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29.決意【リュカ視点】
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「そんなの無茶だよ。僕は兄上とリュカが模擬戦をしたって聞いたから気が付いたんだから。過去で、リュカは本気の兄上と模擬戦をした事なんてある?」
「いえ、ありません……」
「だよね。兄上が魔法まで使って戦う相手は団長くらいだ。姉さんとリュカが婚約しなかったら、兄上だってリュカに本気で挑んだりしないよ」
「……ですが、私の魔法なのに……」
「分かる訳ないじゃん。過去と今じゃ条件が違い過ぎる。リュカは充分よくやってるよ。姉さんはリュカが良いって言ったんだから自信を持って。パーティーではだいぶ認められたけど、身分差もあるからどこで横槍が入るか分からないんだから、婚姻するまでは王族より王族らしく振る舞って。僕らは幼い頃から教育されていたんだから出来て当たり前だよ。だから僕らと比較しないで」
「そんな事ありません。ローラン王子も、他の王族の方々も私の何倍も努力なさっておられます。出来て当たり前の事などありません。王族の皆様が素晴らしいのは、ひとえに皆様の努力の賜物です。私は皆様の足元にも及びませんが、少しでも近づけるように努力致します」
「……姉さんが、リュカが良いと言った理由が少し分かったよ。安心して、リュカの立ち振る舞いも知識も、姉さんの隣に立つには充分だから。父上の魔法の助けがあったとはいえ、1週間でよく詰め込んだね」
「なっ……!」
小声で、魔法と呟いたローラン様。
「僕は兄上を支える為に絶対に国を出る事は無いからね。父上から教えて貰っているよ。僕も使って貰った事があるから。でも、あれ負担凄いよね? 僕はどうしても急いで覚えないといけなかったから仕方なく使って貰ったけど、身体と脳の負担が凄かったから倒れたよ。それからは、父上が魔法を使うと言い出さないように先回りして覚える習慣がついたんだ。リュカの知識量からして、1週間ぶっ通しで魔法をかけられたんじゃない? リュカには伯爵家ではあり得ない知識と教養が詰まってる。まさか、パーティであんなにたくさん味方を作るとは思わなかったよ」
「私が不甲斐なかったので、国王陛下には魔法の効果が切れる度にかけ直して頂いておりました。覚える内容にもよりますが、大体4時間程度で切れてしまいますので、ご面倒をおかけしてしまいました」
「さらっと言ってるけど、あれを1週間ぶっ通しは異常だからね? 睡眠も最低限しか取らなかったでしょ? 兄上でも無理だよ。よく倒れなかったね……」
「確かに負担はありましたが、今よりも鍛えておりましたから問題ありません。カドゥール国に一緒に行くのが私だけでしたから、得られるものは全て得ておかねばなりませんでしたから」
「おかげで、リュカは王族より王族らしいと絶賛されてるよ。僕もいつか、リュカや兄上みたいに好きな子が出来たらもっと強く、賢くなれるのかな?」
「ローラン王子は充分お強いし、賢いですよ」
「未来の兄上に褒められるとは嬉しいね。姉さんは、国外に嫁ぐ可能性があったから父上の魔法を教えられていないけど、リュカと結婚すれば教えて貰えるんじゃないかな。むしろ、父上が護衛として付けただけのリュカに教えてる事に驚くよ。リュカが余程信用出来たのか、僕らが信用出来なかったのか……ま、両方かな。いくら敵だらけでも、父上は信用出来ない男に姉さんを託したりしないからね」
「光栄です」
「僕はリュカが兄上になるのを楽しみにしてるから、よろしくね。一応教えておくけど、まだ姉さんは狙われてるから気を抜かないでね。リュカと相思相愛になってから、姉さんは更に美しくなった。多分クリストフ様は姉さんを相当気に入ってるよ。過去で求婚したんだから当然っちゃ当然だけどね」
全身の毛が逆立つほど不愉快だ。こんな感情を持ったのはいつぶりだろう……。そうだ、カティが婚約者が決まったからもう個人的に会う事は出来ないと言った、あの日だ。
あの日より激しい怒りが全身を駆け巡る。
「もうすぐ着くから、殺気は仕舞って。王族と渡り合いたいなら、姉さんを守りたいなら、我慢する事を覚えて。あの兄上ですら、社交の場では猫を被るんだから」
「……心得ました」
そうだ。過去とは違う。俺はもうカティの婚約者として発表されたし、それなりに認められた。
いくらクリストフ様がカティを気に入っていても、各国の王族と親しくなれた俺を引きずり下ろすのは批判覚悟でやらないといけない。
過去のクリストフ様は、世間体を重んじるお方だった。だからこそ、カティをお飾りの王妃に据えようとしたのだろう。
それに、俺の事を油断ならない男だと認識させる事には成功している。
いくらクリストフ様がカティを求めても、カティが望まない限り婚約を解消するつもりはない。
やっとカティの隣に立つ事を認められたんだ。
大国の王太子であろうと、カティを望むのであれば全力で排除する。
ローラン王子の仰る通り感情が読まれるようではまだまだだ。
大丈夫、過去では俺は何度も殺したいと思いながらルイーズ様達のお相手をしていたんだ。あの時に比べたら、我慢できる。
俺は、リュカ・デ・ロドラ。
カトリーヌ・ド・ゼム王女の婚約者として、愛しいカティを守る為に全力を尽くそう。
「いえ、ありません……」
「だよね。兄上が魔法まで使って戦う相手は団長くらいだ。姉さんとリュカが婚約しなかったら、兄上だってリュカに本気で挑んだりしないよ」
「……ですが、私の魔法なのに……」
「分かる訳ないじゃん。過去と今じゃ条件が違い過ぎる。リュカは充分よくやってるよ。姉さんはリュカが良いって言ったんだから自信を持って。パーティーではだいぶ認められたけど、身分差もあるからどこで横槍が入るか分からないんだから、婚姻するまでは王族より王族らしく振る舞って。僕らは幼い頃から教育されていたんだから出来て当たり前だよ。だから僕らと比較しないで」
「そんな事ありません。ローラン王子も、他の王族の方々も私の何倍も努力なさっておられます。出来て当たり前の事などありません。王族の皆様が素晴らしいのは、ひとえに皆様の努力の賜物です。私は皆様の足元にも及びませんが、少しでも近づけるように努力致します」
「……姉さんが、リュカが良いと言った理由が少し分かったよ。安心して、リュカの立ち振る舞いも知識も、姉さんの隣に立つには充分だから。父上の魔法の助けがあったとはいえ、1週間でよく詰め込んだね」
「なっ……!」
小声で、魔法と呟いたローラン様。
「僕は兄上を支える為に絶対に国を出る事は無いからね。父上から教えて貰っているよ。僕も使って貰った事があるから。でも、あれ負担凄いよね? 僕はどうしても急いで覚えないといけなかったから仕方なく使って貰ったけど、身体と脳の負担が凄かったから倒れたよ。それからは、父上が魔法を使うと言い出さないように先回りして覚える習慣がついたんだ。リュカの知識量からして、1週間ぶっ通しで魔法をかけられたんじゃない? リュカには伯爵家ではあり得ない知識と教養が詰まってる。まさか、パーティであんなにたくさん味方を作るとは思わなかったよ」
「私が不甲斐なかったので、国王陛下には魔法の効果が切れる度にかけ直して頂いておりました。覚える内容にもよりますが、大体4時間程度で切れてしまいますので、ご面倒をおかけしてしまいました」
「さらっと言ってるけど、あれを1週間ぶっ通しは異常だからね? 睡眠も最低限しか取らなかったでしょ? 兄上でも無理だよ。よく倒れなかったね……」
「確かに負担はありましたが、今よりも鍛えておりましたから問題ありません。カドゥール国に一緒に行くのが私だけでしたから、得られるものは全て得ておかねばなりませんでしたから」
「おかげで、リュカは王族より王族らしいと絶賛されてるよ。僕もいつか、リュカや兄上みたいに好きな子が出来たらもっと強く、賢くなれるのかな?」
「ローラン王子は充分お強いし、賢いですよ」
「未来の兄上に褒められるとは嬉しいね。姉さんは、国外に嫁ぐ可能性があったから父上の魔法を教えられていないけど、リュカと結婚すれば教えて貰えるんじゃないかな。むしろ、父上が護衛として付けただけのリュカに教えてる事に驚くよ。リュカが余程信用出来たのか、僕らが信用出来なかったのか……ま、両方かな。いくら敵だらけでも、父上は信用出来ない男に姉さんを託したりしないからね」
「光栄です」
「僕はリュカが兄上になるのを楽しみにしてるから、よろしくね。一応教えておくけど、まだ姉さんは狙われてるから気を抜かないでね。リュカと相思相愛になってから、姉さんは更に美しくなった。多分クリストフ様は姉さんを相当気に入ってるよ。過去で求婚したんだから当然っちゃ当然だけどね」
全身の毛が逆立つほど不愉快だ。こんな感情を持ったのはいつぶりだろう……。そうだ、カティが婚約者が決まったからもう個人的に会う事は出来ないと言った、あの日だ。
あの日より激しい怒りが全身を駆け巡る。
「もうすぐ着くから、殺気は仕舞って。王族と渡り合いたいなら、姉さんを守りたいなら、我慢する事を覚えて。あの兄上ですら、社交の場では猫を被るんだから」
「……心得ました」
そうだ。過去とは違う。俺はもうカティの婚約者として発表されたし、それなりに認められた。
いくらクリストフ様がカティを気に入っていても、各国の王族と親しくなれた俺を引きずり下ろすのは批判覚悟でやらないといけない。
過去のクリストフ様は、世間体を重んじるお方だった。だからこそ、カティをお飾りの王妃に据えようとしたのだろう。
それに、俺の事を油断ならない男だと認識させる事には成功している。
いくらクリストフ様がカティを求めても、カティが望まない限り婚約を解消するつもりはない。
やっとカティの隣に立つ事を認められたんだ。
大国の王太子であろうと、カティを望むのであれば全力で排除する。
ローラン王子の仰る通り感情が読まれるようではまだまだだ。
大丈夫、過去では俺は何度も殺したいと思いながらルイーズ様達のお相手をしていたんだ。あの時に比べたら、我慢できる。
俺は、リュカ・デ・ロドラ。
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