王子様、お仕えさせて下さいませ

編端みどり

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46.早く出してよ

「待ってください。思い出します。確か、3代前の聖女様が迷子の女の子を魔法で探したと記載されていました。その時は、女の子の落としたリボンに魔法をかけたとか……」

「ジーナの持ち物はどこ?!」

「部屋に案内します!」

ケネスと小百合が走り去り、ホッとした様子のハント公爵にビクターはニコリと笑いかけた。

「フィリップ、この反逆者を地下牢へ。すぐに公爵の屋敷を取り調べる」

「承知しました」

「ライアンとデュークは、父上に報告。ジーナ嬢は、ケネスと聖女様にお任せしよう。フィリップも心配だろうから、この汚物を地下牢に幽閉したらケネスと合流してくれ」

「「「かしこまりました」」」

「な……私が地下牢だと……!」

「すぐに地下牢に居たいと思うようになる。次にお前が牢を出るときは、処刑される時だ」

「兄上、僕、騎士団隊長のフィリップ、宰相補佐のデュークが聞いてたんだから、誤魔化せると思わない事だね。ねぇ、なんでよりによって僕を王にしようと思ったの? 自分で言うのもなんだけど、僕はいちばん王に向いてないよ?」

「そんな事はないぞ。ライアンは、王の器だ」

「兄上は、僕よりよっぽど大きな器を持ってるじゃないですか。兄様もそうです。まぁでも、アンタの最大の失敗は……」

「ジーナを狙った事だな。もう牢から出る事はないから教えてやる。ジーナは、フィリップの妹だ」

「あ……あ……ああっ……!」

ただの平民だと思っていた少女が、伯爵令嬢だった。フィリップの怒りの理由を察知した公爵は、カタカタと震え出した。

「ジーナ様はあなたもご存知の通りケネス殿下がとても大事になさっているご令嬢です。いずれ、ご婚約なさるでしょうね。殿下の婚約者候補への狼藉。王族への叛意。さぁ、他にどれほど罪が増えますかね。あなたを調べるのが、楽しみですね」

公爵は、ただの平民だと思っていた。知らなかったと叫んだ。だが、王子達から平民でも王族の使用人に手を出すという事は王家に叛意がある証だろうと冷たく言われ、そのままフィリップに引き摺られて地下牢へ放り込まれた。

その頃、ケネスと小百合は必死でジーナの持ち物を探していた。

「コレじゃダメ! 思い入れが少ない! 方角しか分かんない!」

ケネスの記憶をヒントに、ジーナを探す魔法を持ち物にかけていくが、あまり物に頓着しないジーナの持ち物はシンプルで、思い入れのある物が見つからない。

「方角が分かれば……無理にでも探します!」

「落ち着け! 急がば回れよ! なんか他にないの?! ジーナが毎日触ってて、すっごく大事にしてる物!!!」

「他には……ふ、服とか?」

「違う! 服はさっきやった! 全く反応しなかったわ!」

「あとはもう……これくらいしか……」

「ナニコレ? 紙束?」

「僕の書いたメモです。不用品なんで捨てるよう言ったのですが、ジーナが欲しいと持って行ったんです」

「なんで早く出さないのよ! これに決まってるじゃん! ジーナが大切で思い入れのある物!!!」

小百合が魔法をかけると、キラキラと輝く光が舞い、ホログラムのようにジーナの姿を映し出した。

「いた! 無事みたいだけど……泣いてる?」

「サユリ様、ここどこですか?! 場所、分かりますか?!」

「待って、テレポートも出来るって書いてあったから……。ケネス、手を貸して! お願い、この場所に飛ばして!!!」

小百合が叫ぶと、2人の姿は消えた。

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