初夜で白い結婚を宣言する男は夫ではなく敵です

編端みどり

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第一話

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「君とは白い結婚になる。私は愛している人が居るからな」

拝啓、お父様。わたくしは本日結婚致しました。幸せになれと泣いて下さいましたわよね? ねぇ、お父様、初夜のベットの上で白い結婚を宣言する夫と、どうやって幸せになれば宜しいのでしょうか?

追伸、お母様。夫を立てろと仰いましたわよね。こんな夫、立てる価値がありますの?

この瞬間、夫は生涯の伴侶ではなく敵になりました。我が家の家訓は、恩は10倍に、恨みは100倍にして返せ。敵に情けは無用。さぁ、戦いを始めましょう。

戦闘態勢になってしまった為に、思わず敵を睨みつけたら、舌打ちをなさいました。どこまでも馬鹿にしておりますわね。

頭に血が昇って、今すぐ夫を殴りたい気分です。ですが、この結婚は政略結婚。私が騒いでも覆る事はないのだから、まずは夫(敵)の希望を聞きましょう。

敵を倒すには、まずは情報が必要ですもの。

白い結婚のまま3年経てば、わたくしから離婚を申し立て出来ますが、その場合は夫は社交界から追放されるでしょう。そのくらい、白い結婚で離婚を申し立てられるのは不名誉なのです。跡継ぎを産む義務を放棄し、伴侶を蔑ろにした無責任貴族とレッテルを貼られ、王城への出入りは生涯禁止です。仕事も失いますわ。

白い結婚の証明は、神殿の女神像が公平な判断を示してくれます。男性からでも、女性からでも申し立て出来ますし、拒否をしたのがどちらなのかも判断してくれます。わたくしが申し立てれば、夫は終わりです。だって拒否しているのは夫ですもの。

夫も、それくらい分かっています。下手をしたら、白い結婚で離婚を申し立てられないように、わたくしを屋敷に軟禁する可能性があります。

ここは、理解ある妻を演じなくては。

「旦那さま、白い結婚になるという事は、跡継ぎはどうなさるおつもりですの?」

「私には愛する人が居ると言ったただろう? その人に産んでもらう。君の子として育ててくれ。そのかわり、君はこの屋敷で好きに過ごして構わない。お金も好きなだけ使ってくれ」

「まぁ! そんなに愛してる方がいらっしゃるなら、第二夫人にお迎えになられてはいかがですか?」

貴族は、3人まで妻を持てます。普通は、3年して子ができなければ次の妻を迎えます。

「3年も彼女を待たせる訳にいかない。君だって3年も子ができなければ責められるだろう? そんな可哀想な事は出来ないよ。ただ、僕と彼女の子を育ててくれるだけで君は自由だ。愛人と子が出来ても僕の子として育てたら良い。継承権は無いけどね」

この男は、どこまでもわたくしを馬鹿にしますのね……。ふふっ……良いですわ。徹底的にやりましょう。

「そのような条件なら、結婚前に仰って欲しかったですわ」

怒りを抑える為、震えながら下を向いて呟きます。夫はわたくしが泣いていると勘違いしたのか、ため息を吐きました。
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