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第二十三話
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時は、マリアとフォスが会話を交わした30分後に遡る。
「マリア! 兄貴と話したって?!」
「イオス様、何故ご存知なのですか?」
「普段話もしねえ貴族が、何人も教えに来てくれたよ!」
貴族達は、娘や妻がマリアを絶賛していた事もあり、少しずつではあるがマリアに好意的になっていた。廊下で、慌てふためくイオスは人目を引くが、マリアに必死になる様子は、貴婦人には好意的に写っていた。
「あら、イオス様は人気者ですわね」
「兄貴になんもされなかったか?!」
「はい、良いお話を教えて下さいました」
「良い話だと?」
「イオス様、失礼致します」
現れたのは、宰相だった。
「なんだ?! 今は取り込み中だ!」
「そう仰らずに、大事な知らせです」
「ちっ! オレの部屋に来い!」
イオスが険しい顔でマリアと宰相を、部屋に連れて行ったとすぐに噂になった。フランツが探りを入れようとしたが、宰相は既に自分の味方だと疑わないフォスは、後で宰相に聞けば良いと笑った。
「これでこの部屋は安全だ」
「イオス、あの部屋使おう?」
「は?! あの部屋ってまさか……」
「宰相様、ううん、デュバル公爵は確実に味方だよ。あと1週間、ここでデュバル公爵が裏切ってたらどのみち終わり。私は、イオスと運命を共にする。どうせ、私だけ逃して最後まで国の為に働くつもりでしょう? イオスが死ぬなら、私も死ぬ」
「なんで……無理ならオレは城を出るって……」
「嘘つき。イオスは嘘吐く時いつも斜め下に目線がいくの。昔からよね。城を出入りして分かった。イオスが居なければどのみち1週間で国の運営は破綻する。イオスはそれを分かってて、放っておける訳ない」
「それは……」
「覚悟を決めるわよ。ここぞという時は相手にきちんと秘密を明かさないと。ここで偽ったままなら、どのみち皇帝になっても信頼は得られない」
「分かった。確かにその通りだ。デュバル、悪いがオレ達についてきてくれ。他言無用で頼む」
「御意」
そう言って、イオスは隠し通路を開いた。
「隠し通路……無いのではなかったのですか?」
「ああ、これは城の隠し通路じゃないんだ」
隠し部屋を見た宰相は、口をポカンと開けて固まっている。
「さぁ、紅茶を淹れましょう。イオスがわたくしの故郷の茶葉を手に入れてくれたの。もう故郷は無いけれど、このお茶を飲むと心が落ち着くのよ」
「マリア様……貴方様はまさか……」
「お久しぶりね、デュバル公爵。改めてご挨拶するわ。セーラ・アステリよ。今はマリアだけどね」
悪戯っぽく笑うセーラは、かつての面影を残していた。
「デュバル公爵、何故泣いている?」
「……セーラ様……良かった……本当に良かった……」
「マリア! 兄貴と話したって?!」
「イオス様、何故ご存知なのですか?」
「普段話もしねえ貴族が、何人も教えに来てくれたよ!」
貴族達は、娘や妻がマリアを絶賛していた事もあり、少しずつではあるがマリアに好意的になっていた。廊下で、慌てふためくイオスは人目を引くが、マリアに必死になる様子は、貴婦人には好意的に写っていた。
「あら、イオス様は人気者ですわね」
「兄貴になんもされなかったか?!」
「はい、良いお話を教えて下さいました」
「良い話だと?」
「イオス様、失礼致します」
現れたのは、宰相だった。
「なんだ?! 今は取り込み中だ!」
「そう仰らずに、大事な知らせです」
「ちっ! オレの部屋に来い!」
イオスが険しい顔でマリアと宰相を、部屋に連れて行ったとすぐに噂になった。フランツが探りを入れようとしたが、宰相は既に自分の味方だと疑わないフォスは、後で宰相に聞けば良いと笑った。
「これでこの部屋は安全だ」
「イオス、あの部屋使おう?」
「は?! あの部屋ってまさか……」
「宰相様、ううん、デュバル公爵は確実に味方だよ。あと1週間、ここでデュバル公爵が裏切ってたらどのみち終わり。私は、イオスと運命を共にする。どうせ、私だけ逃して最後まで国の為に働くつもりでしょう? イオスが死ぬなら、私も死ぬ」
「なんで……無理ならオレは城を出るって……」
「嘘つき。イオスは嘘吐く時いつも斜め下に目線がいくの。昔からよね。城を出入りして分かった。イオスが居なければどのみち1週間で国の運営は破綻する。イオスはそれを分かってて、放っておける訳ない」
「それは……」
「覚悟を決めるわよ。ここぞという時は相手にきちんと秘密を明かさないと。ここで偽ったままなら、どのみち皇帝になっても信頼は得られない」
「分かった。確かにその通りだ。デュバル、悪いがオレ達についてきてくれ。他言無用で頼む」
「御意」
そう言って、イオスは隠し通路を開いた。
「隠し通路……無いのではなかったのですか?」
「ああ、これは城の隠し通路じゃないんだ」
隠し部屋を見た宰相は、口をポカンと開けて固まっている。
「さぁ、紅茶を淹れましょう。イオスがわたくしの故郷の茶葉を手に入れてくれたの。もう故郷は無いけれど、このお茶を飲むと心が落ち着くのよ」
「マリア様……貴方様はまさか……」
「お久しぶりね、デュバル公爵。改めてご挨拶するわ。セーラ・アステリよ。今はマリアだけどね」
悪戯っぽく笑うセーラは、かつての面影を残していた。
「デュバル公爵、何故泣いている?」
「……セーラ様……良かった……本当に良かった……」
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