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改稿版
12.来訪者
「私は、エルザ嬢に価値がないなんて思わない。貴方は素晴らしい女性だ。シモンも、すぐに自分の愚かさに気がつく筈だ」
ジェラール様に悪気がないのは分かりました。心からシモン様とわたくしが結ばれると良いと思っておられるのでしょう。
「本音を申し上げたいところですが、わたくしは平民です。王族であるジェラール様に不敬を働く訳には参りません」
「……そういう事か。では、貴方の心からの本音を聞かせてくれ。今この場で起きた事は、決して不敬扱いしない。ジェラール・アルベルト・モワナールの名において誓おう」
「かしこまりました。では、本音を申し上げます。わたくしはシモン様と二度とお会いしたくありません」
「エルザ嬢はシモンを愛していたのではないのか?」
「愛してましたよ。心から。でも、それは過去の話です。ジェラール様はわたくしを庇って下さいましたけど、シモン様はわたくしを恥でしかないとあっさり捨てましたのよ? あんな男の婚約者に戻るなんてごめんです。家族だって、庇ってくれたのはお姉様だけですぐに勘当されたんですよ」
「僕が間に合わなかったからだな。心配になってエルザ嬢の家に伺ったんだが、既に勘当された後だった。一歩遅かったんだ。僕がもっと早く行けば、勘当されずに済んだのに」
「ジェラール様は、どうしてわたくしを尋ねて下さったのですか?」
「エルザ嬢が心配だったんだ。貴族がいきなり追い出されて生きていけるとは思えなかった。だから、場合によっては我が国でしばらく匿おうかと思っていた」
「お優しいのですね。ありがとうございます。ですが、わたくしは勘当されて良かったですわ」
そう思えるのも、マックスと会えたからです。でなければ、今頃どうなっていたか分かりません。
「どういう事だ? 僕は、余計な事をしたのか?」
「いえ、ジェラール様のお気遣いには感謝しています。ですが、シモン様も、わたくしの元家族も魔力無しのわたくしを大事にしてくれません。あのまま家に居ても、婚約者のままでいても、面倒な仕事だけさせられます。魔力なしは見苦しいからと監禁されたりするかもしれません。平民として生きている今よりも苦しい日々なのは間違いありませんわ。魔力無しというだけでわたくしの価値はゼロなのです」
「そんな! エルザ嬢は、必死でシモンを支えていたではないか?!」
「今思うと、どうしてあんな最低最悪な男に尽くしていたのか分かりませんわ。わたくしは、心からシモン様の婚約者に戻りたくないのです。不敬を承知で申し上げます。シモン様が、大嫌いなのです。顔も見たくありませんし、関わりたくもありません」
ジェラール様は、とてもショックを受けておられるご様子で、何も仰いません。
こんな事、シモン様と仲の良いジェラール様に言うつもりはありませんでした。ですが、このままではジェラール様はわたくしを連れ戻そうとなさるでしょう。
それだけは嫌なので本音を申し上げました。大嫌いなんて言葉、以前は使っておりませんでした。ジェラール様はこんなに感情を露わにするわたくしをご存知ありません。本来ならば、こんな事を言えばわたくしは処罰されるでしょう。
この部屋で起きた事は不敬にならない。そう誓って頂けたので、本音を言えます。
沈黙が、場を支配します。ジェラール様は、沈痛な面持ちで考え事をなさっています。きっと、今までの事を思い出しておられるのでしょう。
お願いです。もうわたくしと関わらないで下さいませ。ジェラール様は、とてもお優しい方ですからきっとご理解下さるでしょう。そうなればジェラール様とお会いするのは今日で最後でしょうか。少し、残念です。シモン様やジェラール様と学園で過ごす時間は過酷な日々の僅かな癒しでした。
本当に、ジェラール様は素晴らしいお方ですわ。ですが、ナタリー様が亡くなられてからジェラール様の心からの笑みを拝見した事がございません。ナタリー様がいらっしゃった時はいつも楽しそうに微笑まれておられましたのに。ナタリー様……どうしてお亡くなりになってしまったのでしょうか。ジェラール様はこんなに素晴らしい方なのに。シモン様にジェラール様のような優しさが少しでもあれば、婚約破棄なんてされなかったのに……。
そんな事を考えていたら、静寂が支配する部屋に来訪者が現れました。
「おい! エルザ! なんでさっさと連絡して来ねぇんだ! テレーズ様から話を聞いてどんだけ肝が冷えたと思ってる!」
マックスが、いきなり部屋に転移して来ました。そういえばマックスは転移の魔法も習得していましたわね。万が一の時に助けられるようにと、この部屋に転移出来るようにしてあります。だから、この部屋では着替え等はしないようにしていたのですが……まさかこのタイミングで転移してくるなんて思いませんでした。
どうしましょう?!
マックスはジェラール様に気が付かず、わたくしにまっすぐ向かってきます。
興奮状態のマックスとわたくしの間に、静かにジェラール様が割り込みました。
ジェラール様に悪気がないのは分かりました。心からシモン様とわたくしが結ばれると良いと思っておられるのでしょう。
「本音を申し上げたいところですが、わたくしは平民です。王族であるジェラール様に不敬を働く訳には参りません」
「……そういう事か。では、貴方の心からの本音を聞かせてくれ。今この場で起きた事は、決して不敬扱いしない。ジェラール・アルベルト・モワナールの名において誓おう」
「かしこまりました。では、本音を申し上げます。わたくしはシモン様と二度とお会いしたくありません」
「エルザ嬢はシモンを愛していたのではないのか?」
「愛してましたよ。心から。でも、それは過去の話です。ジェラール様はわたくしを庇って下さいましたけど、シモン様はわたくしを恥でしかないとあっさり捨てましたのよ? あんな男の婚約者に戻るなんてごめんです。家族だって、庇ってくれたのはお姉様だけですぐに勘当されたんですよ」
「僕が間に合わなかったからだな。心配になってエルザ嬢の家に伺ったんだが、既に勘当された後だった。一歩遅かったんだ。僕がもっと早く行けば、勘当されずに済んだのに」
「ジェラール様は、どうしてわたくしを尋ねて下さったのですか?」
「エルザ嬢が心配だったんだ。貴族がいきなり追い出されて生きていけるとは思えなかった。だから、場合によっては我が国でしばらく匿おうかと思っていた」
「お優しいのですね。ありがとうございます。ですが、わたくしは勘当されて良かったですわ」
そう思えるのも、マックスと会えたからです。でなければ、今頃どうなっていたか分かりません。
「どういう事だ? 僕は、余計な事をしたのか?」
「いえ、ジェラール様のお気遣いには感謝しています。ですが、シモン様も、わたくしの元家族も魔力無しのわたくしを大事にしてくれません。あのまま家に居ても、婚約者のままでいても、面倒な仕事だけさせられます。魔力なしは見苦しいからと監禁されたりするかもしれません。平民として生きている今よりも苦しい日々なのは間違いありませんわ。魔力無しというだけでわたくしの価値はゼロなのです」
「そんな! エルザ嬢は、必死でシモンを支えていたではないか?!」
「今思うと、どうしてあんな最低最悪な男に尽くしていたのか分かりませんわ。わたくしは、心からシモン様の婚約者に戻りたくないのです。不敬を承知で申し上げます。シモン様が、大嫌いなのです。顔も見たくありませんし、関わりたくもありません」
ジェラール様は、とてもショックを受けておられるご様子で、何も仰いません。
こんな事、シモン様と仲の良いジェラール様に言うつもりはありませんでした。ですが、このままではジェラール様はわたくしを連れ戻そうとなさるでしょう。
それだけは嫌なので本音を申し上げました。大嫌いなんて言葉、以前は使っておりませんでした。ジェラール様はこんなに感情を露わにするわたくしをご存知ありません。本来ならば、こんな事を言えばわたくしは処罰されるでしょう。
この部屋で起きた事は不敬にならない。そう誓って頂けたので、本音を言えます。
沈黙が、場を支配します。ジェラール様は、沈痛な面持ちで考え事をなさっています。きっと、今までの事を思い出しておられるのでしょう。
お願いです。もうわたくしと関わらないで下さいませ。ジェラール様は、とてもお優しい方ですからきっとご理解下さるでしょう。そうなればジェラール様とお会いするのは今日で最後でしょうか。少し、残念です。シモン様やジェラール様と学園で過ごす時間は過酷な日々の僅かな癒しでした。
本当に、ジェラール様は素晴らしいお方ですわ。ですが、ナタリー様が亡くなられてからジェラール様の心からの笑みを拝見した事がございません。ナタリー様がいらっしゃった時はいつも楽しそうに微笑まれておられましたのに。ナタリー様……どうしてお亡くなりになってしまったのでしょうか。ジェラール様はこんなに素晴らしい方なのに。シモン様にジェラール様のような優しさが少しでもあれば、婚約破棄なんてされなかったのに……。
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どうしましょう?!
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興奮状態のマックスとわたくしの間に、静かにジェラール様が割り込みました。
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