興味はないが、皇帝になってやるよ

編端みどり

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第二十二話

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皇帝指名の儀まで、あと1週間。宰相からはほとんどの貴族はオレの支持を表明したと報告が入っている。それを証明するように、何人も媚を売る貴族が来る。さすが宰相だな。皇帝になっても生かしておいてやろう。そんなふうにフォスが思っていた時に、服だけは美しいが、立ち振る舞いのなっていない女を見つけた。服はイオスが買っていた物だから、この子がイオスの妾だとフォスは理解した。

ふん、平民にしては美しいが、立ち振る舞いがなっていない。セーラに似ていると言うが、セーラはもっと気品がある。そう思ったフォスは、マリアを見ながら声をかけた。

「ふん、お前がマリアか。確かにセーラに似ているが、気品が足りないな」

「……あ、あの、どちらさまでしょうか?」

「失礼だぞ平民! こちらは次期皇帝のフォス様だ! 早く頭を下げろ!」

フランツは、無礼な女だと怒鳴りつけた。かつての自分の弟子であるとは、微塵も思っていない。

「そ、そうなんですね。失礼しました! 確かに私はマリアです。え、えっと、カテーシーは……。フォス様、はじめまして。マリアと申します」

拙い仕草ながらも正式な礼をしながら慌てて頭を下げるマリアを、この場にいる全員が注目している。ここは城の廊下、貴族も多数出入りしている。馬鹿にした顔、感心した顔、様々だった。

「ふん、まあいい。お前、イオスの女だろう?」

「あ、あの、確かにイオス様に城に呼ばれましたが……」

「マナーも、まだまだだな。平民だから努力するだけ無駄だ。平民が貴族になるなど烏滸がましい。そう思わないか?」

フォスは得意げに大声で叫んでいたが、この場に貴族の養子となった平民出身者も多数居る事に、フォスは気がついていない。

「も、申し訳ございません。平民が貴族になるなど、あり得るのですか? わたくしには分かりかねます」

「ふん、お前が貴族になるなどありえない。夢は見ない事だな。イオスとは仲良くやっているか?」

「は、はい。とてもお優しくして頂いております」

「そうか、かわいい弟の為に良い事を教えてやる。イオスに、セーラとは誰かと聞いてみろ」

フォスは、小声でマリアに話しかける。

「セーラ……ですか?」

「聞いた事ないか?」

「ございません」

「そうか、ならばぜひ聞いてみてくれ。とても良い話が聞けると思うぞ」

「そうなのですね。わざわざ教えて頂きありがとうございます」

何も知らないマリアは、無邪気に頭を下げている。やはり平民は騙しやすい。これでイオスとの仲にも亀裂が入るだろう。

数日後、イオスの部屋から炎が上がり、マリアは城を出た。その報告を受けたフォスは、心の底から大笑いした。

フォスは、自分の勝利を疑っていなかった。あと数日もすれば皇帝になれる。そしたらまずはイオスを処刑しよう。父上は放っておけば良い。宰相はとても良く働いてくれたから、残しておこう。そんな勝手な事を考えていた。

裏で、何が起きているのかも知らずに……。
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