【勢い小説】転生したらただの〇〇〇〇でした

しゅーげつ

文字の大きさ
5 / 9
第一章 とある牢獄でひっそり横たわる男へ

第四話

しおりを挟む


……思い

つかん!!!


文字通り手も足も出ない骨身に何が出来るってんだ??



「ねぇ~~なんもないし早くでようよ~~カビ臭いし~~」

「だね……勇者、向こうにも部屋があったみたいだから、
 あっちも調べてみるかい?」

「デブゥ(同意)」


いや、お前は勇者じゃないでぶ。


4人パーティーの1枠を埋める意味が分からない遊び人が、
隠された剣に気づけるとは思えない。

せめて盗賊なら良かったが、他の3人に期待するしか……



「そうだね……隣もみてみようか」


スッと振り返って、独房を出ようとする勇者の立派なマントを、
ひっ掴む勢いでオレは叫んだ――

つもりになった。



ちょ、マテヨ!!!
なんか大事な剣があんだって!!!!


ベットの下だ!!!ちゃんと調べろよ!!!!



音は空気の振動だ。
肺も声帯もないオレの叫びは音にならない。

何も震わせる事ができないんだ。

思いだけでは何も届かない!!!



……そもそもオレは今まで何も伝えてこようとはしなかった。

言葉を話せた前世ですらも。

親とも兄弟とも、クラスメートや教師とも、
毎朝火曜コンビニの店員とでさえ、

まともに会話をしてこなかったのだ。



それでも叫んだ。
無駄と知りながら。



遠ざかる靴音と、
隣の牢をストラッシュする気配を感じながら、

形にならない焦燥と、音にならない衝動を、
一つの何かに束ねて、無言の叫びを繰り返した。



何度も何度も声にならない声を上げた。




正直どうでもいい剣だが、
空しさと切なさともどかしさで交錯した意識は、


それすらも音なくスパークして、『オレ自身』を――



若干卑猥な辺りから弾き飛ばした。

オレはゆっくりと遠ざかる白骨が横たわるベッドを見下ろしながら、
勇者の後を追おうとした――





***

******


*********




――ピーーーッ ストラーッシュ!!!


ゆうしゃの こうげき!
かいしんの いちげき!


てつごうしは こわれそうだ!

「もういっちょー!!」


バッキーン!!!


ゆうしゃのけんは くだけちった!


「はぅああああああ!!!」


「あーぁ……やっちゃったぁ」

「デブゥ(嘲笑」

「どうするんだ勇者……代えの武器なんか持って来てないだろ」



「し、しまった……『どうぐぶくろ』に何か武器入ってない??」

「勇者……何を言ってるんだ? 袋に剣が入る訳ないだろ?」


「だよね~あんなのせいぜい『やくそう』とか~
 『どくけしそう』とか~『まんげつそう』~とか
 『大麻』くらいしか入んないわよ~」

「え……ちょ、そういう設定だっけ……」


「デブゥ(首肯」

4人のメタな会話を見下ろしつつ浮遊するオレの意識は、
半端に傾いた格子扉の隙間からスルっと滑り込んだ。



間取りはオレの骨がある独房と大差ないが、
ベッドには何も横たわってはいない。


しっかし、こっからどうしたものか……状況は何も変わっていないが……

……ん?


……何やら部屋の真ん中らへんが揺らいで見える。

何だありゃ……


……あれは……!


オレはそれを認識すると、迷う間も無く飛び込んだ。
すぐに勇者一行が来てしまう……迷う暇など……ない!!



***


ガチャガチャガチャガチャ
ガチャガチャガチャ……バキン!!!


「やった!!開いた!開いたよ!!」

「しかし……もう他の牢屋は空けられないぞ?勇者」

「そしたらその剣を貸し――」
「断る」

「デブゥ(食い気味に来たなw」

「うざぁこいつ……あれぇ?
 あー!! なんか……いる~~!!」


牢内に反響する程の大声でムッチリ僧侶が右手の松明で指したのは……



――オレ!?

見えてるのか???


目を細めた半裸戦士が一歩足を前に出そうとしたのと同時に、
後ろに居た勇者が肩を止めた。


「……なんだろあれ。ゴースト系かな??」


どうやら見た目魂チックなモンスターの中に入り込んだらしい。
とにかくこいつの身体を借りてこいつらに剣の場所を――

「メ〇ゴーストじゃないか、勇者」

「え~?あれははもっと明るい色でしょ~!
 なんかどす黒いし~プリズ〇ンでも見た事ないよ~あんなの~」

「デブゥ(ドル〇ージュ!!」

「なんか~? うらぶれた人生を終えて
 淀んだ魂が排水溝で詰まったみたいな~

 裏路地のドブの色してる~~~」




 やっかましいわ!!!!!!!!!!!!! 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜

桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。 上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。 「私も……私も交配したい」 太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

あべこべな世界

廣瀬純七
ファンタジー
男女の立場が入れ替わったあべこべな世界で想像を越える不思議な日常を体験した健太の話

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...