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第二十一話
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「宰相、イオスはなんと言っていた?」
「イオス様は、マリア様を私の養子にする気はないそうです。すげなく断られました」
「……そうか。本当にちゃんと薦めたのか?」
「もちろんです。イオス様には失望しました」
なんだかんだとイオスの味方をしていた宰相の言葉に、フォスはニヤリと笑った。
「何に失望したんだ?」
「イオス様は全てを諦めておられます。フォス様が皇帝になられたら、自分も死ぬと申されておりました。理解できません。フォス様が皇帝になられてもイオス様は王族の筈なのに、何故死ぬ等と申されるのか何度問い正しても教えて下さいませんでした。マリア様も、単なる戯れとの事です」
「戯れだと?」
「ええ、マリア様はどことなくセーラ様に似ておられます。マリア様は5年前から商会で働いているので別人なのは間違いないのですが、イオス様はセーラ様の面影をマリア様に求めているだけのご様子です。マリア様は、慣れない城暮らしに必死に馴染もうとなさっているのにあんまりです」
「マリアの教育係はお前の娘だったな。進捗はどうなのだ?」
ここは正しい情報は不要だ。そう判断して嘘を吐く。
「……平民にしてはよく出来ております」
「ふん、平民にしてはか」
「はい。ですが伸び代はありますし、時間をかければ下位貴族並にはなるでしょう」
「しかし、イオスはマリアを伴侶にする気はないのだな?」
「ええ、くどいとお叱りを受けました」
「ははっ、そうか、くどいか」
フォスは、心から愉快な気持ちだった。イオスが女を連れてきた時は少し焦ったが、単なる平民なら妾にしかなれない。部屋に住まわす程気に入っているようだから、貴族の養子にされると厄介だと調べてみれば、宰相がやたら養子を薦めていた事が分かった。マナーも教えているらしい。
焦りながらいつものように宰相に情報収集させたら、まさかイオスに失望するとは。予想外だが追い風だ。宰相は皇帝になったら排除するか迷っていた。最近はフォスの命令を聞くし、仕事も出来るから皇帝になっても宰相は利用させてもらおうとフォスは考えていた。
まずは、オレが皇帝になる為の票固めに宰相を利用しよう。そう決めたフォスは、宰相に指示を出した。
「なぁ、皇帝に相応しいのは誰だ?」
「フォス様です。あのような腑抜けに期待した私が愚かでした」
「なら、今から自分が何をすれば良いか分かるよな?」
「それをお答えする前に伺いたい。フォス様は、どのような皇帝を目指されますか?」
「……皆が、しあわせに暮らせるようにしたいと思っているぞ」
目が泳ぎながら、取ってつけたような言葉を言うフォスを見て、皇帝になるべきは誰なのかを宰相は理解した。
「左様でございますか。では、これから貴族を周りフォス様の支持を盤石にして参ります。必ずや、フォス様に皇帝の座を」
何かを決意した宰相を見て、フォスは最強の味方が出来たとほくそ笑んだ。
「期待しているぞ、宰相」
「全てはフォス様のお心のままに」
「イオス様は、マリア様を私の養子にする気はないそうです。すげなく断られました」
「……そうか。本当にちゃんと薦めたのか?」
「もちろんです。イオス様には失望しました」
なんだかんだとイオスの味方をしていた宰相の言葉に、フォスはニヤリと笑った。
「何に失望したんだ?」
「イオス様は全てを諦めておられます。フォス様が皇帝になられたら、自分も死ぬと申されておりました。理解できません。フォス様が皇帝になられてもイオス様は王族の筈なのに、何故死ぬ等と申されるのか何度問い正しても教えて下さいませんでした。マリア様も、単なる戯れとの事です」
「戯れだと?」
「ええ、マリア様はどことなくセーラ様に似ておられます。マリア様は5年前から商会で働いているので別人なのは間違いないのですが、イオス様はセーラ様の面影をマリア様に求めているだけのご様子です。マリア様は、慣れない城暮らしに必死に馴染もうとなさっているのにあんまりです」
「マリアの教育係はお前の娘だったな。進捗はどうなのだ?」
ここは正しい情報は不要だ。そう判断して嘘を吐く。
「……平民にしてはよく出来ております」
「ふん、平民にしてはか」
「はい。ですが伸び代はありますし、時間をかければ下位貴族並にはなるでしょう」
「しかし、イオスはマリアを伴侶にする気はないのだな?」
「ええ、くどいとお叱りを受けました」
「ははっ、そうか、くどいか」
フォスは、心から愉快な気持ちだった。イオスが女を連れてきた時は少し焦ったが、単なる平民なら妾にしかなれない。部屋に住まわす程気に入っているようだから、貴族の養子にされると厄介だと調べてみれば、宰相がやたら養子を薦めていた事が分かった。マナーも教えているらしい。
焦りながらいつものように宰相に情報収集させたら、まさかイオスに失望するとは。予想外だが追い風だ。宰相は皇帝になったら排除するか迷っていた。最近はフォスの命令を聞くし、仕事も出来るから皇帝になっても宰相は利用させてもらおうとフォスは考えていた。
まずは、オレが皇帝になる為の票固めに宰相を利用しよう。そう決めたフォスは、宰相に指示を出した。
「なぁ、皇帝に相応しいのは誰だ?」
「フォス様です。あのような腑抜けに期待した私が愚かでした」
「なら、今から自分が何をすれば良いか分かるよな?」
「それをお答えする前に伺いたい。フォス様は、どのような皇帝を目指されますか?」
「……皆が、しあわせに暮らせるようにしたいと思っているぞ」
目が泳ぎながら、取ってつけたような言葉を言うフォスを見て、皇帝になるべきは誰なのかを宰相は理解した。
「左様でございますか。では、これから貴族を周りフォス様の支持を盤石にして参ります。必ずや、フォス様に皇帝の座を」
何かを決意した宰相を見て、フォスは最強の味方が出来たとほくそ笑んだ。
「期待しているぞ、宰相」
「全てはフォス様のお心のままに」
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