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7. 怜、果たして彼女は本当に自分を好きなのか?
怜、果たして彼女は本当に自分を好きなのか? ⑨ 【R18】
しおりを挟む奪い尽くす様なキスで口腔を蹂躙され、混ざり合った唾液を喉の奥に注がれる。息が詰まりそうになりながら飲み拉き、胸の頂を攻められ、花芯を攻めつつ熱杭が淫壁を搔き乱し、梓は喘ぎ悶える。
幾度も吐き出された情欲と、枯れることなく湧き出る淫液が混ざり合い、泡立って卑猥な音を響かせながら二人の肌を伝ってシーツを汚す。
何度も果て、意識を放棄しようとする梓を強制的に覚醒させ、快楽は拷問以外の何ものでもなくなっていた。
苦しいのに身体が悦んで震える。
もう四肢に力が入らないと何度も思ったのに、絶頂に達する度爪先がピンと張り詰め、背中は弓反りに撓り、白い喉笛を噛み切れとばかりに曝け出す。喘ぎ悶え、口端からだらしなく涎を垂らし、生理的な涙が流れ出る。
いっそ狂わせてくれたなら、どれ程楽だろう。
獰猛な行為の間も怜は愛を囁き、呪文のように『渡さない』と繰り返す。
愛しているの一言さえ返すことのできない自分の何処に、執着する要素があると言うのだろう。
翔との穏やかな関係を壊してまで、兄より秀でた所があるとは思えない。もし一つあるとしたら、子供を残せるくらいだ。
怜が己を突き刺したまま梓を俯せにし、腰を高く持ち上げて打ち付け、ぽたぽたと滴り落ちてくる汗が、丘陵を滑るように流れ落ちて行く。
散々啼かされ、梓の声は嗄れ果てて、空気ばかりが喉をスカスカと震わせ、早くこの行為が終わらないかと願っているのに、時折怜から漏れ出る呻きが嗚咽のように聞こえてしまって、酷い仕打ちを受けているのは梓なのに胸が痛む。
そんな風に彼を追いつめているのは自分だ。
憎らしいはずなのに、憎み切れない。
抽送が徐々にスピードを上げ、激しさを増す。
「あずさ……お願いだから……くぅ………ッ!」
グッと奥を刺すように押し上げられ、膣内で雄がビクンビクンと欲を吐き出し、子宮が白濁に塗れた。
怜が梓の腰に抱き着くようにしな垂れかかって、肌を擽る熱い吐息からまだ快楽を拾おうとする淫乱な身体に、朦朧としながら自分でも退く。
「僕を捨てないで」
反った背中に額を擦り付け呟いた。
「梓の良い所も悪い所も全てが愛しい。梓が離れて行ったら、きっと僕は梓を壊してでも繋ぎ止める。そんな悲しいこと、させないで。お願いだから」
獣の嗚咽が脊椎を伝って、脳幹を痺れさせる。
彼の必死な願いも悦楽に変えてしまう爛れ切った欲望。
そんな自分に嫌気が差し、自嘲の笑みを浮かべながら梓の意識が深い闇に落ちて行った。
金曜の晩からもう何度、欲を吐き出されたのだろう。
時間の経過が麻痺してしまうほど愛され、梓は殆どをベッドの上で過ごしていた。
自力で立つことも出来ない。
風呂も食事も排泄も、怜の手を借りなければ儘ならないなんて、梓には屈辱的な事でも彼には至上の悦びのようだ。
怜の目を盗んで逃げだそうと思っても、これではどうにも出来ない。
(逃げ出したりしたら、きっともっと酷い目に遭わされそうだけど)
想像しただけで怖気が走る。
金曜の晩から土曜は丸一日と言っていいくらい抱き潰され、日曜の午後になって漸くまったりとした時間を過ごしていた。
どこもかしこも痛いし怠い。
梓が本気で泣き出し、自力で逃げ出すことが無理になって、彼はやっと冷静になったようだ。
まだ心の片隅で昏いモノを揺らめかせているようだが、表面上はいつもの優しい怜に戻っている。
梓を腕枕し、下腹を撫で擦りながら「今度は妊娠したかな?」と梓が大好きな麗しい微笑みを浮かべる。
「あたしを繋ぎ止めるために、子供が欲しいの?」
以前から疑問に思っていたことを訊いてみた。
怜は一瞬何を聞かれたのか解らないと言った風にきょとんとし、「まさか!」と慌てて否定する。
「アズちゃんにそっくりな女の子が欲しい。きっとメチャクチャ可愛いよ」
「男の子じゃなくて良いんだ?」
梓は眼を瞬いて怜を見た。
姉妹に翻弄されてきた怜のことだから、てっきり男の子が欲しいと思っていたので意外だ。
「う~ん。アズちゃん似だったらどっちでもいいけど、希望は女の子」
怜はほわほわした笑みを浮かべる。
子供が手段ではなくて、梓は内心胸を撫で下ろした。すると怜は「けどさ」と彼女を抱き寄せて額にキスし、「翔に横取りされそうで怖い」と冗談抜きで心配している風情が梓を唖然とさせる。
でも確かに、と翔が赤ん坊を抱っこし、怜に触らせない姿が容易に想像され、梓はぷっと吹き出した。
「なに。何か嫌な想像したでしょ?」
「や、別に」
むくれる怜からあからさまに目を逸らすと、「また啼かすよ?」ととんでもない脅しを掛けてくる。梓が顔を引き攣らせると、彼はクスクス笑う。
どちらかに問題がなければ、今度こそ妊娠するかもしれない。
前回は、一人で何とかしなければならなくて、産む産まないは別に腹を括るのも早かった。
次は産む選択肢のみ。
三人の関係性が変わる前は、一生子供の声が家に響くことはなのだろうと、どこか排他的なことを考えていた。それでもいいと思っていた。
翔は間違いなく、怜と梓の子供を可愛がってくれる。
生涯血を分けた自分の子供を持つことがないだろう兄に、血の繋がった子供を抱かせてあげられる。そう思えば妊娠するのも悪くないかも知れない。
なのに後ろ暗さを感じてしまう。
怜よりも自分の方が、子供を手段として見ているような気がして。
こんな事を思ってしまうのは、自分の気持ちがフラフラしているせいだ。
(あたしが子供を産んでも良いのかな?)
梓がそんな後ろ向きな事を考えていると、突然唇を塞がれた。
目を白黒させている梓の唇を割って、怜の舌が侵入してくる。彼が口蓋を舐め、条件反射で梓は舌を差し出した。最初はくすぐったくて阻む心算で舌を出していたのに、そうすることで梓が舌を絡めてくることを知った怜が、合図として舐めてくるようになった。
もうしんどくて嫌だと思うのに、舌を絡めあう淫猥な水音にゾクゾクしてしまう。
(もお……やだぁ)
梓の心のボヤキを聞き取ったかのように、怜が鼻の奥で笑いを漏らした。梓が少し強めに舌に噛みつくと、彼は即座に舌を引き抜いて梓から離れた。
「なんで笑うの」
「だってアズちゃんが、どんどん僕使用の淫乱に育ってくれて嬉しいから」
「いっ……」
言葉に詰まって口をパクパクする。
「身体の相性はすこぶる良いし、僕じゃないと満足できないくらい淫乱にしないと、安心できないじゃない」
真顔で本音を吐露し、にこりと笑って軽いキスを落としてくる。
「五十時間耐久セックスにチャレンジする?」
何の冗談か訊き返そうとして、怜が極めて本気で言っているだろうと思い直す。
梓はくっと眉を寄せ、目頭を揉んだ。
ここは何としても阻止しなければならない。
「いや無理……てか既に何時間経過してるか分かってる?」
怜は枕元の目覚まし時計で時間を確認し、
「インターバルも含めて四十三時間。あと七時間だよ? イケそうじゃない?」
「無理でしょ! 怜くんどんだけ体力余ってるのッ!?」
「七十二時間って言わないだけ優しいと思うんだけど」
心底そう思っているらしい怜の面持ちに梓は戦慄し、セックスで殺される日も近いような気がしてくる。
「ごめん。あたし普通の体力しかないから。明日仕事あるから!」
「僕が一緒なんだから大丈夫」
「どんな大丈夫!? エッチし過ぎて足腰立たず、怜くんに抱っこされて出勤なんて羞恥プレイじゃない!!」
「今更でしょ。この間も姉御に『ご寵愛が過ぎるんじゃありません?』って軽く厭味言われたし、剛志初め他のスタッフも苦笑いしてたからね」
と得意そうに笑う。
(……そこは普通恥ずかしがるところだよね? つーか、みんなに憐憫の目で見られてたのは、そーゆ―ことなの!?)
恥ずかしくて軽く死ねる。
赤面を両手で覆い隠し、悶えている梓の手を退けると、怜が目を細めて顔を覗き込んでくる。
「で。先刻は何深刻な顔してたの?」
「深刻? そんな顔してた?」
思い当たらなくて首を傾げる。
「キスする前」
「キス……」
記憶を逆回転させ、辿り着いた思いに眉を顰める。正直に話すべきかと一瞬だけ躊躇して、嘘が下手な梓が誤魔化しても、すぐに看破されることは予想がついた。
産んでも良いのか考えたとは言えない。
子供を手段としか思えないままだったら、可愛いと思えなかったら?
「赤ちゃん、育てられるか不安になった」
“まだ妊娠してるかもどうかも解らない事で悩んだって仕方ない”
数か月前の自分が言った言葉が甦る。
あの時はどうしてあんなにきっぱり腹を括れたのか。
怜の手が優しく梓の髪を撫で、「大丈夫だよ」と額にキスを落とし微笑んだ。
「梓一人じゃないんだから。僕や翔もいる。翔なんて赤ちゃんだったアズちゃんの面倒を見て来た実績があるじゃない。優秀なベビーシッター確保してるんだから、そんな心配必要ないよ」
「ベビーシッター……先刻はお兄ちゃんに取られるって心配してたくせに」
「それとこれは別。大丈夫だから。僕がメチャメチャ愛してあげるし」
「そして “梓二号” が出来るわけか」
「……それ何かのシャレ?」
怜に何を言われたのか暫らく理解できなくて、頭を捻っていて不意に恥ずかしくなった。昭和歌謡にそんなタイトルがありました。
単純に過保護の餌食って意味だったのに、恥ずかしい。
布団をすっぽり頭まで被り、奇声を上げていると「可愛いなあ」と怜がまたもぞもぞ不穏な動きを始め、逃げるに逃げられない梓はまた、美味しく頂かれることになる。
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