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21.家族の特権
「申し訳ありません。カティが過去から戻ったのが一昨日ですのでお伝えする時間がなかったのです。俺を婚約者に据えて、クリストフ様への対策を取るのが最優先でしたから」
「なるほど、カトリーヌとクリストフ様が婚約すると不都合なんだな」
「そうです。過去ではカティとクリストフ様は婚約しました。ですが、ルイーズ様がクリストフ様を魅了したのでカティは虐げられておりました」
「最低だな。大抵の魅了魔法は回数制限があると思うが、ルイーズは何回くらい魅了魔法が使えるんだ?」
「確実ではありませんが、もう使えないと思います。監視に甘えて出してくれと強請っていると団長が言っておりました。その後、なぜ自分に魅了されないのだと激昂するそうです。知らない人間から見ると、色仕掛けに失敗しているだけですからそんなに自信があるのかと騎士達から失笑されております。何度も魅了を試しているのでしょうね。騎士は誰もルイーズ様にも魅了されておりませんから、大丈夫だと思います。ですが、確認されるまではルイーズ様に近づかない事をお勧め致しますよ。王太子殿下が魅了されれば国家の危機です。みんな貴方様を信頼し、慕っておりますから我が国はルイーズ様のおもちゃになってしまいます」
「……なんだと?」
「お兄様、ルイーズの魅了は生涯で1人だけしか効かないのです。リュカに使ったから多分もう誰も魅了されないと思いますが、魅了した相手に好意を持っている者にも効くの。だから、お兄様が魅了されてしまうとお義姉様を始め城中、いえ、国中の者がおかしくなってしまいますわ」
「ふむ。なるほど。だから父上は昨日急に絶対にルイーズと会うなと伝言してきたんだな。そんな強力な力、ルイーズのような我儘娘ならすぐに父上に使いそうなものだが、よく温存していたな」
「お父様は、魅了が効きませんの」
「ああ、そういえばそうだったな」
「予想でしかありませんが、シャヴァネル公爵夫人は国王陛下に魅了が効かない事をご存知なのではないでしょうか。だからルイーズ様にお似合いの王子が現れるまで魅了は温存しろとご指示なさったのでしょう。ルイーズ様は何故かカティを目の敵にしておりますからね。カティの婚約者となった俺に狙いをつけてくれる単純な方で助かりました。幸せそうなカティを見れば、嫉妬心で俺に目をつけると予想していたんです」
「もしかして、ルイーズを呼んだのはリュカなの?」
「ルイーズ様がパーティーに行こうとしたら邪魔する予定だったらしいんだが、監視だけにしてもらったんだ。たまたまルイーズ様が城に居たから、仲間達にわざと誕生日パーティーのカティはさぞ美しいんだろうなと噂話をして貰ったくらいはしたかな。勝手に来たのは向こうだよ。国王陛下も、シャヴァネル公爵夫人は転移が使えるか確かめたいと仰っていたから罠を張ったんだ。ルイーズ様は自分よりカティが目立つのが許せないから、カティを褒めればパーティーに乱入すると思ったんだけど、うまくいったみたいで良かった」
「ずいぶん根回しが良いな。リュカはルイーズが自分を狙うと自信があったのか?」
「正直、賭けでした。でも、カティが幸せそうにダンスをした時に会場の隅でルイーズ様がハンカチを噛んでおられましたので、いけるとは思っていました。またクリストフ様に目を付けたら困るので、仲間達に頼んで2人が会わないように誘導して貰っていました。今のクリストフ様なら我が国がおかしくなる事はないでしょうけれど、大国の王太子を魅了されると国際問題になりますからね」
「また……だと? それに、カトリーヌは過去から戻ったと……。そうか、カトリーヌの魔法は時を遡るんだね」
「はい。わたくしは生涯に一度だけ過去に戻れます。もう使ってしまいましたから、再びやり直す事は出来ません」
「カティの魔法は、本来なら記憶が残るのはカティだけなのです。ですが、俺は魔法が効きにくいので記憶が残っています。今夜、未来でどんな事が起きたか全てお話しします。どうか対策をお願いします。俺は、カティが不幸になる未来は認めません」
「そうか。分かった。リュカは死んだと言っていたな。魔法を無効化するのに、よく生き……」
「王太子殿下、俺は訓練に戻りますのでお話は夜でよろしいですか?」
リュカが、お兄様の言葉を遮るなんて珍しいですわね。お兄様も、なんだか顔色が悪いような……?
リュカがお兄様に礼をすると、お兄様は渋い顔で仰いました。
「後でゆっくり話を聞かせろ。2人だけでな」
「御意」
「私はそろそろ戻る。カトリーヌ、送るから一緒に行こう」
「分かりましたわ。リュカはまだ訓練があるのよね?」
「ああ。夜には行くから、また後で会おうな。そういえば、みんなにわざわざ菓子を配ったんだって?」
「ええ、たくさん用意したからリュカも食べてね。料理長の自信作よ! 本当はわたくしが作れたら良かったんだけど、料理をした事がないから無理だったの。今度、練習しておくわ」
「なっ……! カトリーヌの手作りだと! カトリーヌ! リュカに渡す時は完璧な物をあげたいよね?! 私が先に味見してあげるよ!」
「本当ですか! ありがとうございますお兄様!」
料理をした事がないから不安だったのよね。お兄様なら的確なアドバイスを頂けそうだわ。
「王太子殿下、俺の特権を奪わないで下さいっ!」
「ふん! これは家族の特権だ」
「なるほど、カトリーヌとクリストフ様が婚約すると不都合なんだな」
「そうです。過去ではカティとクリストフ様は婚約しました。ですが、ルイーズ様がクリストフ様を魅了したのでカティは虐げられておりました」
「最低だな。大抵の魅了魔法は回数制限があると思うが、ルイーズは何回くらい魅了魔法が使えるんだ?」
「確実ではありませんが、もう使えないと思います。監視に甘えて出してくれと強請っていると団長が言っておりました。その後、なぜ自分に魅了されないのだと激昂するそうです。知らない人間から見ると、色仕掛けに失敗しているだけですからそんなに自信があるのかと騎士達から失笑されております。何度も魅了を試しているのでしょうね。騎士は誰もルイーズ様にも魅了されておりませんから、大丈夫だと思います。ですが、確認されるまではルイーズ様に近づかない事をお勧め致しますよ。王太子殿下が魅了されれば国家の危機です。みんな貴方様を信頼し、慕っておりますから我が国はルイーズ様のおもちゃになってしまいます」
「……なんだと?」
「お兄様、ルイーズの魅了は生涯で1人だけしか効かないのです。リュカに使ったから多分もう誰も魅了されないと思いますが、魅了した相手に好意を持っている者にも効くの。だから、お兄様が魅了されてしまうとお義姉様を始め城中、いえ、国中の者がおかしくなってしまいますわ」
「ふむ。なるほど。だから父上は昨日急に絶対にルイーズと会うなと伝言してきたんだな。そんな強力な力、ルイーズのような我儘娘ならすぐに父上に使いそうなものだが、よく温存していたな」
「お父様は、魅了が効きませんの」
「ああ、そういえばそうだったな」
「予想でしかありませんが、シャヴァネル公爵夫人は国王陛下に魅了が効かない事をご存知なのではないでしょうか。だからルイーズ様にお似合いの王子が現れるまで魅了は温存しろとご指示なさったのでしょう。ルイーズ様は何故かカティを目の敵にしておりますからね。カティの婚約者となった俺に狙いをつけてくれる単純な方で助かりました。幸せそうなカティを見れば、嫉妬心で俺に目をつけると予想していたんです」
「もしかして、ルイーズを呼んだのはリュカなの?」
「ルイーズ様がパーティーに行こうとしたら邪魔する予定だったらしいんだが、監視だけにしてもらったんだ。たまたまルイーズ様が城に居たから、仲間達にわざと誕生日パーティーのカティはさぞ美しいんだろうなと噂話をして貰ったくらいはしたかな。勝手に来たのは向こうだよ。国王陛下も、シャヴァネル公爵夫人は転移が使えるか確かめたいと仰っていたから罠を張ったんだ。ルイーズ様は自分よりカティが目立つのが許せないから、カティを褒めればパーティーに乱入すると思ったんだけど、うまくいったみたいで良かった」
「ずいぶん根回しが良いな。リュカはルイーズが自分を狙うと自信があったのか?」
「正直、賭けでした。でも、カティが幸せそうにダンスをした時に会場の隅でルイーズ様がハンカチを噛んでおられましたので、いけるとは思っていました。またクリストフ様に目を付けたら困るので、仲間達に頼んで2人が会わないように誘導して貰っていました。今のクリストフ様なら我が国がおかしくなる事はないでしょうけれど、大国の王太子を魅了されると国際問題になりますからね」
「また……だと? それに、カトリーヌは過去から戻ったと……。そうか、カトリーヌの魔法は時を遡るんだね」
「はい。わたくしは生涯に一度だけ過去に戻れます。もう使ってしまいましたから、再びやり直す事は出来ません」
「カティの魔法は、本来なら記憶が残るのはカティだけなのです。ですが、俺は魔法が効きにくいので記憶が残っています。今夜、未来でどんな事が起きたか全てお話しします。どうか対策をお願いします。俺は、カティが不幸になる未来は認めません」
「そうか。分かった。リュカは死んだと言っていたな。魔法を無効化するのに、よく生き……」
「王太子殿下、俺は訓練に戻りますのでお話は夜でよろしいですか?」
リュカが、お兄様の言葉を遮るなんて珍しいですわね。お兄様も、なんだか顔色が悪いような……?
リュカがお兄様に礼をすると、お兄様は渋い顔で仰いました。
「後でゆっくり話を聞かせろ。2人だけでな」
「御意」
「私はそろそろ戻る。カトリーヌ、送るから一緒に行こう」
「分かりましたわ。リュカはまだ訓練があるのよね?」
「ああ。夜には行くから、また後で会おうな。そういえば、みんなにわざわざ菓子を配ったんだって?」
「ええ、たくさん用意したからリュカも食べてね。料理長の自信作よ! 本当はわたくしが作れたら良かったんだけど、料理をした事がないから無理だったの。今度、練習しておくわ」
「なっ……! カトリーヌの手作りだと! カトリーヌ! リュカに渡す時は完璧な物をあげたいよね?! 私が先に味見してあげるよ!」
「本当ですか! ありがとうございますお兄様!」
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「ふん! これは家族の特権だ」
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