初夜で白い結婚を宣言する男は夫ではなく敵です

編端みどり

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第十九話

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「これ、懐かしい!」

「おう、昼間になったらすぐ萎れちまうってミモザ泣いてたもんな」

「う……よく覚えてますわね」

「忘れねぇよ。忘れる訳ねぇだろ」

懐かしいですわ。ニルはうちに代々仕えてくれている庭師の息子で、幼い頃はよく一緒に遊びました。わたくしが淑女教育を受けるようになってからはなかなかお会いする事はなく、いつの間にか屋敷から居なくなっていました。

「花を見て、助けてくれてるのはニルだと思っていたのですが、気配を全く感じませんでした。ニルの気配なら、分かると思っていたのですが……。監視の気配は、すぐに分かるんですけどね」

「あんな素人に毛が生えた奴らと一緒にしないでくれよ。ミモザの爺さんにしごかれたって言ったろ。ミモザの護衛を任されるくらいの腕はあるぞ」

「護衛って……いつから居たのですか?」

「ミモザが結婚してすぐに家に帰って来てからだな。旦那様がキレて、ミモザに護衛を付けたんだ」

全く知りませんでした。今の当主はお兄様ですから、ニルの言う旦那様とは、お兄様の事でしょう。

「それからずっと助けてくれてたの?」

「まぁ、姿は見せられねぇから、見守ってただけだけどな」

「解毒薬をくれたのも、ニルよね?」

「ありゃ酷かったな。解毒薬がすぐに効いて良かったぜ」

……という事は、あの酷い姿を見られていたという事ですわよね……。急に恥ずかしくなってきました。それに、着替え等は見られていたのでしょうか?

「……あの、ニルはいつもわたくしを見ていたんですわよね?」

「ん? まぁ、そうだな」

「ききき、着替えや、お風呂は……っ」

「……いやっ! それは見てねぇよ!」

「そ、そうですわよね! わたくしの裸や着替えなんて見る価値ありませんわよね!」

「そうじゃなくて、んな失礼な事しねぇって意味だよ。そんな事したら旦那様に殺される。それに、ミモザは綺麗だよ。ぶっちゃけあの男は何度もミモザを狙ってたんだぞ。その度に眠り針で寝かしてたんだから」

「……え、嘘」

そういえば、旦那さまは一緒に寝る時はやたら寝付きが良かったです。わたくしは一睡もしないのに、こんなに良く寝て! といつも思っておりましたもの。

「いやホント。いっそ殺そうかと何度も思った。ミモザすげぇよな、よく我慢してるぜ」

「正直、最近は我慢できておりませんでしたけどね」

「口調はお嬢様だったけど、だいぶ素が出てたよなぁ。オレは素のミモザの方が良いけど」

「まぁ、お上手ね」

「いや……ちぇ、着いちまった。じゃあ、オレは医者の爺さんに戻るぜ。あと1年、頑張ろうな」
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