奪われたものは、全て要らないものでした

編端みどり

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中編

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「どうして……フローライトじゃなくて貴方がここに居るの……?」

「ふふっ! だって今日は夫婦の初夜ですもの! 見て! とびっきり可愛くして頂いたの! 愛してるわ! アレクサンドル様」

「なんで……! 何で……! フローライトは何処?!」

「お姉様? とっくに国を出ましたわ。お父様から勘当されたからお姉様は平民よ。国境に放り出したらしいけど、何処にいったかは知らないわ。あんな女の事なんて忘れてわたくしとイイコトしましょう? アレクサンドル様がわたくしを愛して下さってたなんて嬉しいわ! わたくしもアレクサンドル様が大好きでしたの! それなのにお姉様ったらアレクサンドル様の婚約者になってしまわれて。でもね、お姉様はわたくしがちょうだいって言えば全部くれるのよ。だからわたくしお願いしたの。アレクサンドル様をちょうだいって。そしたら時間はかかったけど下さったわ。あまりに時間がかかるから、お姉様には死んで頂こうと思ったんだけど、あの女しぶとくて。まぁ、子はできなかったから薬の効果はあったかしらね。そうそう、アレクサンドル様はいつもわたくしを褒めて下さっていたんでしょう? お姉様が仰っていたわ。わたくしの方が美しい、わたくしの方がダンスが上手い、わたくしがアレクサンドル様の伴侶なら良かったと。だから、お姉様はわたくしに伴侶の座を譲って下さいましたの。もうお姉様との離婚は成立して、アレクサンドル様の伴侶はわたくしですわ! アレクサンドル様! わたくしを幸せにして下さいませ!」

「うるさい!! 離れろ! 僕はフローライトと離婚などしていない!」

「どうして! もう書類は受理されてるわ! それに、アレクサンドル様はお姉様よりわたくしが良いって言ってたんでしょ? お姉様言ってたわ! アレクサンドル様から好きと言われた事は一度もないと! いつも罵倒しかされなかったと! だからお姉様は身を引いてくれたのよ!」

「そんな……そんな……確かにフローライトを褒めたりは……しなかった……。子どもを産んだら女性はすぐに偉そうにするから、最初につけ上がらせてはいけないと……聞いたんだ。なかなか子も出来なかったし、周りからも子を産めないなら離婚だと脅して立場をわからせろって! でも、フローライトは仕事も出来るし手放すのは惜しいから、側妃を娶って子は産ませるつもりだったんだ。お前は側妃には向くが、王妃の仕事など出来るのか?! 頭が悪いだろ。全部調べてあるんだ。だからフローライトを選んだのに。それに、フローライトみたいに慎ましくない!」

「じゃあなんで、わたくしを褒めたの?!」

「身近な女性と比べられるのは、屈辱だって聞いた。だから屈辱を味あわせればフローライトは僕に従順になると思って!」

「バッカじゃないの! 屈辱を与える男に惚れる女が居る訳ないじゃない! わたくしだってアンタみたいな男願い下げよ! もう離婚! 離婚よ!!!」
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