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改稿版
16.嫌い
「黙ってて悪ぃ。エルザと過ごして1ヶ月もしたらなんかおかしいとは思ってたんだけど、確信が持てなくてな。魔力を上げる訓練がエルザにもらった本に載ってたし、訓練を毎日していたもんだから最初は訓練の成果かと思ってたんだ。けど、やっぱりなんかおかしいと思って、試しに訓練をやめたんだ。けど、それでも魔力が上がっていく感じがするからエルザに特殊能力あるんじゃねぇかと思って。確信したのは今日だ。さっきテレーズ様に会って色々話を聞いて、俺の魔力を測ってもらった。そしたら、ヤベエくらい上がってたんだ。シモン様達の魔力が下がってる事から考えても、俺の知ってる特殊能力と特徴が一致する。だから、エルザの特殊能力で間違いねぇよ」
「シモンの魔力はエルザ嬢が上げていたという事か?」
「そうっす。魔力を上げる特殊能力は、恋人とか婚約者とか伴侶とかにいちばん効くんですよ。愛してれば愛してるほど、魔力が上がります。相思相愛が一番っすけど、片想いでも効きます。けど、魔力を上げる目的で特殊能力者に近づいたら駄目です。俺の師匠が教えてくれました。師匠の知ってる特殊能力者の女性は、魔力を上げてもらおうと近づいた男と恋人になったそうです。でも、男の魔力は上がらず、おかしいと思って調べたら魔力を上げて貰おうとしていただけだと判明しました。特殊能力者は、それから人と関わるのが怖くて森に篭って暮らしたそうです。結構厄介な特殊能力なんですよ。ジェラール様やテレーズ様みたいに、エルザ自身を大切に思ってて、エルザもそれを分かってれば魔力は上がりますけど、物凄くエルザに好意を持ってても、エルザが相手を嫌いなら魔力は上がらないし、シモン様みたいにエルザを探して魔力を上げて貰おうとしても無駄っす。例え、エルザがシモン様にベタ惚れになっても魔力は上がらねぇっす」
「マックス、それはあり得ないわ」
もう一生、シモン様に惚れる事はないわ。
「だよな。悪りぃ。そうそう、シモン様はどんどん魔力が減っているそうですよ。最初の魔力検査は大勢の前で行わないといけませんが、その後は検査水晶さえあれば何度でも魔力を検査できますからね。平民は検査費用が高いから検査しませんけど王族なら魔力水晶を持ってますし、検査をしょっちゅうしてるみたいですぜ。シモン様が最高値だと自慢していた魔力は、もう1000を切ったそうです。必死に秘密にしてるみたいですけど」
「王族の秘密を何故マックス殿が知っているんだ?」
「テレーズ様の夫は、宰相様の側近ですからね。こっそり教えてくれました。信用できる人以外に言うなってテレーズ様に魔法契約させられましたけど、ジェラール様は信用できる方でしょう?」
「なるほどな。色々合点がいった。それで最近シモンがイライラしていたのか。しかしそこまで効果があからさまだと、シモンもエルザ嬢の力に気が付いているのではないか? シモンは察しが悪い男ではないぞ」
「みたいっすね。エルザを必死で探して、死んだって知って嘆いてるって街中の噂ですぜ。エルザの特殊能力は、死んじまっても有効なんですよ。死んでも上がった魔力はそのままっす。生きてる間に愛想尽かされたら下がりますけどね。念のため、テレーズ様には今後は魔力量を調べないようにお願いしておきました。ジェラール様も気をつけて下さい。多分、やべえくらい魔力が上がってる筈なんで」
「分かった。調べる時は注意するよ。エルザ嬢が生きていると分かってはまずいからな」
「街の噂では、シモン様は一時の気の迷いで婚約破棄をしたが、すぐに反省して婚約者に謝罪しようとした。しかし、婚約者は既に家を追放されていた。必死に探したが、婚約者は既に亡くなっていた。傷心の娘を追い出して、死に追いやった公爵家は非道だって言われてます。死んだってのは俺らの演技ですし、家を訪問したのはシモン様じゃなくてジェラール様ですけど、あとは本当なもんだからどんどん噂が広まってます。王子が婚約者を亡くした可哀想な人になってんすよ。悪いのは公爵家だけ。すげぇ腹が立ちます。王家の情報操作は見事ですね」
「……なるほど、公爵家を切り捨てる事にしたのか」
「そうっす。テレーズ様と縁切りして、ご自慢の魔力もどんどんなくなるなら、公爵家は要らないって事でしょうね。ムカつきますけど、国としては正しいっす。シモン様は、次代の王ですから評判を下げる訳にはいかなかったんでしょう」
「なによそれ……」
「エルザ?」
確かに、実家からは縁を切られました。正直、今の話を聞いても可哀想とも思いません。ですが、どうしてシモン様が可哀想な人になっているのでしょうか。
国王様も王妃様もいらっしゃったのに、わたくしが婚約破棄されるのを眺めているだけでしたわ。国としても、わたくしは要らないと判断したという事でしょう。
それなのに、どうしてシモン様が可哀想なんですの?! どうして、公爵家だけが悪者なんですの?!
実家が落ちぶれるのはどうでも良いです。自業自得だと思います。お姉様に実害が無ければ気にしません。でも、シモン様は悪くないとは……思えないのです。
「許せない……」
「エルザ嬢?」
「国王様も王妃様もシモン様も、みんな許せない! あんな家どうなっても良いけど、なんでシモン様が被害者なのよ! 自分勝手過ぎるわ。そうよね! あんな自分勝手な男の親がきちんとしてる訳なかったわ! 考えてみたら、王妃教育ばっかり厳しくて、シモン様は遊んでたもの! 王妃とはそういうものだ、シモン様が遊んでいるのも将来の人望を集める為だって言われて素直に信じてたわたくしが馬鹿だったわ! あーもう腹が立つ! 国王様も王妃様もあの場にいらっしゃったのにシモン様を止めなかったわ。わたくしを庇ってくれたのはジェラール様だけ! あの場に居た人みんな大っ嫌いよ!」
「シモンの魔力はエルザ嬢が上げていたという事か?」
「そうっす。魔力を上げる特殊能力は、恋人とか婚約者とか伴侶とかにいちばん効くんですよ。愛してれば愛してるほど、魔力が上がります。相思相愛が一番っすけど、片想いでも効きます。けど、魔力を上げる目的で特殊能力者に近づいたら駄目です。俺の師匠が教えてくれました。師匠の知ってる特殊能力者の女性は、魔力を上げてもらおうと近づいた男と恋人になったそうです。でも、男の魔力は上がらず、おかしいと思って調べたら魔力を上げて貰おうとしていただけだと判明しました。特殊能力者は、それから人と関わるのが怖くて森に篭って暮らしたそうです。結構厄介な特殊能力なんですよ。ジェラール様やテレーズ様みたいに、エルザ自身を大切に思ってて、エルザもそれを分かってれば魔力は上がりますけど、物凄くエルザに好意を持ってても、エルザが相手を嫌いなら魔力は上がらないし、シモン様みたいにエルザを探して魔力を上げて貰おうとしても無駄っす。例え、エルザがシモン様にベタ惚れになっても魔力は上がらねぇっす」
「マックス、それはあり得ないわ」
もう一生、シモン様に惚れる事はないわ。
「だよな。悪りぃ。そうそう、シモン様はどんどん魔力が減っているそうですよ。最初の魔力検査は大勢の前で行わないといけませんが、その後は検査水晶さえあれば何度でも魔力を検査できますからね。平民は検査費用が高いから検査しませんけど王族なら魔力水晶を持ってますし、検査をしょっちゅうしてるみたいですぜ。シモン様が最高値だと自慢していた魔力は、もう1000を切ったそうです。必死に秘密にしてるみたいですけど」
「王族の秘密を何故マックス殿が知っているんだ?」
「テレーズ様の夫は、宰相様の側近ですからね。こっそり教えてくれました。信用できる人以外に言うなってテレーズ様に魔法契約させられましたけど、ジェラール様は信用できる方でしょう?」
「なるほどな。色々合点がいった。それで最近シモンがイライラしていたのか。しかしそこまで効果があからさまだと、シモンもエルザ嬢の力に気が付いているのではないか? シモンは察しが悪い男ではないぞ」
「みたいっすね。エルザを必死で探して、死んだって知って嘆いてるって街中の噂ですぜ。エルザの特殊能力は、死んじまっても有効なんですよ。死んでも上がった魔力はそのままっす。生きてる間に愛想尽かされたら下がりますけどね。念のため、テレーズ様には今後は魔力量を調べないようにお願いしておきました。ジェラール様も気をつけて下さい。多分、やべえくらい魔力が上がってる筈なんで」
「分かった。調べる時は注意するよ。エルザ嬢が生きていると分かってはまずいからな」
「街の噂では、シモン様は一時の気の迷いで婚約破棄をしたが、すぐに反省して婚約者に謝罪しようとした。しかし、婚約者は既に家を追放されていた。必死に探したが、婚約者は既に亡くなっていた。傷心の娘を追い出して、死に追いやった公爵家は非道だって言われてます。死んだってのは俺らの演技ですし、家を訪問したのはシモン様じゃなくてジェラール様ですけど、あとは本当なもんだからどんどん噂が広まってます。王子が婚約者を亡くした可哀想な人になってんすよ。悪いのは公爵家だけ。すげぇ腹が立ちます。王家の情報操作は見事ですね」
「……なるほど、公爵家を切り捨てる事にしたのか」
「そうっす。テレーズ様と縁切りして、ご自慢の魔力もどんどんなくなるなら、公爵家は要らないって事でしょうね。ムカつきますけど、国としては正しいっす。シモン様は、次代の王ですから評判を下げる訳にはいかなかったんでしょう」
「なによそれ……」
「エルザ?」
確かに、実家からは縁を切られました。正直、今の話を聞いても可哀想とも思いません。ですが、どうしてシモン様が可哀想な人になっているのでしょうか。
国王様も王妃様もいらっしゃったのに、わたくしが婚約破棄されるのを眺めているだけでしたわ。国としても、わたくしは要らないと判断したという事でしょう。
それなのに、どうしてシモン様が可哀想なんですの?! どうして、公爵家だけが悪者なんですの?!
実家が落ちぶれるのはどうでも良いです。自業自得だと思います。お姉様に実害が無ければ気にしません。でも、シモン様は悪くないとは……思えないのです。
「許せない……」
「エルザ嬢?」
「国王様も王妃様もシモン様も、みんな許せない! あんな家どうなっても良いけど、なんでシモン様が被害者なのよ! 自分勝手過ぎるわ。そうよね! あんな自分勝手な男の親がきちんとしてる訳なかったわ! 考えてみたら、王妃教育ばっかり厳しくて、シモン様は遊んでたもの! 王妃とはそういうものだ、シモン様が遊んでいるのも将来の人望を集める為だって言われて素直に信じてたわたくしが馬鹿だったわ! あーもう腹が立つ! 国王様も王妃様もあの場にいらっしゃったのにシモン様を止めなかったわ。わたくしを庇ってくれたのはジェラール様だけ! あの場に居た人みんな大っ嫌いよ!」
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