【R18】不器用な僕たちの恋愛事情

優奎 日伽 (うけい にちか)

文字の大きさ
103 / 167
14. A・Dの夏休み 【R18】

A・Dの夏休み ⑭

しおりを挟む

 二日目は、十一時に謙人が迎えに来て、別荘でバーべキューになった。
 残念なことに、竜助と麻美、クワトロの四人は一足先に帰って行ってしまったが。
 食後にプライベートビーチで、ナンパもSNSも気にせず遊びまくった。

 謙人に招待されなければ、今日もTシャツを着て泳がなければならないと思っていた美空のはしゃぎ様はなかった。
 十玖も昨日堪能できなかった美空の水着姿に、満足したらしい。

 心配の種であった萌父 佳貴の電話攻撃は、次々写メすることで先手を打って躱した。
 美空と佐保が一緒と言うだけで、佳貴は安心しているようだ。
 佐保のたらし込み効果が未だ有効らしい。

 疲れ切っている女子たちが、頭を並べて居眠りをしている間に、野郎三人が仕事を淡々とこなしていたが、お疲れなのは何も女子だけではなかったらしい。

 男三人が殺人現場の死体のように転がって爆睡しているところを、女子が現場さながらに脚色してA・D公式サイトにUPすると、速攻、筒井と竜助から爆笑コメントが送られてきた。
 発案者の美空は、ケチャップ塗まみれになっていた晴日に後で思い切り怒られたが、負けじと頭からケチャップを垂らして茫然としている写真をアップして、筒井に褒められたからチャラだろう。

 全員で夕飯の準備をしていると、十玖の包丁さばきに女子の感嘆の声が上がる。

「トーク。何でそんなに上手い訳?」

 手元を覗き込んでくる佐保。

「小学生の時から合宿とかキャンプでやってたんで。消防に入ったら、食事当番あるって聞いてたし」
「嫌味なくらい使える奴だな」
「掃除も料理も得意で子供好きって、お買い得物件手に入れたね。クーちゃん」

 包丁要らずの下ごしらえ担当二人が言うと、美空が大きく頷いた。

「うん。あたしもそう思う」
「本当に!? 本当にそう思う?」
「思ってるよぉ。手際が良いし、十玖に任せたら安心だね」

 にっこり美空が微笑むと、十玖は一層きびきび働きだした。

「クーちゃんて、トークの扱いが上手いわよね」

 佐保がぽそりと呟くと、美空がピースする。

「扱いってより、手玉に取ってるって感じ」

 玉ねぎの皮をペリペリ剥く謙人が訂正し、萌が腕を組んで十玖を見、ため息をついてポロリと零す。

「逃がした魚はデカかったなあ」
「も…萌ッ!?」
「ん…大丈夫。晴さんもちゃんと好きだから」
「はあ? …俺にも包丁貸せ」
「無理! さっきのが洒落じゃなくなっちゃうよ、お兄ちゃん。本物の流血は避けようよ」
「そうだよ晴さん。ギタリストが指ケガしたら大変だよ!」
「いいから!」

 美空に向かって手を出す晴日。彼女は後ろに隠して首を振った。
 萌が晴日にしがみ付く。

「萌はズボラで使えない晴さん好きだから!」

 しーんとする。
 一身に注目を集め、萌は「あれ?」と首を傾げた。

「ズボラで使えないって、言い切った」
「言い切ったね」

 玉ねぎを終了し、今度はピーラーで人参を剥き始めた謙人に肯定され、晴日はふらふらとキッチンを出て行ってしまう。萌は慌てて追いかけた。

 凹んだ晴日が復活するまで暫くかかったが、その間に滞りなく支度が済み、食べる頃にはすっかり機嫌も直っていた。
 男子がガツガツ食べるのを眺めながら、気落ちした美空が呟く。

「明日、帰るのかあ」

 コンソメスープを啜り、深いため息。
 途端女子たちが全員手を止めて俯き、ため息をついた。
 明後日の午後からツアーに出たら、しばらく帰って来られない。

「明日も時間一杯まで楽しもう」

 消沈する美空の頭を撫で、十玖は「ねっ?」と顔を覗き込んだ。
 佐保や萌も慰められていた。
 折角の休日を落ち込んで過ごすのは止めようと、晴日が場を盛り上げ、二十一時にはお開きになって、十玖たち四人は謙人の車でホテルに戻った。

 翌日の午前中はゆっくりし、車で来ていた謙人たちが一足先に帰って行き、十玖たち四人は昼食後に観光施設を訪れ、その足で名残惜しそうに帰路についた。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

身体の繋がりしかない関係

詩織
恋愛
会社の飲み会の帰り、たまたま同じ帰りが方向だった3つ年下の後輩。 その後勢いで身体の関係になった。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

処理中です...