興味はないが、皇帝になってやるよ

編端みどり

文字の大きさ
24 / 45

第二十四話

しおりを挟む
「デュバル公爵、落ち着いた?」

「はい……大変失礼致しました。それでこの部屋は?」

イオスは、デュバルに部屋の秘密、セーラが暗殺に来た事とその理由、フォスから隠して、この部屋で保護した事などを全て話した。ただし、イオスかミッドナイト商会の代表である事は伝えなかった。

これは、セーラと打ち合わせしていた通りだ。ミッドナイト商会の事だけは、絶対に誰にも明かさないと決めていた。

「この部屋は、街の外に出られるんだ。だからオレは、ミッドナイト商会でセーラの経歴を買った」

「なんと……あの商会は後ろ暗い事は引き受けてくれないのでは……?」

「ああ、だから代表の女性にだけは全ての事情を話してある。彼女も最初は受けてくれなかったが、独自に調べてくれて、オレの言葉を信じてくれた。兄貴が皇帝になれば商売がやりにくくなるからとな。ただし、今回きりにしろ。オレが皇帝になってもミッドナイト商会を贔屓するなと言われた」

「贔屓しろではなく、するな……ですか?」

「ああ、贔屓されるほど落ちぶれてないと笑われたよ」

「なるほど、ミッドナイト商会の代表は誇り高い女性のようですな」

「ええ、素晴らしい女性ですわ」

「セーラ様の立ち振る舞いも、ミッドナイト商会で習われたのですか?」

「いいえ、幼い頃から平民の立ち振る舞いを叩き込まれるの」

「……なんと!」

「うちは小さな国からだったから、極秘の視察もあるし、平民の事を知らなければ王族ではないって教えがあるの」

「そうだったのですね、全く気が付きませんでした」

「オレですら分からなかったからな。さすがセーラだ」

「ふふっ、フォス様も、フランツも気がつかなかったわ。フォス様はセーラに似てるが気品が足りないと、フランツには、無礼だ平民! って言われたわ。そうそう、フランツは、フォス様を次期皇帝って断言してたわよ」

「……それは既に、城の中で噂になっております。おかげで、イオス様は一気に有利になりました。特に、平民出身の貴族は全員イオス様を支持しています。フォス様は禁句を仰いましたので」

「禁句? 兄貴は何を言ったんだ?」

「「平民が、貴族になるなど烏滸がましい」」

セーラとデュバルが、声を揃えて言った。イオスは、そのような発言があり得るのかと驚いた。

「デュバル公爵、兄貴は歴史を知らないのか?」

「王家として、仕事をしなければ知り得ません。王子教育で習う事ではありませんので」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

あっ、追放されちゃった…。

satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。 母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。 ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。 そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。 精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

阿里
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています

六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。 しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。 「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!

【完結】私の見る目がない?えーっと…神眼持ってるんですけど、彼の良さがわからないんですか?じゃあ、家を出ていきます。

西東友一
ファンタジー
えっ、彼との結婚がダメ? なぜです、お父様? 彼はイケメンで、知性があって、性格もいい?のに。 「じゃあ、家を出ていきます」

友人の結婚式で友人兄嫁がスピーチしてくれたのだけど修羅場だった

海林檎
恋愛
え·····こんな時代錯誤の家まだあったんだ····? 友人の家はまさに嫁は義実家の家政婦と言った風潮の生きた化石でガチで引いた上での修羅場展開になった話を書きます·····(((((´°ω°`*))))))

処理中です...