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第1章 憂鬱であり、不運を発揮する盗賊の少年
プロローグ
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この世界にはある理が存在している。
それは、それぞれの家で代々ジョブが決められている事。
魔法使いの家に生まれれば魔法使いに、戦士になれば戦士に、武闘家なら武闘家の子供として、それぞれ血筋によって未来は決められている。
勿論、勇者の家系も論外ではなく血筋によって勇者となってしまう。
この世界は誕生した瞬間にジョブが決められてしまうのだ。
勿論、たった一つのジョブになる事はない、結婚の際など別にそこには縛る理はない。
武闘家が魔法使いと結婚しようと、戦士が僧侶と結婚しようと結ばれる事に関しては決まりはないのだ。
よって、その二つの職業を親に持つ子であれば、そのどちらかを選べられるのだ。
だが、それは祖父母までには関係せず、例え祖母が元賢者で、祖父は鍛冶師だったとしたならば、その子供は鍛冶師を選び、そしてその子供が戦士と結婚すれば、その子供は父と母の才能しか得られない。
祖母が賢者だったとしても、孫には賢者の才能は無く鍛冶師と戦士の才しかないのだ。
それが当たり前の世界にて、たった1人の幼い少年はその理を深く絶望と理不尽に突き落とされる夢を見ていた。
「ぼく、おおきくなったらゆうしゃのなかまになるか、えいゆうになりたい!」
当時5歳だった少年は、強く夢を見ていた。
父と母の職業が純血の統一家で、将来は決められたレールを敷かれそこを歩く中で、そんな大きな夢を見ていた。
その少年ヴァイス・リンスリード、明るい赤髪が特徴的に髪色のように明るく元気な子供だった。
その翌年までは………。
6歳になったヴァイス・リンスリードは、学校へと通う事になった。
学校で習う世界の理、図書館に行けば英雄譚の物語が書かれた本を読み、勇者の伝記を読み、彼は徐々に気付いてしまったのだ。
英雄にも勇者にも、その仲間達の中には数多の職業達が活躍するも、一つだけが抜けている事を発見してしまった。
彼の親は代々"シーフ"系統が多く、両親は2人揃って盗賊だった。
シーフ系統とは、海賊、盗賊、山賊等を総まとめにした事を指す。
勇者の仲間にも、英雄やその仲間にもシーフ系統は歴史上存在しないのだ。
……そして、彼は7歳で明るい髪色とは相対して性格が根暗となってしまった。
代々盗賊の家系、そう生まれた瞬間から英雄にも勇者にもなれる事もなく、勿論それに連なる仲間にも加わることも無い盗賊として生きる事になった。
既に学校入学時には強く夢を言い回ったが、二年生になった頃にはそんな世迷言は言わなくなっていた。
冒険者学校、6歳から14歳まで自身の職業の選別、これは両親が別々の職業であればだが、その他には冒険者としての義務教育、そこから各職業の組合に加入と自身の初期ステータスの成長、そしてスキル習得を行なって卒業し、未知なる大地や街々周り強モンスターを倒し名声を手に入れたり等ワクワクして学校から社会に飛び出すのだ。
だが、俺は夢を捨てたのだ……。
夢を見て、名声を手に入れる等、強モンスターを倒すだの、王都に行き騎士になるだの、そんな物を全てくだらない事だと一蹴した。
ヴァイス・リンスリードはそこからすぐにやる気を失い、成績過程を最低限で過ごしたが盗賊組合には非加入で卒業し、冒険者として生活する事を選んだ。
盗賊組合は正直良い話は聞かないのが理由であり、少なからず抱き続けた幻想の意地でもあった。
盗賊は盗賊、産まれたからにはそれ以外にはなれない、ヴァイスはそれを深く痛感した学校生活だった、10年が経ち14歳での卒業を前にして、既に彼はその盗賊ライフを余生として送る事にしたのだ。
卒業した彼は故郷を離れ、クロムと呼ばれる大きな街に住む事にした。
適当に、気が向いたらギルドでクエストを受け、小さな稼ぎで食い繋いでいた。
ヴァイスは適当に生き、そして死ぬ事を目標に根暗なまま冒険者稼業を一年過ごした。
15歳となった彼は、いつしか怠惰の塊となりそれをモットーに生きる事を無意識に選んでいた。
そして、勇者の仲間にも、英雄になるという少年の頃の夢は忘れ去り、そんな楽天的で面倒事を嫌うヴァイス・リンスリードが生まれてしまった。
彼は起きたい時に起き、そしてたまに大きなクエストを行いまとまったお金を手にしたら、それが無くなるまで部屋に極力引きこもり、本を読みふけりながら過ごす。
そんな怠けた生活を過ごしていたある日の事。
ーーコンコン、と扉をノックされ目を覚ました。
カーテンの隙間から見ても太陽の位置は昼だと思いながら、彼はもぞもぞと寝返りをうつ。
コンッコンッ……今度は少し強めにノックをされる。
「うるさいな……誰もいませんよー」
寝ぼけた声で返事をしてみるが、そんな小声では届く事もなく。
ゴッ!ゴッ!と段々と強くなるノックに、遂には扉が壊されると思いながらようやく重たい身体を起き上がらせた。
扉の向こうにいるであろう人物が、彼にはとっても憂鬱で…まだ2回しか会っていないのだが、とてつもなくヴァイスにとっては苦手だと思わせた。
想像つく人物だろうと、ため息を吐きながら簡易なベッドから起き上がる。
部屋を見渡しながら隠れられる所があるか、そんな事も考えてみるが、ヴァイスの部屋は質素で服は数着壁に掛けてあるだけでタンスすらない。
他にあるとしたら無数にある本をぎっしり詰め込んだ棚のみだった。
「今度隠れられるタンスでも買うか」
本以外の物欲が久しぶりに沸いた思いで部屋の入口の扉に向かう。
そんな事を来客者は知らずに、今度は出るまでノックをする様子でずっとドンドンドンドンと叩き続けている。
「寝てたんだ、何の用だ」
扉を開けて目の前の人物を恨めしそうに見る。
革製の可愛らしいブーツに、動きやすそうなショートパンツ、腰元には短剣を装備し、上もヘソが見えさっぱりとした丈の短いシャツにジャケット。
髪型はとても動きやすそうに肩に届かない程のショートカットで陽に当たれば青く輝く白銀の髪色、見るからに男性に人気な顔立ちであるが、勿体無い程の怒っている目つきでヴァイスを睨んでいる。
怒ってなければ可愛らしいのだが、今は怒る理由がありそんな表情をしている。
ー理由は明白であり、ヴァイス自身も覚えがあるから強くは言えない。
静かな口調で呆けながら目の前の女の子に言うと、彼女は更に怒った表情で口を開く。
「ねえ、もうお昼なんですけど!」
知っている、カーテンの隙間から射す光の位置で大体は時間が把握できる。
だが、あえて理由に触れずに、更に呆けながらヴァイスは言った。
「そう、なのか……」
寝過ぎてしまった、そんな態度を取りながら寝癖のついた赤髪を掻く。
「用意するから待っててくれないか?」
「早くね!」
わかったと返事をする前に扉を閉める。
顔を洗い、目が冴えてくるのを待ちながら壁に掛けられた黒のシャツを着て更に革製の黒ジャケットを羽織ると、七分袖になる様に捲り白のズボンを履き革製のロングブーツを履いたら準備万端だ。
最後に本棚に引っ掛けた短剣を二本重なる様に腰の後ろにベルトで結び部屋を出た。
「遅い!」
一応これでも最速なんだが、と思いながら一言謝っておく。
「ほんと信じられない!」
ほんとに信じられないとヴァイス自身も思いながらも口にはしない。
言った後にめんどくさい事しか想像付かないから黙っておく事にする。
仕事を仲介してくれる冒険者ギルドの元に向かいながら、何故自分はこんな女の子と出会ってしまったのか思い出して見る。
思い出しても、全く自分に落ち度がないのだが……彼女と出会わなければ、今も夜まで寝て入られた筈なのだろうと思いながら、彼女と出会った一ヶ月前の記憶を手繰り寄せる事にした。
それは、それぞれの家で代々ジョブが決められている事。
魔法使いの家に生まれれば魔法使いに、戦士になれば戦士に、武闘家なら武闘家の子供として、それぞれ血筋によって未来は決められている。
勿論、勇者の家系も論外ではなく血筋によって勇者となってしまう。
この世界は誕生した瞬間にジョブが決められてしまうのだ。
勿論、たった一つのジョブになる事はない、結婚の際など別にそこには縛る理はない。
武闘家が魔法使いと結婚しようと、戦士が僧侶と結婚しようと結ばれる事に関しては決まりはないのだ。
よって、その二つの職業を親に持つ子であれば、そのどちらかを選べられるのだ。
だが、それは祖父母までには関係せず、例え祖母が元賢者で、祖父は鍛冶師だったとしたならば、その子供は鍛冶師を選び、そしてその子供が戦士と結婚すれば、その子供は父と母の才能しか得られない。
祖母が賢者だったとしても、孫には賢者の才能は無く鍛冶師と戦士の才しかないのだ。
それが当たり前の世界にて、たった1人の幼い少年はその理を深く絶望と理不尽に突き落とされる夢を見ていた。
「ぼく、おおきくなったらゆうしゃのなかまになるか、えいゆうになりたい!」
当時5歳だった少年は、強く夢を見ていた。
父と母の職業が純血の統一家で、将来は決められたレールを敷かれそこを歩く中で、そんな大きな夢を見ていた。
その少年ヴァイス・リンスリード、明るい赤髪が特徴的に髪色のように明るく元気な子供だった。
その翌年までは………。
6歳になったヴァイス・リンスリードは、学校へと通う事になった。
学校で習う世界の理、図書館に行けば英雄譚の物語が書かれた本を読み、勇者の伝記を読み、彼は徐々に気付いてしまったのだ。
英雄にも勇者にも、その仲間達の中には数多の職業達が活躍するも、一つだけが抜けている事を発見してしまった。
彼の親は代々"シーフ"系統が多く、両親は2人揃って盗賊だった。
シーフ系統とは、海賊、盗賊、山賊等を総まとめにした事を指す。
勇者の仲間にも、英雄やその仲間にもシーフ系統は歴史上存在しないのだ。
……そして、彼は7歳で明るい髪色とは相対して性格が根暗となってしまった。
代々盗賊の家系、そう生まれた瞬間から英雄にも勇者にもなれる事もなく、勿論それに連なる仲間にも加わることも無い盗賊として生きる事になった。
既に学校入学時には強く夢を言い回ったが、二年生になった頃にはそんな世迷言は言わなくなっていた。
冒険者学校、6歳から14歳まで自身の職業の選別、これは両親が別々の職業であればだが、その他には冒険者としての義務教育、そこから各職業の組合に加入と自身の初期ステータスの成長、そしてスキル習得を行なって卒業し、未知なる大地や街々周り強モンスターを倒し名声を手に入れたり等ワクワクして学校から社会に飛び出すのだ。
だが、俺は夢を捨てたのだ……。
夢を見て、名声を手に入れる等、強モンスターを倒すだの、王都に行き騎士になるだの、そんな物を全てくだらない事だと一蹴した。
ヴァイス・リンスリードはそこからすぐにやる気を失い、成績過程を最低限で過ごしたが盗賊組合には非加入で卒業し、冒険者として生活する事を選んだ。
盗賊組合は正直良い話は聞かないのが理由であり、少なからず抱き続けた幻想の意地でもあった。
盗賊は盗賊、産まれたからにはそれ以外にはなれない、ヴァイスはそれを深く痛感した学校生活だった、10年が経ち14歳での卒業を前にして、既に彼はその盗賊ライフを余生として送る事にしたのだ。
卒業した彼は故郷を離れ、クロムと呼ばれる大きな街に住む事にした。
適当に、気が向いたらギルドでクエストを受け、小さな稼ぎで食い繋いでいた。
ヴァイスは適当に生き、そして死ぬ事を目標に根暗なまま冒険者稼業を一年過ごした。
15歳となった彼は、いつしか怠惰の塊となりそれをモットーに生きる事を無意識に選んでいた。
そして、勇者の仲間にも、英雄になるという少年の頃の夢は忘れ去り、そんな楽天的で面倒事を嫌うヴァイス・リンスリードが生まれてしまった。
彼は起きたい時に起き、そしてたまに大きなクエストを行いまとまったお金を手にしたら、それが無くなるまで部屋に極力引きこもり、本を読みふけりながら過ごす。
そんな怠けた生活を過ごしていたある日の事。
ーーコンコン、と扉をノックされ目を覚ました。
カーテンの隙間から見ても太陽の位置は昼だと思いながら、彼はもぞもぞと寝返りをうつ。
コンッコンッ……今度は少し強めにノックをされる。
「うるさいな……誰もいませんよー」
寝ぼけた声で返事をしてみるが、そんな小声では届く事もなく。
ゴッ!ゴッ!と段々と強くなるノックに、遂には扉が壊されると思いながらようやく重たい身体を起き上がらせた。
扉の向こうにいるであろう人物が、彼にはとっても憂鬱で…まだ2回しか会っていないのだが、とてつもなくヴァイスにとっては苦手だと思わせた。
想像つく人物だろうと、ため息を吐きながら簡易なベッドから起き上がる。
部屋を見渡しながら隠れられる所があるか、そんな事も考えてみるが、ヴァイスの部屋は質素で服は数着壁に掛けてあるだけでタンスすらない。
他にあるとしたら無数にある本をぎっしり詰め込んだ棚のみだった。
「今度隠れられるタンスでも買うか」
本以外の物欲が久しぶりに沸いた思いで部屋の入口の扉に向かう。
そんな事を来客者は知らずに、今度は出るまでノックをする様子でずっとドンドンドンドンと叩き続けている。
「寝てたんだ、何の用だ」
扉を開けて目の前の人物を恨めしそうに見る。
革製の可愛らしいブーツに、動きやすそうなショートパンツ、腰元には短剣を装備し、上もヘソが見えさっぱりとした丈の短いシャツにジャケット。
髪型はとても動きやすそうに肩に届かない程のショートカットで陽に当たれば青く輝く白銀の髪色、見るからに男性に人気な顔立ちであるが、勿体無い程の怒っている目つきでヴァイスを睨んでいる。
怒ってなければ可愛らしいのだが、今は怒る理由がありそんな表情をしている。
ー理由は明白であり、ヴァイス自身も覚えがあるから強くは言えない。
静かな口調で呆けながら目の前の女の子に言うと、彼女は更に怒った表情で口を開く。
「ねえ、もうお昼なんですけど!」
知っている、カーテンの隙間から射す光の位置で大体は時間が把握できる。
だが、あえて理由に触れずに、更に呆けながらヴァイスは言った。
「そう、なのか……」
寝過ぎてしまった、そんな態度を取りながら寝癖のついた赤髪を掻く。
「用意するから待っててくれないか?」
「早くね!」
わかったと返事をする前に扉を閉める。
顔を洗い、目が冴えてくるのを待ちながら壁に掛けられた黒のシャツを着て更に革製の黒ジャケットを羽織ると、七分袖になる様に捲り白のズボンを履き革製のロングブーツを履いたら準備万端だ。
最後に本棚に引っ掛けた短剣を二本重なる様に腰の後ろにベルトで結び部屋を出た。
「遅い!」
一応これでも最速なんだが、と思いながら一言謝っておく。
「ほんと信じられない!」
ほんとに信じられないとヴァイス自身も思いながらも口にはしない。
言った後にめんどくさい事しか想像付かないから黙っておく事にする。
仕事を仲介してくれる冒険者ギルドの元に向かいながら、何故自分はこんな女の子と出会ってしまったのか思い出して見る。
思い出しても、全く自分に落ち度がないのだが……彼女と出会わなければ、今も夜まで寝て入られた筈なのだろうと思いながら、彼女と出会った一ヶ月前の記憶を手繰り寄せる事にした。
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