36 / 66
36.2人の兄
しおりを挟む
「クリス、方針を変えようと思う」
しばらく呆然としていたジルだったが、手紙を読み返すと何かを決意したように宣言した。
「どうするの?」
「目立つのも困るし、護衛依頼は変な依頼人だと困るから受けてなかったけど、受けよう。受けて、シルバーランクになっておこう。出来れば、ゴールドを目指す。そうすれば、必要な人材としてギルドが守ってくれる。アーテルさんが瀕死の重症なら、多分マリアさんも看病にかかりきりだ。手紙には生きてるし大丈夫だって……容態が変わったらすぐ暗号で知らせるって書いてあった。マリアさんから手紙以外に連絡はない。正直言うと気になるけど、クリスを守りたいなら絶対帰ってくるなって書いてあったから、オレ達はオレ達が出来る事をやろう。今から冒険者ギルドに行って、マリアさんにメッセージを託してからランクアップの為に依頼を受ける。マリアさんはゴールドランクだから、必ず本人にしかメッセージを伝えない筈だし、念のため暗号は使う。オレ達がシルバーになれば、メッセージを送る優先順位が上がるし、伝わったか知らせて貰える。ブロンズじゃそこまでして貰えない。ゴールド同士なら最速で情報伝達出来るらしいから、早めにゴールドを目指そう」
「つまり、ジルはいずれ私達が王妃様に見つかると思ってるのね。見つかっても、対処出来る様にする方に重きを置くのね」
「ああ、見つかる前提で動く。もうガウスを介して連絡するなんてまどろっこしい事はしない。アイツらが危険だ。連絡を頼んだのは一回だけだし、今後はオレ達の情報は全部言えって伝えておく。生き残ったのが親父なら、多分王妃の実家に保護されて終わりだから今のままで良かった。王妃は、クリスが城に戻らなければ放っておいてくれると思う。髪まで切ったからな。けど……」
ジルは言いにくそうに顔を歪めた。
「言って。わたくしはジルが居てくれるならなんでも受け止める。教えて。私はちゃんと自分の身を守ってみせる。ジルには敵わないけど、もう私はジルのお荷物じゃない。それくらいの自信はあるわ」
ジルを真っ直ぐ見つめるクリステルの目は、覚悟を決めていた。
「そうだな。クリスは強くなった。弓の腕はゴールドランクのレベルまで上がったし、魔物と戦う時もクリスを頼る事が増えた。いつまでもクリスをお姫様扱いしちゃ駄目だよな。分かった。オレの知ってる事を全部言うよ」
「ありがとう! ジル!」
ジルは、知ってる事を全部言うと言った時に僅かにクリステルが目を伏せたのを見逃さなかった。すぐに切り替えていつものクリステルに戻っていたが、彼女が何か自分に隠し事がある事はすぐに察した。
(まぁいい。いつか言ってくれるだろうし、言いたくなきゃ一生黙ってれば良い。もう結婚したんだ。絶対クリスを手放すもんか。その為には、とにかく守りを固めるしかない。やりたくねぇが、護衛依頼を受けてランクを上げよう。日数が少なめの、さっさと終わるやつにしよう。それより……ヒュー様の事をどう伝えれば良いんだ……?)
ジルは、恐る恐る口を開いた。
「……クリスを殺したがってたのは、王妃だけじゃねぇ」
「……お兄様ね」
「気付いてたか」
「アーテル様ともお兄様の話をしていたじゃない」
「けどそんな決定的な事は言ってないだろ? なぁ、クリスはヒュー様をどう思う?」
しばらく呆然としていたジルだったが、手紙を読み返すと何かを決意したように宣言した。
「どうするの?」
「目立つのも困るし、護衛依頼は変な依頼人だと困るから受けてなかったけど、受けよう。受けて、シルバーランクになっておこう。出来れば、ゴールドを目指す。そうすれば、必要な人材としてギルドが守ってくれる。アーテルさんが瀕死の重症なら、多分マリアさんも看病にかかりきりだ。手紙には生きてるし大丈夫だって……容態が変わったらすぐ暗号で知らせるって書いてあった。マリアさんから手紙以外に連絡はない。正直言うと気になるけど、クリスを守りたいなら絶対帰ってくるなって書いてあったから、オレ達はオレ達が出来る事をやろう。今から冒険者ギルドに行って、マリアさんにメッセージを託してからランクアップの為に依頼を受ける。マリアさんはゴールドランクだから、必ず本人にしかメッセージを伝えない筈だし、念のため暗号は使う。オレ達がシルバーになれば、メッセージを送る優先順位が上がるし、伝わったか知らせて貰える。ブロンズじゃそこまでして貰えない。ゴールド同士なら最速で情報伝達出来るらしいから、早めにゴールドを目指そう」
「つまり、ジルはいずれ私達が王妃様に見つかると思ってるのね。見つかっても、対処出来る様にする方に重きを置くのね」
「ああ、見つかる前提で動く。もうガウスを介して連絡するなんてまどろっこしい事はしない。アイツらが危険だ。連絡を頼んだのは一回だけだし、今後はオレ達の情報は全部言えって伝えておく。生き残ったのが親父なら、多分王妃の実家に保護されて終わりだから今のままで良かった。王妃は、クリスが城に戻らなければ放っておいてくれると思う。髪まで切ったからな。けど……」
ジルは言いにくそうに顔を歪めた。
「言って。わたくしはジルが居てくれるならなんでも受け止める。教えて。私はちゃんと自分の身を守ってみせる。ジルには敵わないけど、もう私はジルのお荷物じゃない。それくらいの自信はあるわ」
ジルを真っ直ぐ見つめるクリステルの目は、覚悟を決めていた。
「そうだな。クリスは強くなった。弓の腕はゴールドランクのレベルまで上がったし、魔物と戦う時もクリスを頼る事が増えた。いつまでもクリスをお姫様扱いしちゃ駄目だよな。分かった。オレの知ってる事を全部言うよ」
「ありがとう! ジル!」
ジルは、知ってる事を全部言うと言った時に僅かにクリステルが目を伏せたのを見逃さなかった。すぐに切り替えていつものクリステルに戻っていたが、彼女が何か自分に隠し事がある事はすぐに察した。
(まぁいい。いつか言ってくれるだろうし、言いたくなきゃ一生黙ってれば良い。もう結婚したんだ。絶対クリスを手放すもんか。その為には、とにかく守りを固めるしかない。やりたくねぇが、護衛依頼を受けてランクを上げよう。日数が少なめの、さっさと終わるやつにしよう。それより……ヒュー様の事をどう伝えれば良いんだ……?)
ジルは、恐る恐る口を開いた。
「……クリスを殺したがってたのは、王妃だけじゃねぇ」
「……お兄様ね」
「気付いてたか」
「アーテル様ともお兄様の話をしていたじゃない」
「けどそんな決定的な事は言ってないだろ? なぁ、クリスはヒュー様をどう思う?」
3
あなたにおすすめの小説
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
虐げられ続けてきたお嬢様、全てを踏み台に幸せになることにしました。
ラディ
恋愛
一つ違いの姉と比べられる為に、愚かであることを強制され矯正されて育った妹。
家族からだけではなく、侍女や使用人からも虐げられ弄ばれ続けてきた。
劣悪こそが彼女と標準となっていたある日。
一人の男が現れる。
彼女の人生は彼の登場により一変する。
この機を逃さぬよう、彼女は。
幸せになることに、決めた。
■完結しました! 現在はルビ振りを調整中です!
■第14回恋愛小説大賞99位でした! 応援ありがとうございました!
■感想や御要望などお気軽にどうぞ!
■エールやいいねも励みになります!
■こちらの他にいくつか話を書いてますのでよろしければ、登録コンテンツから是非に。
※一部サブタイトルが文字化けで表示されているのは演出上の仕様です。お使いの端末、表示されているページは正常です。
悪役令嬢の妹君。〜冤罪で追放された落ちこぼれ令嬢はワケあり少年伯に溺愛される〜
見丘ユタ
恋愛
意地悪な双子の姉に聖女迫害の罪をなすりつけられた伯爵令嬢リーゼロッテは、罰として追放同然の扱いを受け、偏屈な辺境伯ユリウスの家事使用人として過ごすことになる。
ユリウスに仕えた使用人は、十日もたずに次々と辞めさせられるという噂に、家族や婚約者に捨てられ他に行き場のない彼女は戦々恐々とするが……彼女を出迎えたのは自称当主の少年だった。
想像とは全く違う毎日にリーゼロッテは戸惑う。「なんだか大切にされていませんか……?」と。
毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。
克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。
妹のために愛の無い結婚をすることになりました
バンブー竹田
恋愛
「エミリー、君との婚約は破棄することに決まった」
愛するラルフからの唐突な通告に私は言葉を失ってしまった。
婚約が破棄されたことはもちろんショックだけど、それだけじゃない。
私とラルフの結婚は妹のシエルの命がかかったものでもあったから・・・。
落ちこむ私のもとに『アレン』という大金持ちの平民からの縁談が舞い込んできた。
思い悩んだ末、私は会ったこともない殿方と結婚することに決めた。
幼馴染以上、婚約者未満の王子と侯爵令嬢の関係
紫月 由良
恋愛
第二王子エインの婚約者は、貴族には珍しい赤茶色の髪を持つ侯爵令嬢のディアドラ。だが彼女の冷たい瞳と無口な性格が気に入らず、エインは婚約者の義兄フィオンとともに彼女を疎んじていた。そんな中、ディアドラが学院内で留学してきた男子学生たちと親しくしているという噂が広まる。注意しに行ったエインは彼女の見知らぬ一面に心を乱された。しかし婚約者の異母兄妹たちの思惑が問題を引き起こして……。
顔と頭が良く性格が悪い男の失恋ストーリー。
※流血シーンがあります。(各話の前書きに注意書き+次話前書きにあらすじがあるので、飛ばし読み可能です)
残念な顔だとバカにされていた私が隣国の王子様に見初められました
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
公爵令嬢アンジェリカは六歳の誕生日までは天使のように可愛らしい子供だった。ところが突然、ロバのような顔になってしまう。残念な姿に成長した『残念姫』と呼ばれるアンジェリカ。友達は男爵家のウォルターただ一人。そんなある日、隣国から素敵な王子様が留学してきて……
断罪後の気楽な隠居生活をぶち壊したのは誰です!〜ここが乙女ゲームの世界だったなんて聞いていない〜
白雲八鈴
恋愛
全ては勘違いから始まった。
私はこの国の王子の一人であるラートウィンクルム殿下の婚約者だった。だけどこれは政略的な婚約。私を大人たちが良いように使おうとして『白銀の聖女』なんて通り名まで与えられた。
けれど、所詮偽物。本物が現れた時に私は気付かされた。あれ?もしかしてこの世界は乙女ゲームの世界なのでは?
関わり合う事を避け、婚約者の王子様から「貴様との婚約は破棄だ!」というお言葉をいただきました。
竜の谷に追放された私が血だらけの鎧を拾い。未だに乙女ゲームの世界から抜け出せていないのではと内心モヤモヤと思いながら過ごして行くことから始まる物語。
『私の居場所を奪った聖女様、貴女は何がしたいの?国を滅ぼしたい?』
❋王都スタンピード編完結。次回投稿までかなりの時間が開くため、一旦閉じます。完結表記ですが、王都編が完結したと捉えてもらえればありがたいです。
*乙女ゲーム要素は少ないです。どちらかと言うとファンタジー要素の方が強いです。
*表現が不適切なところがあるかもしれませんが、その事に対して推奨しているわけではありません。物語としての表現です。不快であればそのまま閉じてください。
*いつもどおり程々に誤字脱字はあると思います。確認はしておりますが、どうしても漏れてしまっています。
*他のサイトでは別のタイトル名で投稿しております。小説家になろう様では異世界恋愛部門で日間8位となる評価をいただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる