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第二章 王国編
第十八話 久々のシャバの空気
しおりを挟む見事七階を突破した俺たちは六階へと上り、脱出を目指す。
「マナ君、さっきのはどうやったんだい?」
「私も私も知りたい。」
「ベルも!」
ジャックを筆頭としみんながキラキラした目で俺を見つめる。
はあ…バトルジャンキーの相手はキツイなあ…。
アルゴーを見習ってくれ。
二児の父、きっと俺の気持ちを考えて静かにしてくれているのだろうなあ…。流石だ。
「うーむ…。しばらく考えていたがもしかするとそれがホシの言っていた例の''混合魔術''というヤツなのか?」
「混合魔術…!確か魔術同士を組み合わせるっていう…!」
「それ、超高等テクだよ。出来ないヤツ数えた方が早い。私も出来ないしね。どうやってやってるの?」
さっきの言葉、全部ウソです。
彼も立派は一員でした。
アルゴーのおかげで会話がヒートアップしてきたのでそろそろ説明をしなければならない頃合いだろう。
「みなさんの言う通り僕は混合魔術が使えます。さっきの糸は土+火+水を混ぜたもの。最後に使った魔法は火+雷を混ぜて放った技です。」
四人が、特にジャックとカーフェは目を見開いて輝く目で見てきた。
カーフェは見た目に反して子供っぽいのかな?
純粋にすごい、どうやってやるの?ってのが伝わってくる。
けどジャックはなあ…。
獲物を見るような目してるもんなあ…。
「マナ君…。キミは今まで出会ってきた中でどんな魔術師よりも偉大ですごい子だ…!ああ…一度手合わせしたい…今からでも…!!」
ハアハアするなよ''狂人''め。
「ジャックに同感だよ。君のような魔術師が無名な方がおかしい。私も多分千年近く生きてるけどできないね。でもたまあにそのような事をやってる連中を見かけたらから謎が解けた。」
ダウナーな彼女も珍しく褒めてくれてる。
千年の中でもたまあにって…やっぱ混合魔術ってすごいんだ…。鼻が高い。
でも千歳か…すごいな。
しかし日本人謙遜する人々。
ジャパンを舐めちゃいけない。
「いえいえ、みなさんのがお強いですよ。僕は初めて村出たガキですし。…それに。」
話しながら走ってたら六階層の看守室に着いたようだ。
「さあてじゃあ次は誰が行く?誰もいないならボクが行くけど?」
「いや、私が行くよ。めんどくさいから早めに終わらせたいってのと、マナのを見てやる気湧いたから。」
そう言ってカーフェはスッと前に出る。
純白の髪に真っ白なドレス。
エルフなだけあって耳は長く、美しい。
おまけにスラっとしていたとてもスタイルも良い。
まるで少しやる気のないエ○リアのようである。
「オーケー。それじゃ''死神''カーフェくん。よろしく頼むよ。」
それにしても''死神''か…。
すごい優しくて穏やかそうな人なのにどうしてそんな二つ名なんだろう。
一体どんな戦い方なんだ…?
俺たちが外でガサガサ話しているのに気づき看守たちが姿を現した。
「な…!?キサマらは…!!''狂人《リッパー》''に''野獣''…!それに''死神''まで…!!報告にないぞ…!?」
「おいおい、俺もいるんだがな。」
「き、キサマは''巨人''!?」
さっきまでの看守たちと違い、コイツは中々優秀そうだ。
相手の情報を知るのは大切。
下にいた愚か者どもはそれすらわからず突っ込んできて死んだ。
「弱い者いじめは好きじゃないんだけどなあ…。」
カーフェはため息をつき一言呟く。
すると彼女から黒色に染まった魔力が溢れ出す。
あれは…闇系魔術か…?
湧き上がる魔力は集まっていき、次第に形を作っていく。
なんと集まった魔力は漆黒の大鎌となりカーフェの手に収まった。
その鎌は…見ただけで分かる。ヤバい。
まるでカ○トの能力のような根源的恐怖…。
兵士たちが怯え始めるのを気にもせずカーフェは鎌を一振りする。
刹那、兵士たちの首が宙に舞い上がった。
切り口からは血すら流れていない。
これが''死神''と呼ばれる理由か…なるほど…。
この人、ダークエルフじゃん…。
「おしまい。さ、行こう。」
何事もなかったかのようにさらりと言ってる、この人。
リアルサイコパスだ…。
「素晴らしい技だね。''死神''。」
「どうも。でもその名前で呼ばれるのは嫌いかな。」
''死神''と呼ばれるのは嫌いなんだ。覚えておこう。
さっきの鎌…。
闇魔術を極めたからこそ成せる神技と言って良い。
その技量はとても尊敬できる。
俺が彼女と戦っても混合魔術を使えばまあまあかもしれないがまず勝ち目はないだろうな。
「マナ!早く来るにゃ!」
ヤベ、考えてたら置いてかれそうになってた。
ベルに手を引かれて追いつく。
「遅いぞ。考え事か?」
アルゴーが聞く。
「カーフェさんがすごいなと思ってました。」
「嬉しいけど君のがすごいでしょ。」
「そんな事ありませんよ。」
この人たちとも結構仲良くなれた気がするな。
参考にする事も多いし嬉しい。
さあ上へ行くぞ!
————
残りの五、四、三、二、一階層は割愛しよう。
なぜならアルゴー、ジャック、ベルは脳筋だからだ。
基本、兵士たちをボッコボコにするので見る光景は全く同じ。
俺とカーフェは見学させてもらった。
後半、それはそれはベルが楽しそうに暴れていた。
敵ながら若干同情すら覚えるぐらいにはな。
結局力が一番スマートで手っ取り早いのかもしれない。
俺もこれから鍛えることにしよう。
—————
「うおっ…まぶし…。」
ついに、ついに俺たちは外に出た。
ずっと地下にいたのでお日様の光がとても眩しい。
しかししばらく触れてなかった温かさと眩しさがとても心地良い。
「久々のシャバの空気だ…。うめえ…!」
「しゃば?」
ベルがなにそれって顔で首を傾げている。
「牢獄の外の空気ってコトですよ。」
「ふーーんおもしろいね!」
俺たちは隠し通路から脱出し、そこで王子と落ち合う事になっている。
抜けた先はどこかの部屋になっており、どうやら王宮のどこか一室のようだ。
広い部屋で大きなガラスの窓から燦々と日が差している。
赤と金のタペストリー…ってあれ?
なんか見覚えがあるようなないような…。
「王子いないねー。」
ベルが周りをキョロキョロしながら言った。
「アルゴー、どうしますか?」
「うーむ…。待つしかないだろうなあ。」
まあゆっくり待つか。
走りっぱなしで疲れたしな…。
「マナ君、この間にキミの事教えてくれよ。どうやって混合魔術を使っているんだい?」
「それ、私も気になる。教えて。」
隙あらば質問してくる戦闘狂め…。
「え、えっとそれは…。」
ギイイイ…。
対応に困ってたら扉が大きな音を立てて開いた。
王子か!?だとしたら救世主だ。
「王子さ………。」
「キサマら…!!」
入ってきたのは王子違い。
イタイタス第一王子だった。
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