興味はないが、皇帝になってやるよ

編端みどり

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第十三話

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「結論から言うとね、私はここにいるのが安全だと思うんだけど、ずっとここにいるのは嫌」

「ま、そうだよな。街に俺が偽名で作った商会があるからそこに避難するか?」

「イオス、商会運営なんてしてたの?!」

「おう、ミッドナイト商会って知らねぇか?」

「知ってるよ! 謎の女性が商会長で、食品から医療まで手広くやってるって有名な!」

「その謎の女がオレだ。セーラ達に資産のほとんどを譲渡したって言うけど、あれ、オレの資産の半分くらいだぞ。今は商会も大きくなって、譲渡した資産以上に稼いでる。兄貴もお得意様なんだぜ」

「なんて事してんのよ……」

「最初は、城を出たときの居場所にしようと思ってたんだよ。セーラと結婚するなら要らねぇとは思ったけど、金はある方がいいし、流通を押さえておけば兄貴の妨害があってもセーラの欲しいものは手に入るから残しておいたんだ。ここ2年くらいはオレは腑抜けてたから運営は任せてるけど、たまにチェックはしてる。人は育ってるし、黒字経営だから安心だぞ」

「そうね、それは良いかも。でも、イオスはどうするの?」

「オレか? オレは城から離れられねぇよ。あと半年、皇帝が決まるまではな。そうそう、兄貴が皇帝になったらオレを処刑するって言われたぜ」

「え……?!」

「ま、オレも殺される気はないからな。皇帝が指名するとはいえ、ほぼ貴族の支持で決まるから少しばかり兄貴の味方を減らそうと思う」

「イオスが、皇帝になるって事?」

「興味はないがオレが生き残るにはそれしかないからな。セーラ、オレが皇帝になっても、城から逃げても側に居てくれるか?」

「もちろん! もうイオスから離れないよ」

セーラの言葉を聞き、イオスはセーラに跪き手にキスをしながら言った。

「セーラ・アステリ様、貴方を愛しています。どうか、私の生涯の伴侶になって頂けませんか? どのような事があっても、生涯貴方をお守りします」

それは、正式なプロポーズだった。

「お受けしますわ。イオス・エクリーポ様。わたくしも、生涯貴方を愛し、共に歩む事を誓います」

セーラの言葉を聞き、イオスはセーラを固く抱きしめた。

「セーラ……もう離さない」

それからふたりは、今後の事を話し合った。イオスは、セーラを安全な所にしばらく避難させようとしたが、セーラは拒否をしてイタズラっぽい笑みを浮かべて笑った。

「セーラ、その顔ぜってぇよからぬ事企んでるだろ!」

「ふふん! 私だってフォス様に騙されてイライラしてるのよ! 実際なんであんな事になったのかわかんないし!」

「あー……それはだな……」

イオスは、セーラにフォスの所業を伝えるか悩んでいた。言わない方がセーラは穏やかに過ごせるのではないか。フォスに突撃してしまうのではないか。さまざまな事を考えて、一瞬顔が歪んだ。

付き合いの長いセーラは、その顔を見逃さなかった。

「イオス、私の国が滅んだ理由。知ってるわね?」

「セーラ……」

「教えて。どんな理由でも知りたい。フォス様をいきなり暗殺しようとなんてしない。私が悪かったとしてもちょっと泣くかもしれないけど、受け止める。イオスや皇帝陛下が悪かったとしても絶対に恨んだりしない。だから、教えて」

ひとつひとつ、イオスの逃げ道を塞いで、セーラは真実を求めた。セーラに弱いイオスは、真っ直ぐな瞳で見つめるセーラの質問に答えるしかなかった。
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