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13. The love is instinct
The love is instinct ⑦
しおりを挟むBEAT BEASTの控室は、人口密度が凄い事になっている。
A・Dの四人に加え、当然マネージャーの筒井と美空、萌、淳弥たち三人と各々のマネージャー三人。合計十三人と飽和状態になっていた。
ドレッサーでカメラの点検をする美空を十玖が抱っこしているのは言うまでもなく、晴日も萌を抱っこして、更衣室の端に座り込んでいる。マネージャーの四人が腰かける事はしないが、淳弥たちに席を譲ったため、こんな事になっている。
オーナーの田所に頼めば、パイプ椅子ぐらい持って来て貰えるのだが、抱っこする理由をむざむざ放棄する二人ではないのを知っているので、筒井も敢えて借りてこようとはしない。
淳弥たちはともかく、彼らのマネージャーまで来たのには、当然訳があった。
映画の前宣伝を兼ねて、サプライズで淳弥たちがライヴに参加すると言うものだ。筒井からはそれとなく聞いてはいたのだが、淳弥たちが演じるバンドの目標でありライバルであるバンドとして、映画に出演することが決定し、その発表も兼ねていることをさっき聞いて、十玖がかなりナーバスになっていた。
「十玖。作業し辛いんだけど?」
「聞こえない」
「なに子供みたいなこと言ってんの?」
ぎっちり腕を回し、美空の肩に顔を埋めている。時々、悪戯で首筋にキスをされるので、美空はやり辛い事この上ないわけだ。
人目も憚らず、彼女にべったりな十玖と晴日をチラチラと見る三人のマネージャー。公認とは言え気になるようだ。
「淳ちゃん晴さんにシメられたんだって? 萌のことバカにするからだよ」
「萌うるさいからっ。ハルさんも何で言っちゃいますかねえ」
「萌には隠し事をしないと約束したからな」
「それって自業自得なんじゃ?」
「まだやるか?」
「いえ。それは遠慮しときます」
大袈裟に首を振って嫌がる淳弥に、マネージャーが何があったのか訊ねたが、淳弥は苦虫を噛み潰した顔をして答えなかった。
「どれ。そろそろ行くよ」
謙人が立ち上がると、三人も立ち上がった。
左隣の右手首を掴んで円陣を組み、謙人がいつもの合言葉を言う。
「よろしいか? よろしいか? では。One for all, All for one. 今日も張り切って暴れましょう。そーれッ」
「だりゃ――――ッ!」
四人の気合入れに、初めて立ち会った六人が肝を抜かしているのを見、謙人は失笑しつつ口を開く。
「じゃあ出ますんで、三人は袖で待機してて下さいねえ。筒井マネあと宜しく。クーちゃん。格好良く撮ってね」
「もちろんですとも」
サムアップして答えながら、四人と一緒に美空も出て行く。萌は残された面子を見て、慌てて美空の名を呼びながら追い駆けた。
マネージャーたちと打ち合わせが終わって、時間が出来た淳弥がふとさっきの十玖を思い出した。
「十玖は映画の話、嫌そうでしたね」
当然と言えば当然の反応に、淳弥が苦笑しながら筒井に言った。
「あの子、人見知りだからねえ」
「口下手だし…? 絡みはないんですよね?」
後半は自分のマネージャーに言ったものだ。
「今のところは予定にないけど」
淳弥は肩を竦め、嘆息する。
「人に見られるの嫌いなくせに、因果な仕事を選んだんだから、いい加減腹括ればいいのに。そう思いません? 筒井さん」
「ははっ。そうね。でも普通に笑えるようになっただけ進歩したのよ? 最初はほんと無表情で、ジャケット撮影が遅れて遅れて」
「せっちゃんとモデルやること事態、奇跡に近いんですけどね。せっちゃんとツーショットしといて僕とは共演嫌がるとか、依怙贔屓だと思いません?」
本気で不満そうな淳弥に、筒井は苦笑した。
「ほんとトークが好きなのねぇ」
「ちっちゃい頃はずっと一緒でしたから。それこそ萌と十玖を取り合ってケンカしてましたよ」
「萌ちゃんもトーク、ラヴだからね」
「そこわっかんないんですよねぇ。十玖のことで張り合うくせに、ハルさんと付き合ってるんですよね?」
「萌ちゃん曰く、トークは別枠で永遠の一番らしいわよ。ハルは彼氏として一番らしいけど。ハルとは別れる事があっても、トークとは永遠に別れられないとも言ってたわね。まあ従兄妹だから、そう言われればそうなんだけど」
「僕が言うのも何ですが、三嶋の人間て、愛着持ってるものにホント粘着質だから」
「…淳弥くんと十玖、話し方が似てるわねぇ」
そう言いながら、筒井は時計を確認する。淳弥もつられて壁掛け時計を見た。
「みんなにも言われました。生まれも四日しか違わないし、言葉の基礎が一緒だからですかね…時間ですか?」
「はい。そろそろ移動をお願いしますね」
「「「了解です」」」
淳弥たち三人は一斉に答えた。
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