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しおりを挟む今朝の空気は、キーンと澄んでいて頭がすっきりしてくる。
クリスマス以来、雪は降っていないので、それがすごく残念だ。
雪だるまを作ろうと、楽しみに待っているのに……
それと、雪合戦…だったかな? ぜひ、やってみたいけど、天気予報は晴れだったな。
『今日は、出掛けるのか?』
「いいや、ツヨシはバイトだし、出るのもめんどくさいから…ダラダラするかな」
『することないなら、掃除でもしろよ!』
「まだ、平気だろ。今日は、何もする気がおきない」
『だったら、明日は絶対、掃除しろよ。約束だぞ』
「はいはい、了解」
『それと… オレと話すときは、声に出すな』
魔法の国では、相棒とテレパシーで会話するから、言葉はいらないんだけど…
ついつい、学校で話すみたいに、声に出ちゃう時があるんだよ。
『わかってると思うけど、普段から気をつけないとヤバイから』
どの口が言うかね。
たこ焼を目の前にすると、周りなんか気にせず、食ってるくせに!
お前の方がよっぽど気をつけないと、いつかバレるぞ。
『それは、悪いと思ってる。あのニオイには、誰だって勝てないだろ』
俺だって好きなんだから、気持ちはわかるけど……
でもな、お前の存在がバレたら、魔法の国に帰らなきゃならないんだぞ!?
『ホントに反省してます。今後は、もっと気をつけます』
わかればよろしい。
思えばこの一年、あっという間に過ぎようとしている。
来たばかりのころは、見るもの、聞くものが新鮮で、人の多さにビックリし、車の便利さに納得したものの…
森の緑の少なさや、淀んだ空気にショックを受け……
魔法を使えないことが、もどかしく感じたこともあった。
もちろん、まりあ先輩という、好きな人もできたし、おいしい食い物も色々と見付けることが出来て…
楽しく過ごすことが出来たと思う。
ただ、何回か、茶々丸の存在に気づかれそうになり、ヒヤッとしたけど…
まあ、なんとか無事に、バレずにすんで、ホッとしている。
正月に会った、みおちゃんも受験に合格したらしいし、また、にぎやかになりそうで、今から楽しみだ。
そうだ!
みおちゃんに、あの時のこと、誰にも言わないように、口止めしないと…
そういえば、アマネにギターを教えてもらう話、どうなったかな?
自分ひとりだと、なかなか、上手く出来なくて… イライラするんだよな。
この際、教え下手のツヨシに頼んでみようかなぁ?
ひとりでやるよりは、マシ… だよな。
『明日、たこ焼買ってきてくれ』
何、言ってんだよ。
明日は、掃除しろって言ったのは、お前だろ!
買い物には行きません。
残念ながら……
『そうだったぁ~』
魔法のない生活に慣れすぎて……いや、もともと使えなかったんだから、今とあまり変わらないけど、ひょっとして俺…
生まれる国を間違えた!?
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それほど、日本の生活がしっくりくるんだよなぁ~。
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