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竜王国の魔王
命だけは取らない
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幽霊と骨の二組が消えるようにその場から立ち去りレデッジ竜王国を後にする。
そんなことなど誰も気づかない。
大通りでは二人の魔王候補が戦闘を今だに続けていたのだから。
それを見る住人たちはその暴風に圧倒される。
それを見る冒険者の一部はその拙さに呆れていることだろう。
「ターン・シャドウ」
ミオーナがギランズールとのつばぜり合いから後退して路地裏にスキルを使用して掻き消える。
「む、アサシンか!」
ターン・シャドウとはアサシンなどが獲得する回避系のスキルである。
一度自身の姿を暗闇から出したことを条件に使うスキルで自身を影の様にかき消すことができる。
それを見たレデッジ竜王国の兵士たちが警戒態勢に入る。
「王子、警戒なさってください。どこから来るかわかりませんぞ」
「ぷ、あはははは!なんだいなんだい、兵士は使わないとか言ってたくせに守られてんじゃないか!まだまだ卵の殻が恋しいんじゃないのかギランズールお坊ちゃん!」
声の発生源を察知されない様にスキルを使っているのかミオーナの声は特定の場所からではなく直ぐ近くから聞こえるように感じた。
「お前たち!俺を守るんじゃない!それは俺を侮辱する行為だぞ!」
「し、しかし!」
「やつの言葉を聞かなかったのか、アサシンがスキルを使ったのだやつは俺を取りに来ている。それは俺も同じだ。それに一度言った言葉を戻すなど俺が、俺のプライドが許さない!いいからどけ!」
ギランズールの気迫に押されて兵士たちが遠のく。
「さあ来てみろ!俺はここにいるぞ!」
言われなくてもミオーナはギランをここで殺すつもりでいる。
しかし殺すことで不都合が生じるのも知っていた。
ギランは王族でこの状況で殺せば足がつく。
そこだけが気になっていたのだ。王族を殺せば必ず刺客がやってくる。
この世界に入れば誰もが分かることだ。雇うだろう。奴の身内は。
レベルの差などは全く気にしていなかった。
種族固有の力と奴が手にしている力の合計を足してもミオーナの合計43には届いていない。
それは事実だった。ギランズールは35なのだ。因みにアシュリーは18、アラックは14である。逃げて正解だったのだ。
ミオーナはアサシンとして決意を固める。
一撃必殺、それをしくじれば逃げる。潔く自決もしない。
これは私用だからだ。私の為にやる暗殺だ。依頼人のための口封じを己にする必用はない。
ただ、直ぐに逃げてこの国、いやこの大陸を出る。
そう考えるとミオーナは技に集中する。幾つかあるものの中から最善を選択する。
どこから来る?
どこから行く?
ミオーナが消えてから大通りには先ほどとは打って変わり静寂が漂っていた。
兵士の息を呑み込む音も風で飛ばされる木の葉の音も鮮明に聞いて取れる。
その中から、静寂から強調される雑音の中から異物を探す。
そして見つけた。
「そこだ!」
ギランは目の前の空間を斬り付けた。
驚く兵士たちの中、斬り付けた空間から寸ででナイフで剣撃を逸らしてミオーナが現れた。
そう、ミオーナは失敗したのだ。
「畜生!」
ギランが二撃目を放つ前に屋根へと飛び移った。
そしてフードが外れて素顔があらわになる。
「エルフか…となると今のは風魔法だな?風によって光を屈折し姿をかき消した。そして自身の匂いも同じように消していたんだな?だが消しすぎたな。お前の負けだ!ここで殺す!!」
ギランが地面を割って直線を飛んだ。
ミオーナが一歩逃げ遅れ眼前にギランの顔が現れた。
その瞬間ミオーナは不甲斐なさと終わりを感じた。
ギランの剣が下段から上へと放たれミオーナの右腕を吹き飛ばした。
「うぎっ!?」
「なっ!?」
切られたという痛みと生きている驚きがミオーナの口から漏れ、ギランは逆に外れた、否、外されたという驚愕に声を漏らした。
ギランは自身の剣を見る。
剣の中心には黒く汚れた点がついていた。
「誰だ!」
直ぐに妨害されたと気づき攻撃されたであろう方向へと声を飛ばす。
そしてギランは背中を凍りつかせた。
ギランの隣に既にそいつは存在したのだ。
骸骨の顔と手、漆黒のローブと朽ちた王冠を頂くアンデッド。
直感でギランは分かった。わかってしまう。同じだと。
「ノーライフ・キング…」
「是れより先に進みたくば段階を以て殺せ。賽は1を示している」
「み、見逃せというのか?」
アンデッドはそれだけ言うと返答もせず掻き消えた。
ギランは直ぐさま右肩を抑え苦痛に顔を歪ませるミオーナを見る。
見逃せというのか?
ここまで追い詰めて?
ギランは迷っていた。この目の前の緑髪緑目のエルフを殺すことを。
「お前はあいつを知っているのか!?仲間なのか!?答えろ!!さもなくば殺す!!」
ギランは剣を突きつけてミオーナに迫る。
ミオーナは噛み締める歯を解いて口を開く。
「あいつとは誰のことを言っているんだ?」
それを聞いてギランは剣を力なく落とした。
そんなことなど誰も気づかない。
大通りでは二人の魔王候補が戦闘を今だに続けていたのだから。
それを見る住人たちはその暴風に圧倒される。
それを見る冒険者の一部はその拙さに呆れていることだろう。
「ターン・シャドウ」
ミオーナがギランズールとのつばぜり合いから後退して路地裏にスキルを使用して掻き消える。
「む、アサシンか!」
ターン・シャドウとはアサシンなどが獲得する回避系のスキルである。
一度自身の姿を暗闇から出したことを条件に使うスキルで自身を影の様にかき消すことができる。
それを見たレデッジ竜王国の兵士たちが警戒態勢に入る。
「王子、警戒なさってください。どこから来るかわかりませんぞ」
「ぷ、あはははは!なんだいなんだい、兵士は使わないとか言ってたくせに守られてんじゃないか!まだまだ卵の殻が恋しいんじゃないのかギランズールお坊ちゃん!」
声の発生源を察知されない様にスキルを使っているのかミオーナの声は特定の場所からではなく直ぐ近くから聞こえるように感じた。
「お前たち!俺を守るんじゃない!それは俺を侮辱する行為だぞ!」
「し、しかし!」
「やつの言葉を聞かなかったのか、アサシンがスキルを使ったのだやつは俺を取りに来ている。それは俺も同じだ。それに一度言った言葉を戻すなど俺が、俺のプライドが許さない!いいからどけ!」
ギランズールの気迫に押されて兵士たちが遠のく。
「さあ来てみろ!俺はここにいるぞ!」
言われなくてもミオーナはギランをここで殺すつもりでいる。
しかし殺すことで不都合が生じるのも知っていた。
ギランは王族でこの状況で殺せば足がつく。
そこだけが気になっていたのだ。王族を殺せば必ず刺客がやってくる。
この世界に入れば誰もが分かることだ。雇うだろう。奴の身内は。
レベルの差などは全く気にしていなかった。
種族固有の力と奴が手にしている力の合計を足してもミオーナの合計43には届いていない。
それは事実だった。ギランズールは35なのだ。因みにアシュリーは18、アラックは14である。逃げて正解だったのだ。
ミオーナはアサシンとして決意を固める。
一撃必殺、それをしくじれば逃げる。潔く自決もしない。
これは私用だからだ。私の為にやる暗殺だ。依頼人のための口封じを己にする必用はない。
ただ、直ぐに逃げてこの国、いやこの大陸を出る。
そう考えるとミオーナは技に集中する。幾つかあるものの中から最善を選択する。
どこから来る?
どこから行く?
ミオーナが消えてから大通りには先ほどとは打って変わり静寂が漂っていた。
兵士の息を呑み込む音も風で飛ばされる木の葉の音も鮮明に聞いて取れる。
その中から、静寂から強調される雑音の中から異物を探す。
そして見つけた。
「そこだ!」
ギランは目の前の空間を斬り付けた。
驚く兵士たちの中、斬り付けた空間から寸ででナイフで剣撃を逸らしてミオーナが現れた。
そう、ミオーナは失敗したのだ。
「畜生!」
ギランが二撃目を放つ前に屋根へと飛び移った。
そしてフードが外れて素顔があらわになる。
「エルフか…となると今のは風魔法だな?風によって光を屈折し姿をかき消した。そして自身の匂いも同じように消していたんだな?だが消しすぎたな。お前の負けだ!ここで殺す!!」
ギランが地面を割って直線を飛んだ。
ミオーナが一歩逃げ遅れ眼前にギランの顔が現れた。
その瞬間ミオーナは不甲斐なさと終わりを感じた。
ギランの剣が下段から上へと放たれミオーナの右腕を吹き飛ばした。
「うぎっ!?」
「なっ!?」
切られたという痛みと生きている驚きがミオーナの口から漏れ、ギランは逆に外れた、否、外されたという驚愕に声を漏らした。
ギランは自身の剣を見る。
剣の中心には黒く汚れた点がついていた。
「誰だ!」
直ぐに妨害されたと気づき攻撃されたであろう方向へと声を飛ばす。
そしてギランは背中を凍りつかせた。
ギランの隣に既にそいつは存在したのだ。
骸骨の顔と手、漆黒のローブと朽ちた王冠を頂くアンデッド。
直感でギランは分かった。わかってしまう。同じだと。
「ノーライフ・キング…」
「是れより先に進みたくば段階を以て殺せ。賽は1を示している」
「み、見逃せというのか?」
アンデッドはそれだけ言うと返答もせず掻き消えた。
ギランは直ぐさま右肩を抑え苦痛に顔を歪ませるミオーナを見る。
見逃せというのか?
ここまで追い詰めて?
ギランは迷っていた。この目の前の緑髪緑目のエルフを殺すことを。
「お前はあいつを知っているのか!?仲間なのか!?答えろ!!さもなくば殺す!!」
ギランは剣を突きつけてミオーナに迫る。
ミオーナは噛み締める歯を解いて口を開く。
「あいつとは誰のことを言っているんだ?」
それを聞いてギランは剣を力なく落とした。
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