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1・サンショウとハーブティー
サンショウとハーブティー・10
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午前中のうちに打ち合わせを二件すませ、昼食を十分で取り、猛然と仕事を片づけると秀治は、「保育園の迎えがあるので」と同僚達に頭を下げて仕事場を後にした。
お迎えの時は、中の教室まで入らなければならない。ホールで遊んでいた莉々子は、すぐに秀治の姿を見つけてうれしそうに飛びつくと、帰り支度を始めた。
連絡用のホワイトボードを確認して、来週のお弁当の日用の持ち物リストを、スマホのカメラで撮影する。手持ちぶさたに莉々子が仕度を終えるのを待っていると、保育士が近づいてきた。
「莉々子ちゃんのお父さんですよね」
「あ、はい」
「莉々子ちゃんの担任の工藤です」
「あ、いつもお世話になってます」
保育園の中に入ったことすらほとんどなかった秀治は、担任の先生の顔も知らなかった。
「あの、最近朝はお父さんが送ってきて、帰りはおじさん……ですよね? お母さんの姿見かけませんけど、何かありましたか?」
「え、えっと……ですね」
母親が行方不明という真実を語ったら、いろいろ問題が出て来そうだった。保育園で噂が広まったりして、莉々子が他の子から何か言われるのも避けたいところだ。
「実は、妻はちょっと体調を崩してまして……しばらく一人で実家に行くことになったんです」
「まあ。連絡帳で教えてくださればよかったのに」
「ああ、そうですね。すみません。こっちもばたばたしてたもので」
「家のこととか、莉々子ちゃんのお世話とか、お父さん一人で大丈夫ですか?」
「それが、大丈夫じゃなくてですね。お迎えに来るのもなかなか難しいもので、今は伯父……すみません。実はあれは莉々子の伯父ではなくて、俺の伯父なんですよ。莉々子にとっては、大伯父ですね、の家で世話になってるんです」
「オオオジ!?」
いつの間に来ていたのか、そばで話を聞いていた莉々子がおかしそうに声を上げた。
「それ、おっきい王子様?」
「いや、有麻のことだよ」
「まりあ君は、王子様?」
否定するのも面倒になって、「そうだよ」とうなずいた。莉々子の言葉がおかしかったのか、先生も「やだ、莉々子ちゃんったら」と笑っている。
「じゃあ、今住んでいるところの住所と、固定電話があったら電話番号を、連絡帳に書いておいてもらえますか」
「わかりました。では」
「先生さようなら」
「さようなら」
莉々子のおかげで話が深刻にならずにすんだようだ。雪乃のことを保育園に話すべきかどうか迷っていたから、ちょうどいい機会だった。
いったん御園生の家に戻り、車と荷物を置いて柴田家へと向かう。家に有麻の姿はなかったので、先に行っているのだろう。
柴田家に到着すると、有麻が庭の木をしげしげと観察しているところだった。
「この木だろう? 莉々ちゃん」
「うん、それ」
マメ科の植物特有の規則正しく並んだ葉。夢に出て来たのも、確かにこの葉だった。
「柴田さん、これ一枚頂きますよ」
柴田さんは少し離れた場所で草むしりをしていた。無言でうなずいたのを見てとって、有麻はサンショウの木から葉を一枚摘む。手の平で葉をパンと叩くと、その手を秀治の顔の前に持って来た。
「ほら、春の匂いだ」
爽やかな木の芽の香りが、鼻腔をかすめていく。莉々子も匂いを嗅いで「この匂い」と微笑んでいる。確かに夢の中で嗅いだ匂いだった。
「でも、夢の中ではこの匂いの他にも、独特な匂いがしてたんだけど」
「どんな?」
「みかんが腐ったみたいな?」
思わずというように、有麻が笑みを漏らす。その時「こんにちは」と声が響いた。
振り向くと、桜色のスカートを履いた小百合さんが小首を傾げていた。
「お呼び立てしてすみません。お一人ですか?」
「いえ……」
有麻の問いに、小百合さんは困ったように眉を下げ、首を捻って体の後ろを見るようにした。
桜色のフレアースカートに隠れて見えなかったのだが、小百合さんの足にすがりついている子供がいる。秀治が覗きこむと、足から手を離さないまま回りこんでいってしまう。ただ回りこんだ先は小百合さんの正面で、有麻達の前に姿を晒すことになった。子供はそのことに気がつくと、スカートに顔を埋めるようにする。
「すみません。恥ずかしがりやなもので。慣れると大丈夫になるんですけど」
「お名前は?」
秀治が尋ねると、スカートに顔を押しつけたままの答えがあった。くぐもっていて、聞き取れない。
「レオンです」
代わりに小百合さんが応えると、レオンはちらっと秀治に顔を向けてくれた。ヘーゼルナッツ色の髪と瞳の男の子だった。頬がバラ色に染まっているのは、恥ずかしいからだろうか。
地面を踏みしめる足音がして、そちらを向くと柴田さんが歩いて来るところだった。小百合さんにしがみつく子供を見て、目を見開いている。
また辛辣な言葉が飛び出して来るのじゃないかと、秀治は思わず身がまえた。この子に、ひどい言葉は聞かせたくない。
「お父さん」
小百合さんが、レオンを抱き上げて柴田さんのほうを向かせる。
「息子の、レオンです」
柴田さんは、何も言わなかった。それでも目線はレオンから逸らさず、わずかにでも自分に似ているところを探しているようでもあった。
親子は何も言わず、レオンはまた服に顔を埋め、気まずい沈黙が庭を支配した。その固まった空気を動かしたのは、有麻だった。
「柴田さん、このサンショウの木、植えて何年になるんでしたっけ?」
この場面で聞くことかと思ったのは、秀治だけではなかったようだ。柴田さんも顔をしかめ、それでも律儀に指を折って数え始めた。
「確か……六年目くらいか」
「植えたのは七月でしたね。柴田さんに頼まれて、僕が苗木を探してきたんです」
「ああ、そのとおりだ」
「小百合さん、六年前の七月。何か、大きな出来事がありませんでしたか?」
小百合さんは突然話を振られたことに目をしばたたきながらも、レオンの頭を撫でながら答えた。
「この子が、レオンが生まれました」
「ああ、やっぱり。息子さんの年齢を聞いた時、この木を植えたことを思い出したんです。このサンショウの木は、お孫さんの誕生記念に植えたんですよね?」
にこやかに話す有麻とは対称的に、柴田さんは苦々しそうにますます眉間のシワを深くした。
「たまたまだ。そんなの」
「でも僕は、不思議に思ってたんです。奥様が亡くなられた後で、サンショウの木を植えたことを。柴田さんはハーブティーには詳しくても、そんなに料理は得意ではないですよね? 失礼ながら、木の芽を料理に添えたり、サンショウの実を乾燥させて粉にしたり、料理のために手のこんだことをするようには思えなかったんですよ」
「確かに失礼な言い草だな」
むすっとしたまま言い返す柴田さんに、ひょうひょうと有麻は続けた。
「小百合さんの息子さんが男の子だと聞いて、やっと腑に落ちたんです。だから、サンショウの木を植えたんだって」
「どうして、そう思われたんですか?」
問いかける小百合さんに笑みだけを返して、有麻はレオンの顔を覗きこんだ。
「レオン君、日本語はわかる?」
かすかにうなずいたレオンに、有麻は続けた。
「レオン君、セミの抜け殻好きなんだよね。虫は好き?」
「好き。セミもトンボも」
「そうか。じゃあ、芋虫も好き?」
「イモムシ?」
芋虫という言葉を知らなかったのか、レオンは母親の顔を見上げた。小百合さんが「キャタピラー」と教えると、嬉しそうに「キャタピラー! イエス」と声を上げた。
「よかった。芋虫好きなんだね。じゃあ、ちょっとこっちに来てごらん。莉々ちゃんは、芋虫平気?」
「見るだけなら平気」
レオンは恐る恐るというように母親の元を離れて、有麻に連れられてサンショウの木に近づいていく。莉々子もその後ろに続いた。
「ほら、ここ。見える?」
サンショウの枝先を有麻が指さすと、子供達の甲高い声が庭に響いた。レオンが上げたのは歓声で、莉々子が上げたのは悲鳴だ。
「どうした」
慌てて莉々子の元に駆け寄ると、莉々子は秀治にしがみついてきた。
「昨日の、こわいの」
顔だけを上向けて有麻の指さすサンショウの枝先を見ると、葉の上で何かが蠢いた気がした。そこに視点を合わせると、緑の葉の中から、点線で囲われたようにその姿が浮かび上がってくる。
葉と同じ保護色のために、そこにいると言われなければ秀治には見つけられなかっただろう。
そこにいたのは芋虫だった。緑色でところどころに白と茶色の模様があり、そして特徴的な黒い目玉。その大きな目に睨みつけられたような気がして、昨夜の恐怖が蘇ってきた。
「うわあぁぁ!」
思わず悲鳴を上げると、傍らにいたレオンに笑われた。
「イモムシがこわいの?」
いや、そうじゃなくて、昨夜これに恐ろしい目に遭わされたんだ。
そう説明したいのを、秀治はぐっとこらえた。その結果、いい年をして芋虫にびびっている腰の引けた自分の姿を受け入れるしかなくなる。
お迎えの時は、中の教室まで入らなければならない。ホールで遊んでいた莉々子は、すぐに秀治の姿を見つけてうれしそうに飛びつくと、帰り支度を始めた。
連絡用のホワイトボードを確認して、来週のお弁当の日用の持ち物リストを、スマホのカメラで撮影する。手持ちぶさたに莉々子が仕度を終えるのを待っていると、保育士が近づいてきた。
「莉々子ちゃんのお父さんですよね」
「あ、はい」
「莉々子ちゃんの担任の工藤です」
「あ、いつもお世話になってます」
保育園の中に入ったことすらほとんどなかった秀治は、担任の先生の顔も知らなかった。
「あの、最近朝はお父さんが送ってきて、帰りはおじさん……ですよね? お母さんの姿見かけませんけど、何かありましたか?」
「え、えっと……ですね」
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「実は、妻はちょっと体調を崩してまして……しばらく一人で実家に行くことになったんです」
「まあ。連絡帳で教えてくださればよかったのに」
「ああ、そうですね。すみません。こっちもばたばたしてたもので」
「家のこととか、莉々子ちゃんのお世話とか、お父さん一人で大丈夫ですか?」
「それが、大丈夫じゃなくてですね。お迎えに来るのもなかなか難しいもので、今は伯父……すみません。実はあれは莉々子の伯父ではなくて、俺の伯父なんですよ。莉々子にとっては、大伯父ですね、の家で世話になってるんです」
「オオオジ!?」
いつの間に来ていたのか、そばで話を聞いていた莉々子がおかしそうに声を上げた。
「それ、おっきい王子様?」
「いや、有麻のことだよ」
「まりあ君は、王子様?」
否定するのも面倒になって、「そうだよ」とうなずいた。莉々子の言葉がおかしかったのか、先生も「やだ、莉々子ちゃんったら」と笑っている。
「じゃあ、今住んでいるところの住所と、固定電話があったら電話番号を、連絡帳に書いておいてもらえますか」
「わかりました。では」
「先生さようなら」
「さようなら」
莉々子のおかげで話が深刻にならずにすんだようだ。雪乃のことを保育園に話すべきかどうか迷っていたから、ちょうどいい機会だった。
いったん御園生の家に戻り、車と荷物を置いて柴田家へと向かう。家に有麻の姿はなかったので、先に行っているのだろう。
柴田家に到着すると、有麻が庭の木をしげしげと観察しているところだった。
「この木だろう? 莉々ちゃん」
「うん、それ」
マメ科の植物特有の規則正しく並んだ葉。夢に出て来たのも、確かにこの葉だった。
「柴田さん、これ一枚頂きますよ」
柴田さんは少し離れた場所で草むしりをしていた。無言でうなずいたのを見てとって、有麻はサンショウの木から葉を一枚摘む。手の平で葉をパンと叩くと、その手を秀治の顔の前に持って来た。
「ほら、春の匂いだ」
爽やかな木の芽の香りが、鼻腔をかすめていく。莉々子も匂いを嗅いで「この匂い」と微笑んでいる。確かに夢の中で嗅いだ匂いだった。
「でも、夢の中ではこの匂いの他にも、独特な匂いがしてたんだけど」
「どんな?」
「みかんが腐ったみたいな?」
思わずというように、有麻が笑みを漏らす。その時「こんにちは」と声が響いた。
振り向くと、桜色のスカートを履いた小百合さんが小首を傾げていた。
「お呼び立てしてすみません。お一人ですか?」
「いえ……」
有麻の問いに、小百合さんは困ったように眉を下げ、首を捻って体の後ろを見るようにした。
桜色のフレアースカートに隠れて見えなかったのだが、小百合さんの足にすがりついている子供がいる。秀治が覗きこむと、足から手を離さないまま回りこんでいってしまう。ただ回りこんだ先は小百合さんの正面で、有麻達の前に姿を晒すことになった。子供はそのことに気がつくと、スカートに顔を埋めるようにする。
「すみません。恥ずかしがりやなもので。慣れると大丈夫になるんですけど」
「お名前は?」
秀治が尋ねると、スカートに顔を押しつけたままの答えがあった。くぐもっていて、聞き取れない。
「レオンです」
代わりに小百合さんが応えると、レオンはちらっと秀治に顔を向けてくれた。ヘーゼルナッツ色の髪と瞳の男の子だった。頬がバラ色に染まっているのは、恥ずかしいからだろうか。
地面を踏みしめる足音がして、そちらを向くと柴田さんが歩いて来るところだった。小百合さんにしがみつく子供を見て、目を見開いている。
また辛辣な言葉が飛び出して来るのじゃないかと、秀治は思わず身がまえた。この子に、ひどい言葉は聞かせたくない。
「お父さん」
小百合さんが、レオンを抱き上げて柴田さんのほうを向かせる。
「息子の、レオンです」
柴田さんは、何も言わなかった。それでも目線はレオンから逸らさず、わずかにでも自分に似ているところを探しているようでもあった。
親子は何も言わず、レオンはまた服に顔を埋め、気まずい沈黙が庭を支配した。その固まった空気を動かしたのは、有麻だった。
「柴田さん、このサンショウの木、植えて何年になるんでしたっけ?」
この場面で聞くことかと思ったのは、秀治だけではなかったようだ。柴田さんも顔をしかめ、それでも律儀に指を折って数え始めた。
「確か……六年目くらいか」
「植えたのは七月でしたね。柴田さんに頼まれて、僕が苗木を探してきたんです」
「ああ、そのとおりだ」
「小百合さん、六年前の七月。何か、大きな出来事がありませんでしたか?」
小百合さんは突然話を振られたことに目をしばたたきながらも、レオンの頭を撫でながら答えた。
「この子が、レオンが生まれました」
「ああ、やっぱり。息子さんの年齢を聞いた時、この木を植えたことを思い出したんです。このサンショウの木は、お孫さんの誕生記念に植えたんですよね?」
にこやかに話す有麻とは対称的に、柴田さんは苦々しそうにますます眉間のシワを深くした。
「たまたまだ。そんなの」
「でも僕は、不思議に思ってたんです。奥様が亡くなられた後で、サンショウの木を植えたことを。柴田さんはハーブティーには詳しくても、そんなに料理は得意ではないですよね? 失礼ながら、木の芽を料理に添えたり、サンショウの実を乾燥させて粉にしたり、料理のために手のこんだことをするようには思えなかったんですよ」
「確かに失礼な言い草だな」
むすっとしたまま言い返す柴田さんに、ひょうひょうと有麻は続けた。
「小百合さんの息子さんが男の子だと聞いて、やっと腑に落ちたんです。だから、サンショウの木を植えたんだって」
「どうして、そう思われたんですか?」
問いかける小百合さんに笑みだけを返して、有麻はレオンの顔を覗きこんだ。
「レオン君、日本語はわかる?」
かすかにうなずいたレオンに、有麻は続けた。
「レオン君、セミの抜け殻好きなんだよね。虫は好き?」
「好き。セミもトンボも」
「そうか。じゃあ、芋虫も好き?」
「イモムシ?」
芋虫という言葉を知らなかったのか、レオンは母親の顔を見上げた。小百合さんが「キャタピラー」と教えると、嬉しそうに「キャタピラー! イエス」と声を上げた。
「よかった。芋虫好きなんだね。じゃあ、ちょっとこっちに来てごらん。莉々ちゃんは、芋虫平気?」
「見るだけなら平気」
レオンは恐る恐るというように母親の元を離れて、有麻に連れられてサンショウの木に近づいていく。莉々子もその後ろに続いた。
「ほら、ここ。見える?」
サンショウの枝先を有麻が指さすと、子供達の甲高い声が庭に響いた。レオンが上げたのは歓声で、莉々子が上げたのは悲鳴だ。
「どうした」
慌てて莉々子の元に駆け寄ると、莉々子は秀治にしがみついてきた。
「昨日の、こわいの」
顔だけを上向けて有麻の指さすサンショウの枝先を見ると、葉の上で何かが蠢いた気がした。そこに視点を合わせると、緑の葉の中から、点線で囲われたようにその姿が浮かび上がってくる。
葉と同じ保護色のために、そこにいると言われなければ秀治には見つけられなかっただろう。
そこにいたのは芋虫だった。緑色でところどころに白と茶色の模様があり、そして特徴的な黒い目玉。その大きな目に睨みつけられたような気がして、昨夜の恐怖が蘇ってきた。
「うわあぁぁ!」
思わず悲鳴を上げると、傍らにいたレオンに笑われた。
「イモムシがこわいの?」
いや、そうじゃなくて、昨夜これに恐ろしい目に遭わされたんだ。
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