉様ああああああ。ご無事で何よりですうううううう」
「レオノール! 涙と鼻水出しながら、抱きついて来るなああああああ!」
私はみんなにツッコミながら、レオノールの突進を受け止めるのだった。
そこへ、リョウが私の前に立つ。
もう……早くみんなみたいに口にしてよ。
「ああ、その、なんだ。無事でよかった」
「……うん。リョウも。みんなも」
こうして、私は私として復活した。
まったく、リョウめ。もうちょい気の利いたセリフを吐いて欲しかったけど、リョウだから仕方がない。
私はリョウの胸を小突いて、笑顔を見せるのであった!
そんな翌日。
ガーデリア領主、アレイスター伯爵に挨拶して、旅立ちの準備をする私たち。
アレイスター伯爵は70歳を越えた老人だが、知識人であり、この地方の歴史についても造詣が深く、旅立つ前に話を聞くことができた。
「大昔、3人の魔女が雨を降らせて干ばつに苦しむこの地方を救った、と聞いております」
そう私が訊ねると、伯爵は即座に金髪のディル、赤髪のチャービル、黒髪のマツバの名前を出した。
「大陸暦85年頃の出来事ですね。3人の魔女は少女にもかかわらず、絶大な魔力を持っていたと、この地に伝わっております」
……大陸暦85年。ディンレル王国滅亡の、私が夢で見たディルたちがバアフィンに殺された95年後の時間軸。
魔王アリスが魂に呪いをかけ、ディルたちは転生を繰り返していると考えるのが無難だろう。
邪教『真実の眼』の目的や、ディルが私を育てた意味がおぼろげながら見えた気がする。
「一度リオーネに戻って、ダリム宰相を締め上げ……もとい、知っていることを全て教えてもらうのが無難かな?」
ディンレル王国王都リュンカーラがあった地に行く手段もあるが、正直言うと少し怖い。
今の私がリュンカーラの地に足を踏み入れると、私が私のままでいられなくなる気がしたからだ。
それに、家出状態のレオノールについても、きちんとマーガレット叔母様とラインハルト王に、私たちの旅の仲間とする許可を取らないとね。
レオノールは最初渋い顔をしたけど、私の「これからも頼むね、レオノール」と聞いて喜び、みんなからの反対意見もなくてさらに喜び、私の意見に賛成してくれた。
「勉強については、わたくしが教えますから覚悟してくださいね、レオノール」
ヴィレッタにそう言われて、レオノールは少し震えていたけど。
「さてと、リョウたちはどこへ向かったのかな? 合流して一緒に探すとしますか。フタエゴとバラオビがちゃんと一緒にいるかも確認したいし」
「ローゼ、まだ大人しくしてくださいまし。昨日まで目覚めなかったのです。無茶はさせられません」
う~ん。もう完全復活しているんだけどなあ。
「魔王軍五大将軍と、自ら名乗る人物が滅ぼされたのです。現状は新たな魔族の出現はありませんが、注意深く慎重に行動しなければなりません。リョウ様たちがお戻りになるまで休んでいてください」
ヴィレッタは慎重なんだよね。
そこが頼りになったりするんだけど、今は身体を動かしたい気分なんだよな~。
リョウたちをずっと待ちぼうけして、いつ戻ってくるかわからない状況、しかも私のために動いている。
なら、もう大丈夫って伝えたほうがいいよね。
私はヴィレッタにそう伝えるが、彼女は何か閃いたのか目を輝かせる。
「ローゼ、思いつきました。ローゼはリョウ様が雪の雫を持ち帰ったら、それを飲んで復活したとアピールしましょう」
「ん? どういうこと?」
「そうすることで、リョウ様はローゼを救ったという達成感と、ローゼが感謝を伝えることで、深く記憶に刻まれる思い出となります」
「んん?」
「これは進展しない2人への好機です! ローゼ、わたくしの言う通りにしてくださいませ」
「ほえっ⁉ ちょっ⁉ ヴィレッタ!」
「大丈夫です。ベレニスが嘘に気づく可能性がありますが、わたくしから言い含めます。フィーリアは察して沈黙すると思います。クリスは、わたくしのマナー講座を一回休みにすれば取引成立するでしょう。レオノールとリョウ様は単純ですので、気づかないはずです。きっと成功します」
おお! クールビューティーなヴィレッタの即席の謀略発動!
自信満々で、ガーデリア領主邸の人たちにテキパキ指示していく。
言っちゃいけない雰囲気だなあ。
完璧っぽいけどそれ、穴だらけだって。
成功したところで、私とリョウの関係性に進展はないと思うし。
……ちょっと泣けてきた。
まあ、でも、私のために考えてくれるヴィレッタの気持ちは嬉しい。
リョウの反応を見たいし、演技するのもありかな?
こうして私たちは策を入念に詰め、リョウたちの帰りを待った。
そして翌日の夕刻。
みんなが帰還したのである!
部屋の窓から見下ろして、みんなの様子を窺う。
どうなるのかなあ、ちょっとワクワク。
ヴィレッタが迎えに行き、中庭でリョウたちと合流する。
みんな疲れているのかな、顔が暗い。
ん? あれ? リョウが頭を下げてる?
ベレニスも泣いてる?
レオノールも拳で地面を叩きつけているし、フィーリアは何やら真剣な顔で、まだ手はあるかと考えている表情だ。
クリスは……やばい、私と目が合った⁉
というか、この状況で上を見るなよ。
クリスは不思議そうに、口を開けてポカンとしている。
フタエゴとバラオビはあくびしてやがる。
ヴィレッタは立ち眩みしたみたいで、身体が崩れていく。
そこで私はこれはまずいと魔法で飛び降り、ヴィレッタを抱きかかえた。
「ちょっと、どうしたの⁉」
「どうもこうもありません! リョウ様たちは雪の雫の入手に失敗したのです。時期的に、もう入手は不可能だったそうです」
うん、知ってた。
あれって初雪っていう条件なんだよね。
ディルのところでの修行時代、よく精製を手伝ってたから覚えているよ。
……なんてヴィレッタに言えるわけもなく、私は苦笑いしつつ口にする。
「そっか~。まあ、季節限定品なら仕方ないよ」
「ああ……わたくしの策が。台無しです」
凹むヴィレッタだが、元々無理がある策だ。
そこまで凹まなくてもいいし、私は気にしていないよ。
……ん? なんか、みんなの視線が私に注がれているような?
「ちょっとローゼ⁉ なんで生きてんの?」
「ベレニス、元から死んでないって!」
「奇跡っすね。ていうか策ってなんすか?」
「フィーリア、そこは無視して」
「全然大丈夫そうだね~。うん。元通りっぽい。普段の抜けてるローゼの顔だね~」
「クリス? どういう意味かな?」
「うおおおおおお、姉様ああああああ。ご無事で何よりですうううううう」
「レオノール! 涙と鼻水出しながら、抱きついて来るなああああああ!」
私はみんなにツッコミながら、レオノールの突進を受け止めるのだった。
そこへ、リョウが私の前に立つ。
もう……早くみんなみたいに口にしてよ。
「ああ、その、なんだ。無事でよかった」
「……うん。リョウも。みんなも」
こうして、私は私として復活した。
まったく、リョウめ。もうちょい気の利いたセリフを吐いて欲しかったけど、リョウだから仕方がない。
私はリョウの胸を小突いて、笑顔を見せるのであった!
そんな翌日。
ガーデリア領主、アレイスター伯爵に挨拶して、旅立ちの準備をする私たち。
アレイスター伯爵は70歳を越えた老人だが、知識人であり、この地方の歴史についても造詣が深く、旅立つ前に話を聞くことができた。
「大昔、3人の魔女が雨を降らせて干ばつに苦しむこの地方を救った、と聞いております」
そう私が訊ねると、伯爵は即座に金髪のディル、赤髪のチャービル、黒髪のマツバの名前を出した。
「大陸暦85年頃の出来事ですね。3人の魔女は少女にもかかわらず、絶大な魔力を持っていたと、この地に伝わっております」
……大陸暦85年。ディンレル王国滅亡の、私が夢で見たディルたちがバアフィンに殺された95年後の時間軸。
魔王アリスが魂に呪いをかけ、ディルたちは転生を繰り返していると考えるのが無難だろう。
邪教『真実の眼』の目的や、ディルが私を育てた意味がおぼろげながら見えた気がする。
「一度リオーネに戻って、ダリム宰相を締め上げ……もとい、知っていることを全て教えてもらうのが無難かな?」
ディンレル王国王都リュンカーラがあった地に行く手段もあるが、正直言うと少し怖い。
今の私がリュンカーラの地に足を踏み入れると、私が私のままでいられなくなる気がしたからだ。
それに、家出状態のレオノールについても、きちんとマーガレット叔母様とラインハルト王に、私たちの旅の仲間とする許可を取らないとね。
レオノールは最初渋い顔をしたけど、私の「これからも頼むね、レオノール」と聞いて喜び、みんなからの反対意見もなくてさらに喜び、私の意見に賛成してくれた。
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楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
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小説家になろうにも投稿しています。
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