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魔法学校高等部編
30.お嬢様と西の法国
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目が覚めると。
見覚えのある天井とベッドの大きな天蓋がぼんやりと見えてきた。
いつもの……見慣れた風景なんだけど。
あれ?
身体を起こして、見渡すと。
すぐ隣にナナミちゃんとキナコの寝顔があった。
えーと。
……。
…………。
かみたちゃんが部屋来たのって。
夢……だったのかな?
とりあえず。
隣で幸せそうに寝ているキナコの頬を、指で軽くつついてみる。
彼女の頬はぷにぷにしていて、とても柔らかい。
「むにゃむにゃ、どうしたんですか、ご主人様……」
キナコは眠そうな顔をして、うっすらと目を開けた。
「ねぇ、昨日の夜、かみたちゃん来てた……よね?」
「えー……?」
彼女は少しだけ考える仕草をした後。
目が少しずつ閉じていった。
自分と同じ姿なのに。
眠気を我慢してる感じがすごくカワイイ。
カワイイんだけど……。
「ちょっと。キナコ、聞いてる?」
「あー……。ご主人様、かみたちゃんならいつも一緒にいるじゃないですか……」
「え?」
キナコは私を指さした後。
また夢の中に戻っていった。
うーん、仕方ないか。
あとでちゃんと聞いておこう。
**********
午後の魔法学校。
授業が全て終わった頃。
校内放送が流れてきた。
この音楽は、校長先生からのお知らせだ。
「生徒会長のクレナ・ハルセルトさん。至急、校長室におこしください」
え?
何で校内放送で呼び出し受けてるのさ。
「……クレナ、アンタなにやかったの?」
ジェラちゃんが少し目線を伏せながら、話しかけてくる。
なんだか。
最近ジェラちゃんが全然目を合わせてくれないんだよね。
気のせい……なのかなぁ。
「うーん? 特に変わったことはなかったんだけど。なんだろう?」
とりあえず、笑顔で答える。
心配させたくないしね。
全然心当たりがないんだけど、なんだろう?
「も、もしも困ったことになったら、すぐに言いなさいよね!」
ジェラちゃんが、私の両肩をつかんでまっすぐ見つめてきた後。
パッと手を話して後ろを向いた。
え?
「お、幼馴染なんだからさ……」
なんだろう?
少しうるんだ瞳が……なんだかすごく可愛く見えるんだけど。
やっぱり、ジェラちゃんは少し……変だと思う。
もしかして……悩みとかあるのかな。
声をかけようとした瞬間。
「幼馴染といえば、わたくしも幼馴染ですわ!」
リリーちゃんが横から抱きついてきた。
彼女の金色の髪から、ふわりと花のような香りがした。
少し赤みがかった白くて柔らかい頬。
愛くるしい唇。
まるで恋をしているようなうるんだ瞳。
目に映る彼女のすべてが可愛らして。
――これ絶対反則だよ。
可愛すぎるよ。
男性だったら……ううん。
同性の私でも……すごくドキドキする。
「よかったら、校長室までご一緒しませんか?」
「う、うん。ありがとう、リリーちゃん」
「どういたしまして」
目の前で天使のように微笑むリリーちゃんに。
思わず固まってしまう。
……ダメだ、どうしよう。
頬が熱くなっていくのを感じる。
まずいよね、これ。
自然に。
自然に笑顔を作らないと。
「ちょっと! リリアナがいくなら、私もいくわよ!」
「あら? わたくし一人で十分ですわよ?」
「なんだ、そういうことなら、僕も一緒にいくよ」
「お姉ちゃん、私も行っていいよね?」
えーと、あれ?
私、校長室に行くだけだよね?
「はぁ、それじゃあ、ボクも付き合いますよ」
ちょっと、キナコ!
なんでそんな大きなため息つくのさ!
**********
校長室の扉をノックした後。
私たちは、校長室に通された
みんなとは、入り口で別れるはずだったんだけど。
案内役の執事さんが、ニコニコしながら全員を室内に案内してくれた。
学校に執事がいるとか……前世の学校では考えられなかったよね。
「あら、お呼びしたのはクレナさんだけでしたのに」
「申し訳ありません、」
「いいえ、生徒会の話なんです。全員いらっしゃるなら、せっかくなので一緒に聞いてもらいましょうか」
え? 全員?
あらためて校長室を見ると。
部屋の中央にある大きなソファーに、シュトレ王子が座っていた。
「シュトレ王子?!」
「クレナ、遅かったね」
何でシュトレ王子が先に校長室にいるの?
「オレも呼ばれてたんだよ。授業前に偶然校長先生にお会いした時にね」
あー。
それで校内放送はなかったのかぁ。
校長先生が、両手で合図をすると。
さっきの執事さんが、全員分の紅茶を淹れてくれた。
「さぁ、みなさん座ってください」
私たちは、校長先生にうながされて、ソファーに座る。
「今年は、セーレスト神聖法国の交流会を中止したのですが、向こうがどうしても交流会がしたいと言ってきまして」
交流会は、ファルシア王国とセーレスト神聖法国のにある魔法学校の生徒会が、お互いの学校を訪問して。
生徒同士の友好を深めるための行事なんけど。
今年は、帝国の生徒会と交流会をしたので。
別のイベントで交流しようって話になったはず。
乙女ゲーム『ファルシアの星乙女』では神聖法国との交流会だったから。
もし開催するなら、ゲーム通りになるんだけど。
それに。交流会での相手との好感度次第で。
ラスボス登場時に、竜騎士団が駆けつけてくれる熱い展開があるから。
現実でも、是非やっておきたいイベントなんだよね。
……でも、これって。
かみたちゃんの言葉が頭に浮かぶ。
『西に白い聖竜がいます。その子に会ってあげてくださいー』
彼女が言ってたのって、この神聖法国のことだよね?
慌ててキナコをみると、彼女はこっくりと頷いた。
やっぱり。
――かみたちゃんが部屋に来たのって、夢じゃなかったんだ。
「向こうの生徒会は、あなた方を国に招待したいと言っています」
校長先生は穏やかに微笑んだ。
もし、法国に聖竜がいるなら。
行かない理由なんてないよね。
「わかりました。そのご招待、是非お受けします」
うーん。
でも。
ゲームの中で、白い聖竜なんて……出てきたかなぁ。
もしかして、隠しイベント?
向こうの生徒会長ルートが実はあったとか?
……あとで、ジェラちゃんとガトーくんに聞いてみようかな。
見覚えのある天井とベッドの大きな天蓋がぼんやりと見えてきた。
いつもの……見慣れた風景なんだけど。
あれ?
身体を起こして、見渡すと。
すぐ隣にナナミちゃんとキナコの寝顔があった。
えーと。
……。
…………。
かみたちゃんが部屋来たのって。
夢……だったのかな?
とりあえず。
隣で幸せそうに寝ているキナコの頬を、指で軽くつついてみる。
彼女の頬はぷにぷにしていて、とても柔らかい。
「むにゃむにゃ、どうしたんですか、ご主人様……」
キナコは眠そうな顔をして、うっすらと目を開けた。
「ねぇ、昨日の夜、かみたちゃん来てた……よね?」
「えー……?」
彼女は少しだけ考える仕草をした後。
目が少しずつ閉じていった。
自分と同じ姿なのに。
眠気を我慢してる感じがすごくカワイイ。
カワイイんだけど……。
「ちょっと。キナコ、聞いてる?」
「あー……。ご主人様、かみたちゃんならいつも一緒にいるじゃないですか……」
「え?」
キナコは私を指さした後。
また夢の中に戻っていった。
うーん、仕方ないか。
あとでちゃんと聞いておこう。
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午後の魔法学校。
授業が全て終わった頃。
校内放送が流れてきた。
この音楽は、校長先生からのお知らせだ。
「生徒会長のクレナ・ハルセルトさん。至急、校長室におこしください」
え?
何で校内放送で呼び出し受けてるのさ。
「……クレナ、アンタなにやかったの?」
ジェラちゃんが少し目線を伏せながら、話しかけてくる。
なんだか。
最近ジェラちゃんが全然目を合わせてくれないんだよね。
気のせい……なのかなぁ。
「うーん? 特に変わったことはなかったんだけど。なんだろう?」
とりあえず、笑顔で答える。
心配させたくないしね。
全然心当たりがないんだけど、なんだろう?
「も、もしも困ったことになったら、すぐに言いなさいよね!」
ジェラちゃんが、私の両肩をつかんでまっすぐ見つめてきた後。
パッと手を話して後ろを向いた。
え?
「お、幼馴染なんだからさ……」
なんだろう?
少しうるんだ瞳が……なんだかすごく可愛く見えるんだけど。
やっぱり、ジェラちゃんは少し……変だと思う。
もしかして……悩みとかあるのかな。
声をかけようとした瞬間。
「幼馴染といえば、わたくしも幼馴染ですわ!」
リリーちゃんが横から抱きついてきた。
彼女の金色の髪から、ふわりと花のような香りがした。
少し赤みがかった白くて柔らかい頬。
愛くるしい唇。
まるで恋をしているようなうるんだ瞳。
目に映る彼女のすべてが可愛らして。
――これ絶対反則だよ。
可愛すぎるよ。
男性だったら……ううん。
同性の私でも……すごくドキドキする。
「よかったら、校長室までご一緒しませんか?」
「う、うん。ありがとう、リリーちゃん」
「どういたしまして」
目の前で天使のように微笑むリリーちゃんに。
思わず固まってしまう。
……ダメだ、どうしよう。
頬が熱くなっていくのを感じる。
まずいよね、これ。
自然に。
自然に笑顔を作らないと。
「ちょっと! リリアナがいくなら、私もいくわよ!」
「あら? わたくし一人で十分ですわよ?」
「なんだ、そういうことなら、僕も一緒にいくよ」
「お姉ちゃん、私も行っていいよね?」
えーと、あれ?
私、校長室に行くだけだよね?
「はぁ、それじゃあ、ボクも付き合いますよ」
ちょっと、キナコ!
なんでそんな大きなため息つくのさ!
**********
校長室の扉をノックした後。
私たちは、校長室に通された
みんなとは、入り口で別れるはずだったんだけど。
案内役の執事さんが、ニコニコしながら全員を室内に案内してくれた。
学校に執事がいるとか……前世の学校では考えられなかったよね。
「あら、お呼びしたのはクレナさんだけでしたのに」
「申し訳ありません、」
「いいえ、生徒会の話なんです。全員いらっしゃるなら、せっかくなので一緒に聞いてもらいましょうか」
え? 全員?
あらためて校長室を見ると。
部屋の中央にある大きなソファーに、シュトレ王子が座っていた。
「シュトレ王子?!」
「クレナ、遅かったね」
何でシュトレ王子が先に校長室にいるの?
「オレも呼ばれてたんだよ。授業前に偶然校長先生にお会いした時にね」
あー。
それで校内放送はなかったのかぁ。
校長先生が、両手で合図をすると。
さっきの執事さんが、全員分の紅茶を淹れてくれた。
「さぁ、みなさん座ってください」
私たちは、校長先生にうながされて、ソファーに座る。
「今年は、セーレスト神聖法国の交流会を中止したのですが、向こうがどうしても交流会がしたいと言ってきまして」
交流会は、ファルシア王国とセーレスト神聖法国のにある魔法学校の生徒会が、お互いの学校を訪問して。
生徒同士の友好を深めるための行事なんけど。
今年は、帝国の生徒会と交流会をしたので。
別のイベントで交流しようって話になったはず。
乙女ゲーム『ファルシアの星乙女』では神聖法国との交流会だったから。
もし開催するなら、ゲーム通りになるんだけど。
それに。交流会での相手との好感度次第で。
ラスボス登場時に、竜騎士団が駆けつけてくれる熱い展開があるから。
現実でも、是非やっておきたいイベントなんだよね。
……でも、これって。
かみたちゃんの言葉が頭に浮かぶ。
『西に白い聖竜がいます。その子に会ってあげてくださいー』
彼女が言ってたのって、この神聖法国のことだよね?
慌ててキナコをみると、彼女はこっくりと頷いた。
やっぱり。
――かみたちゃんが部屋に来たのって、夢じゃなかったんだ。
「向こうの生徒会は、あなた方を国に招待したいと言っています」
校長先生は穏やかに微笑んだ。
もし、法国に聖竜がいるなら。
行かない理由なんてないよね。
「わかりました。そのご招待、是非お受けします」
うーん。
でも。
ゲームの中で、白い聖竜なんて……出てきたかなぁ。
もしかして、隠しイベント?
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……あとで、ジェラちゃんとガトーくんに聞いてみようかな。
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