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24.ジーナの好きな物
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「ケネス殿下、どうされました?」
「あの……ちょっと聞きたい事が……って、なんで兄上もライアンも居るの?!」
「皆様、私に用があったようですので」
『あ、あれ? いつも優しいフィリップの声が刺々しいんだけど?! もしかして、邪魔だったかな?』
「あ……じゃあ僕はまた来るよ……」
「問題ありません。もうご用は済んだようですので。ねぇ、王太子殿下?」
「あ、ああ。問題ない」
『兄上?! なんだか怯えてません?!』
「ライアン殿下も、聞きたい事終わりですよね? これ以上私が出来る事はありません。後は、ご存分にお調べ下さい」
『ライアン、何したの?!』
「……分かったよ。ごめん、でも僕はまだ納得しないんだ」
「どうぞ、ライアン殿下の思うままになさって下さい。やましい事は一切ありませんので」
騎士らしく敬礼をするフィリップを申し訳なさそうに見ていたライアンが、兄を促した。
「兄様はフィリップに御用だったんですよね? 僕らは出て行った方が良いですか?」
「いや……居てくれても大丈夫。って言うか、みんなに聞きたいんだけど……」
「どうした? ケネス?」
『兄上は……僕がジーナを好きだって知ったらなんて言うかな。もうバレてそうだけど……』
「あ、あの! フィリップに聞きたい事があって……その……ジーナは、どんな本が好きかな? 本だけじゃなくて、その、好きな物を教えて欲しいんだけど……」
「兄様……それってやっぱり……」
「ジーナ嬢が好きなの?」
兄弟に問われ、涙目で頷くケネス。フィリップは、優しくケネスの疑問に答える。
「ジーナは本ならなんでも好きですよ。女性が好むような恋愛小説から歴史経済まで家にある本は読み尽くしてますからね。ケネス殿下の好きな本を教えて頂ければ嬉々として読むと思いますよ」
「え……そうなの?」
「ええ、最もジーナが喜ぶのは、ケネス殿下のお好きな本を教えて頂く事です」
「……なんで?」
「主人の好きな物を知りたいと思うのは当然ですから」
「ななっ……なんで……フィリップも知ってるの……」
「先程、ジーナが来ました。ケネス殿下の侍女を調べたいと。妹の様子から、ケネス殿下に仕える事にしたと分かりました。妹を受け入れて頂き、感謝します」
「エレノアの事を調べるってなんで? まさか、エレノアは……ジーナに何かしたの?」
部屋の空気が、一気に冷える。慌てたビクターが、大声で叫んだ。
「違うから! ケネスの侍女なのにケネスの事を敬ってないって怒ってたんだよ! なんで俺達に教えてくれなかったんだよ! 問題ないって言ってただろ?!」
「問題ありませんでしたよ。昨日までは。部屋に来ないし、邪魔もしないし、理想的でした」
「仕事してないじゃない! ケネスが部屋に来るなって言ったの?! あんまり働いてないとは思ってたけど、メイドよりマシだから放っておいたのに!」
「僕の部屋には一度も来ませんでした。最初に彼女を選んだ時、なんでハズレなのよって言ってましたね。それ以来顔も見てません」
「……そりゃ、ジーナ嬢が怒るわけだよ……なんで言わないの……?」
「あの……ちょっと聞きたい事が……って、なんで兄上もライアンも居るの?!」
「皆様、私に用があったようですので」
『あ、あれ? いつも優しいフィリップの声が刺々しいんだけど?! もしかして、邪魔だったかな?』
「あ……じゃあ僕はまた来るよ……」
「問題ありません。もうご用は済んだようですので。ねぇ、王太子殿下?」
「あ、ああ。問題ない」
『兄上?! なんだか怯えてません?!』
「ライアン殿下も、聞きたい事終わりですよね? これ以上私が出来る事はありません。後は、ご存分にお調べ下さい」
『ライアン、何したの?!』
「……分かったよ。ごめん、でも僕はまだ納得しないんだ」
「どうぞ、ライアン殿下の思うままになさって下さい。やましい事は一切ありませんので」
騎士らしく敬礼をするフィリップを申し訳なさそうに見ていたライアンが、兄を促した。
「兄様はフィリップに御用だったんですよね? 僕らは出て行った方が良いですか?」
「いや……居てくれても大丈夫。って言うか、みんなに聞きたいんだけど……」
「どうした? ケネス?」
『兄上は……僕がジーナを好きだって知ったらなんて言うかな。もうバレてそうだけど……』
「あ、あの! フィリップに聞きたい事があって……その……ジーナは、どんな本が好きかな? 本だけじゃなくて、その、好きな物を教えて欲しいんだけど……」
「兄様……それってやっぱり……」
「ジーナ嬢が好きなの?」
兄弟に問われ、涙目で頷くケネス。フィリップは、優しくケネスの疑問に答える。
「ジーナは本ならなんでも好きですよ。女性が好むような恋愛小説から歴史経済まで家にある本は読み尽くしてますからね。ケネス殿下の好きな本を教えて頂ければ嬉々として読むと思いますよ」
「え……そうなの?」
「ええ、最もジーナが喜ぶのは、ケネス殿下のお好きな本を教えて頂く事です」
「……なんで?」
「主人の好きな物を知りたいと思うのは当然ですから」
「ななっ……なんで……フィリップも知ってるの……」
「先程、ジーナが来ました。ケネス殿下の侍女を調べたいと。妹の様子から、ケネス殿下に仕える事にしたと分かりました。妹を受け入れて頂き、感謝します」
「エレノアの事を調べるってなんで? まさか、エレノアは……ジーナに何かしたの?」
部屋の空気が、一気に冷える。慌てたビクターが、大声で叫んだ。
「違うから! ケネスの侍女なのにケネスの事を敬ってないって怒ってたんだよ! なんで俺達に教えてくれなかったんだよ! 問題ないって言ってただろ?!」
「問題ありませんでしたよ。昨日までは。部屋に来ないし、邪魔もしないし、理想的でした」
「仕事してないじゃない! ケネスが部屋に来るなって言ったの?! あんまり働いてないとは思ってたけど、メイドよりマシだから放っておいたのに!」
「僕の部屋には一度も来ませんでした。最初に彼女を選んだ時、なんでハズレなのよって言ってましたね。それ以来顔も見てません」
「……そりゃ、ジーナ嬢が怒るわけだよ……なんで言わないの……?」
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