41 / 55
改稿版
29-2 図書館へ行こう
しおりを挟む
「エルザ、明日って暇か?」
ジェラール様が帰られると、マックスに問いかけられました。
「お仕事は無いし、暇よ」
「なら、俺に付き合ってくれないか?」
「勿論、良いわよ。何処へ行くの?」
「転移で大型の図書館に行く。最近、新作の本読んでねぇだろ?」
本はそれなりに高価なので、なかなか手を出せません。だから、家から持って来た本を大事に読んでおりました。
新作が読めるのは嬉しいです。
「嬉しいわ! 久しぶりにゆっくり本が読めるのね」
「俺も付き添うから、ちゃんと魔法で隠してやるよ。知り合いに会っても、エルザから話しかけなければ大丈夫だ」
「マックス……ありがとう!」
「そんなに嬉しかったのか? もっと早く提案すれば良かったぜ。エルザは本が好きだもんな」
「図書館は行きたいと何度も思ったんだけど、知り合いに会ったら困るし諦めていたの。だから、嬉しくて」
「気が付かなくてごめんな。なぁ、エルザ。俺はテレーズ様に雇われてるんだから、もっと我儘を言ってくれよ。依頼人の意向はちゃんと聞くからよ」
何故かしら、胸がチクリと痛みます。
マックスは優しくて、とても素敵な方です。
……でも、わたくしに優しくしてくれるのは仕事だから?
そんな事ない。頭では分かっているのに感情がついていきません。こんな気持ち、知りません。
混乱している事を悟られまいと、王妃教育で叩き込まれた笑顔を浮かべます。マックスは、少し怪訝な顔をしましたが優しくわたくしに防護魔法をかけてくれました。
「もう外出の予定はねぇな? ちゃんと魔法で守ってやるから、安心してゆっくり休め。明日朝9時に迎えに来る。それまでは家から出るなよ」
「分かったわ。いつもありがとう」
部屋はあるのだから、泊まっていけば良いのにと何度もお誘いしました。わたくしの寝室には鍵が掛かっているのだから、問題ないと。だけどマックスは紳士で、絶対に泊まろうとはしませんでした。
そんなところも、素敵だなと思います。
「仕事だから気にすんな」
あれ?
どうしたのでしょう?
なぜか、胸がチクリと痛みます。病気でしょうか。少し心配になりましたが、翌日マックスが迎えに来てくれた時には胸の痛みはすっかり消えておりました。
「おはよう。そのワンピース、可愛いな」
「ありがとう。買ったばかりなの」
お買い物はほとんどマックスと一緒に行きますが、マックスは店の外で待っているのでわたくしが何を買ったのかは知りません。
今着ているワンピースは、淡い緑でスカートがふわふわしていて可愛らしいです。マックスの目の色と同じだな。そう思って手に取ったら欲しくてたまらなくて、少し高かったけど奮発して買いました。
買って良かったですわ。
「じゃ、行くか。忘れ物はねぇな?」
「ありませんわ。楽しみです! 早く行きましょう!」
「分かった。着いたらすぐ魔法をかけるからな」
そう、言われていたのに。
久しぶりに多くの本を見て興奮したわたくしは、マックスが魔法を掛ける前に本棚に吸い込まれてしまいました。
そして……最も会いたくない人に出会ってしまったのです。
ジェラール様が帰られると、マックスに問いかけられました。
「お仕事は無いし、暇よ」
「なら、俺に付き合ってくれないか?」
「勿論、良いわよ。何処へ行くの?」
「転移で大型の図書館に行く。最近、新作の本読んでねぇだろ?」
本はそれなりに高価なので、なかなか手を出せません。だから、家から持って来た本を大事に読んでおりました。
新作が読めるのは嬉しいです。
「嬉しいわ! 久しぶりにゆっくり本が読めるのね」
「俺も付き添うから、ちゃんと魔法で隠してやるよ。知り合いに会っても、エルザから話しかけなければ大丈夫だ」
「マックス……ありがとう!」
「そんなに嬉しかったのか? もっと早く提案すれば良かったぜ。エルザは本が好きだもんな」
「図書館は行きたいと何度も思ったんだけど、知り合いに会ったら困るし諦めていたの。だから、嬉しくて」
「気が付かなくてごめんな。なぁ、エルザ。俺はテレーズ様に雇われてるんだから、もっと我儘を言ってくれよ。依頼人の意向はちゃんと聞くからよ」
何故かしら、胸がチクリと痛みます。
マックスは優しくて、とても素敵な方です。
……でも、わたくしに優しくしてくれるのは仕事だから?
そんな事ない。頭では分かっているのに感情がついていきません。こんな気持ち、知りません。
混乱している事を悟られまいと、王妃教育で叩き込まれた笑顔を浮かべます。マックスは、少し怪訝な顔をしましたが優しくわたくしに防護魔法をかけてくれました。
「もう外出の予定はねぇな? ちゃんと魔法で守ってやるから、安心してゆっくり休め。明日朝9時に迎えに来る。それまでは家から出るなよ」
「分かったわ。いつもありがとう」
部屋はあるのだから、泊まっていけば良いのにと何度もお誘いしました。わたくしの寝室には鍵が掛かっているのだから、問題ないと。だけどマックスは紳士で、絶対に泊まろうとはしませんでした。
そんなところも、素敵だなと思います。
「仕事だから気にすんな」
あれ?
どうしたのでしょう?
なぜか、胸がチクリと痛みます。病気でしょうか。少し心配になりましたが、翌日マックスが迎えに来てくれた時には胸の痛みはすっかり消えておりました。
「おはよう。そのワンピース、可愛いな」
「ありがとう。買ったばかりなの」
お買い物はほとんどマックスと一緒に行きますが、マックスは店の外で待っているのでわたくしが何を買ったのかは知りません。
今着ているワンピースは、淡い緑でスカートがふわふわしていて可愛らしいです。マックスの目の色と同じだな。そう思って手に取ったら欲しくてたまらなくて、少し高かったけど奮発して買いました。
買って良かったですわ。
「じゃ、行くか。忘れ物はねぇな?」
「ありませんわ。楽しみです! 早く行きましょう!」
「分かった。着いたらすぐ魔法をかけるからな」
そう、言われていたのに。
久しぶりに多くの本を見て興奮したわたくしは、マックスが魔法を掛ける前に本棚に吸い込まれてしまいました。
そして……最も会いたくない人に出会ってしまったのです。
17
あなたにおすすめの小説
婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~
ゆうき
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。
そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。
シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。
ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。
それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。
それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。
なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた――
☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆
☆全文字はだいたい14万文字になっています☆
☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆
【完結】熟成されて育ちきったお花畑に抗います。離婚?いえ、今回は国を潰してあげますわ
との
恋愛
2月のコンテストで沢山の応援をいただき、感謝です。
「王家の念願は今度こそ叶うのか!?」とまで言われるビルワーツ侯爵家令嬢との婚約ですが、毎回婚約破棄してきたのは王家から。
政より自分達の欲を優先して国を傾けて、その度に王命で『婚約』を申しつけてくる。その挙句、大勢の前で『婚約破棄だ!』と叫ぶ愚か者達にはもううんざり。
ビルワーツ侯爵家の資産を手に入れたい者達に翻弄されるのは、もうおしまいにいたしましょう。
地獄のような人生から巻き戻ったと気付き、新たなスタートを切ったエレーナは⋯⋯幸せを掴むために全ての力を振り絞ります。
全てを捨てるのか、それとも叩き壊すのか⋯⋯。
祖父、母、エレーナ⋯⋯三世代続いた王家とビルワーツ侯爵家の争いは、今回で終止符を打ってみせます。
ーーーーーー
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。
完結迄予約投稿済。
R15は念の為・・
婚約破棄されたトリノは、継母や姉たちや使用人からもいじめられているので、前世の記憶を思い出し、家から脱走して旅にでる!
山田 バルス
恋愛
この屋敷は、わたしの居場所じゃない。
薄明かりの差し込む天窓の下、トリノは古びた石床に敷かれた毛布の中で、静かに目を覚ました。肌寒さに身をすくめながら、昨日と変わらぬ粗末な日常が始まる。
かつては伯爵家の令嬢として、それなりに贅沢に暮らしていたはずだった。だけど、実の母が亡くなり、父が再婚してから、すべてが変わった。
「おい、灰かぶり。いつまで寝てんのよ、あんたは召使いのつもり?」
「ごめんなさい、すぐに……」
「ふーん、また寝癖ついてる。魔獣みたいな髪。鏡って知ってる?」
「……すみません」
トリノはペコリと頭を下げる。反論なんて、とうにあきらめた。
この世界は、魔法と剣が支配する王国《エルデラン》の北方領。名門リドグレイ伯爵家の屋敷には、魔道具や召使い、そして“偽りの家族”がそろっている。
彼女――トリノ・リドグレイは、この家の“戸籍上は三女”。けれど実態は、召使い以下の扱いだった。
「キッチン、昨日の灰がそのままだったわよ? ご主人様の食事を用意する手も、まるで泥人形ね」
「今朝の朝食、あなたの分はなし。ねえ、ミレイア? “灰かぶり令嬢”には、灰でも食べさせればいいのよ」
「賛成♪ ちょうど暖炉の掃除があるし、役立ててあげる」
三人がくすくすと笑うなか、トリノはただ小さくうなずいた。
夜。屋敷が静まり、誰もいない納戸で、トリノはひとり、こっそり木箱を開いた。中には小さな布包み。亡き母の形見――古びた銀のペンダントが眠っていた。
それだけが、彼女の“世界でただ一つの宝物”。
「……お母さま。わたし、がんばってるよ。ちゃんと、ひとりでも……」
声が震える。けれど、涙は流さなかった。
屋敷の誰にも必要とされない“灰かぶり令嬢”。
だけど、彼女の心だけは、まだ折れていない。
いつか、この冷たい塔を抜け出して、空の広い場所へ行くんだ。
そう、小さく、けれど確かに誓った。
【完結】前代未聞の婚約破棄~なぜあなたが言うの?~【長編】
暖夢 由
恋愛
「サリー・ナシェルカ伯爵令嬢、あなたの婚約は破棄いたします!」
高らかに宣言された婚約破棄の言葉。
ドルマン侯爵主催のガーデンパーティーの庭にその声は響き渡った。
でもその婚約破棄、どうしてあなたが言うのですか?
*********
以前投稿した小説を長編版にリメイクして投稿しております。
内容も少し変わっておりますので、お楽し頂ければ嬉しいです。
ランプの令嬢は妹の婚約者に溺愛され過ぎている
ユウ
恋愛
銀髪に紫の瞳を持つ伯爵令嬢のフローレンスには社交界の華と呼ばれる絶世の美女の妹がいた。
ジェネットは幼少期の頃に病弱だったので両親から溺愛され甘やかされ育つ。
婚約者ですらジェネットを愛し、婚約破棄を突きつけられてしまう。
そして何もかも奪われ社交界でも醜聞を流され両親に罵倒され没落令嬢として捨てられたフローレンスはジェネットの身代わりとして東南を統べる公爵家の子息、アリシェの婚約者となる。
褐色の肌と黒髪を持つ風貌で口数の少ないアリシェは令嬢からも嫌われていたが、伯爵家の侮辱にも顔色を変えず婚約者の交換を受け入れるのだが…。
大富豪侯爵家に迎えられ、これまでの生活が一変する。
対する伯爵家でフローレンスがいなくなった所為で領地経営が上手くいかず借金まみれとなり、再び婚約者の交換を要求するが…
「お断りいたします」
裏切った婚約者も自分を捨てた家族も拒絶するのだった。
【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います
りまり
恋愛
私の名前はアリスと言います。
伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。
母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。
その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。
でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。
毎日見る夢に出てくる方だったのです。
見るに堪えない顔の存在しない王女として、家族に疎まれ続けていたのに私の幸せを願ってくれる人のおかげで、私は安心して笑顔になれます
珠宮さくら
恋愛
ローザンネ国の島国で生まれたアンネリース・ランメルス。彼女には、双子の片割れがいた。何もかも与えてもらえている片割れと何も与えられることのないアンネリース。
そんなアンネリースを育ててくれた乳母とその娘のおかげでローザンネ国で生きることができた。そうでなければ、彼女はとっくに死んでいた。
そんな時に別の国の王太子の婚約者として留学することになったのだが、その条件は仮面を付けた者だった。
ローザンネ国で仮面を付けた者は、見るに堪えない顔をしている証だが、他所の国では真逆に捉えられていた。
【完結】わたしの婚約者には愛する人がいる
春野オカリナ
恋愛
母は私を「なんて彼ににているのかしら、髪と瞳の色が同じならまるで生き写しだわ」そう言って赤い長い爪で私の顔をなぞる仕種をしている。
父は私に「お前さえいなければ、私は自由でいられるのだ」そう言って詰る。
私は両親に愛されていない。生まれてきてはいけない存在なのだから。
だから、屋敷でも息をひそめる様に生きるしかなかった。
父は私が生まれると直ぐに家を出て、愛人と暮らしている。いや、彼の言い分だと愛人が本当の妻なのだと言っている。
母は父に恋人がいるのを知っていて、結婚したのだから…
父の愛人は平民だった。そして二人の間には私の一つ下の異母妹がいる。父は彼女を溺愛していた。
異母妹は平民の母親そっくりな顔立ちをしている。明るく天使の様な彼女に惹かれる男性は多い。私の婚約者もその一人だった。
母が死んで3か月後に彼らは、公爵家にやって来た。はっきり言って煩わしい事この上ない。
家族に愛されずに育った主人公が愛し愛される事に臆病で、地味な風貌に変装して、学園生活を送りながら成長していく物語です。
※旧「先生、私を悪い女にしてください」の改訂版です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる