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4話 ボランティア
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ケーキ屋さんから宿屋に戻ると、皆にシフォンケーキを振る舞った。
「ユウのレシピなのよ」
と私はシフォンケーキ誕生の経緯を何故か得意げに語った。
心の中でユウのことを『可愛い』とどこかバカにしている(?)のに。
ユウのことを人に話すときは、どうしても誇らしげになってしまう。
だって……ほんとに誇らしいから。
私、ユウのことほんとは誇らしいと思っているんだ……。
「ええ~!
ユウってお菓子のレシピなんかも知っているの?
どんだけ色んな事知っているんだよ……」
とヒロが言った。
「このケーキ、すごくフワフワで、おいしいわ」
とマリンが言った。
「どんな分野も得意でユウ兄尊敬です~!」
とリリが言った。
「ユウさん……ケーキ屋さんを助けてあげて、偉いな……」
とシズが言った。
ユウはいつも通り『いやいや』とニコニコ淡々と謙遜した。
ほんと淡々としているんだよ……。
ユウのことを褒めたり、ケーキの感想を言ったり、この町の話をしたり。
私たちがのんびりティータイムをしていると。
ユウがイスから立ち上がり、
「僕、ちょっと休むね」
とニコニコ言った。
「あ、うん……」
こいつは結構一人になりたがる。
私たちもそっとしておいている。
そう言う人もいるのだろう……『一人が好き』。
私たちはユウが部屋に消えるのを見送ったが……
ティータイムを続けていると。
そのうちユウが外を歩くのが見えた。
私にだけ見えたみたい。
私の座る位置からしか見えない窓だったようだ。
あいつ、コッソリ自分の部屋の窓から抜け出したようだ。
どこに行くんだろう?
コッソリ行くのだから私たちに言えないところへ行くに違いない。
私も皆に『少し昼寝する』と言って、自分の部屋に入った。
その後、ユウにならって窓から宿を抜け出す。
通りに出ると走ってユウを探す。
アイツはブラブラ歩いていて、すぐ追いつくことができた。
私は彼の後を尾行することにした。
アイツ、私たちに内緒で部屋を出て、何をする気だろう?
まさかこの発展した街で『電子マネー』決済でいかがわしい店へ行くのでは……!?
そんな現場を目撃することになったらどうしよう!?
いや、それもあり!
だってこの淡々とした男も女が好きとわかるもの!
『女が好き』と言う情報を手に入れるためにも、ストーカーしてやる!
しかしユウは繁華街を外れていった。
『スマホ』を見ながら、寂しい道を歩いて行く。
そのうち、人里離れた田舎道を歩き出した。
そして。
土砂に塞がれた道の前に来て。
ユウはやっと立ち止まった。
ここが目的地?
それとももっと先に目的地があるが、道がふさがっていて行けないのかな?
道がふさがっている……と思ったところで私はハッとする。
もしかしてここ、
『この先のバター製造工場への道がふさがってしまってね。
一週間前の大雨で』
とケーキ屋さんが言っていた道なのでは?
私が息をのんでユウの様子を見守っていると、ユウはぶつぶつ口の中で何か言葉を唱えた。
途端に土が、道から消え去っていく。
元あった場所に戻っていく感じだ。
これは、ユウの魔法!
こいつは腕っぷしも強いけど、魔法もすごく上手い。
どの属性の魔法も使えるんだ……。
こっそり宿を抜け出して何するかと思えば、ケーキ屋さんから聞いた大雨によりふさがれた道を治しに来たの……?
人に内緒で善行をしに行く。
何こいつ……
『ぐう聖』と言うやつじゃない!?
(『ぐう聖』……ぐうの音も出ないほどの聖人。ユウが教えてくれた言葉)
私が立ち尽くしていると、道を綺麗にし終わったユウがくるりと振り返った。
し、しまった! 見つかってしまう!
後の祭り。
ユウは私を見とめ、目を丸くした。
「あ、あの……」
私が尾行を謝る前に、ユウが頬をポリポリかくのが見えた。
恥ずかしそうに顔を赤くし顔を背けつつ。
……
『やれやれ、こんなところ見られたくなかったんだけどな』
じゃないわよ!
何でこんな『ぐう聖』発覚のときまで可愛いの?
私は尾行を謝った後、笑顔で、
「ユウってほんと偉いね!
感動しちゃった!」
と言った。
ユウはいつも通り淡々と『いやいや』と言うと、
「ほんとに偉いのは、自分の力でボランティアをする人です」
ちょっと何言ってるかよくわからないな。
ユウのしたことだって自分の力でしょ?
私が不思議そうな顔をしていたのだろう、ユウは、
「僕の国に『スーパーボランティア』と呼ばれる方がいて……」
と説明してくれた。
スーパーボランティアの人はコツコツ自分の力でボランティアをする。
有名になっても変わらない。
などと言うことを話してくれた。
「僕が『力』を使うより、ずっと大変なことをしている」
とユウはやはり淡々と言った。
「ユウの力だって、ユウの努力のたまものでしょ?」
と私が言うと、少し寂しそうな笑顔で首を横に振る。
「僕、努力ってできないんだ」
私はよく意味がわからなかったけど、いつも淡々としているユウの『寂しげな』ところにキュンとした。
私たちは言葉少なに帰路についた。
この尾行によって。
ユウが『ぐう聖』なことがわかった。
それにあの寂しげな顔。
ますます遠い存在になってしまった気がする。
それに結局ユウが『女が好き』かどうか、と言う情報は手に入らなかった。
もし女に興味がなかったらどうしよう?
ときどきマリンの胸の谷間やシズの巨乳をちらりと見ているから大丈夫だと思うけど……。
そんな彼を私が非難がましい目で見ると、両手を挙げながら顔を赤らめて首を振るんだよ。
『ち、違う! 誤解だよ!』ポーズ。
『僕、何故か女の子の連れがたくさんいるんですよね、でも普段はあまり意識なんかしてないし!』
そんな彼に私は恋をしている……
「ユウのレシピなのよ」
と私はシフォンケーキ誕生の経緯を何故か得意げに語った。
心の中でユウのことを『可愛い』とどこかバカにしている(?)のに。
ユウのことを人に話すときは、どうしても誇らしげになってしまう。
だって……ほんとに誇らしいから。
私、ユウのことほんとは誇らしいと思っているんだ……。
「ええ~!
ユウってお菓子のレシピなんかも知っているの?
どんだけ色んな事知っているんだよ……」
とヒロが言った。
「このケーキ、すごくフワフワで、おいしいわ」
とマリンが言った。
「どんな分野も得意でユウ兄尊敬です~!」
とリリが言った。
「ユウさん……ケーキ屋さんを助けてあげて、偉いな……」
とシズが言った。
ユウはいつも通り『いやいや』とニコニコ淡々と謙遜した。
ほんと淡々としているんだよ……。
ユウのことを褒めたり、ケーキの感想を言ったり、この町の話をしたり。
私たちがのんびりティータイムをしていると。
ユウがイスから立ち上がり、
「僕、ちょっと休むね」
とニコニコ言った。
「あ、うん……」
こいつは結構一人になりたがる。
私たちもそっとしておいている。
そう言う人もいるのだろう……『一人が好き』。
私たちはユウが部屋に消えるのを見送ったが……
ティータイムを続けていると。
そのうちユウが外を歩くのが見えた。
私にだけ見えたみたい。
私の座る位置からしか見えない窓だったようだ。
あいつ、コッソリ自分の部屋の窓から抜け出したようだ。
どこに行くんだろう?
コッソリ行くのだから私たちに言えないところへ行くに違いない。
私も皆に『少し昼寝する』と言って、自分の部屋に入った。
その後、ユウにならって窓から宿を抜け出す。
通りに出ると走ってユウを探す。
アイツはブラブラ歩いていて、すぐ追いつくことができた。
私は彼の後を尾行することにした。
アイツ、私たちに内緒で部屋を出て、何をする気だろう?
まさかこの発展した街で『電子マネー』決済でいかがわしい店へ行くのでは……!?
そんな現場を目撃することになったらどうしよう!?
いや、それもあり!
だってこの淡々とした男も女が好きとわかるもの!
『女が好き』と言う情報を手に入れるためにも、ストーカーしてやる!
しかしユウは繁華街を外れていった。
『スマホ』を見ながら、寂しい道を歩いて行く。
そのうち、人里離れた田舎道を歩き出した。
そして。
土砂に塞がれた道の前に来て。
ユウはやっと立ち止まった。
ここが目的地?
それとももっと先に目的地があるが、道がふさがっていて行けないのかな?
道がふさがっている……と思ったところで私はハッとする。
もしかしてここ、
『この先のバター製造工場への道がふさがってしまってね。
一週間前の大雨で』
とケーキ屋さんが言っていた道なのでは?
私が息をのんでユウの様子を見守っていると、ユウはぶつぶつ口の中で何か言葉を唱えた。
途端に土が、道から消え去っていく。
元あった場所に戻っていく感じだ。
これは、ユウの魔法!
こいつは腕っぷしも強いけど、魔法もすごく上手い。
どの属性の魔法も使えるんだ……。
こっそり宿を抜け出して何するかと思えば、ケーキ屋さんから聞いた大雨によりふさがれた道を治しに来たの……?
人に内緒で善行をしに行く。
何こいつ……
『ぐう聖』と言うやつじゃない!?
(『ぐう聖』……ぐうの音も出ないほどの聖人。ユウが教えてくれた言葉)
私が立ち尽くしていると、道を綺麗にし終わったユウがくるりと振り返った。
し、しまった! 見つかってしまう!
後の祭り。
ユウは私を見とめ、目を丸くした。
「あ、あの……」
私が尾行を謝る前に、ユウが頬をポリポリかくのが見えた。
恥ずかしそうに顔を赤くし顔を背けつつ。
……
『やれやれ、こんなところ見られたくなかったんだけどな』
じゃないわよ!
何でこんな『ぐう聖』発覚のときまで可愛いの?
私は尾行を謝った後、笑顔で、
「ユウってほんと偉いね!
感動しちゃった!」
と言った。
ユウはいつも通り淡々と『いやいや』と言うと、
「ほんとに偉いのは、自分の力でボランティアをする人です」
ちょっと何言ってるかよくわからないな。
ユウのしたことだって自分の力でしょ?
私が不思議そうな顔をしていたのだろう、ユウは、
「僕の国に『スーパーボランティア』と呼ばれる方がいて……」
と説明してくれた。
スーパーボランティアの人はコツコツ自分の力でボランティアをする。
有名になっても変わらない。
などと言うことを話してくれた。
「僕が『力』を使うより、ずっと大変なことをしている」
とユウはやはり淡々と言った。
「ユウの力だって、ユウの努力のたまものでしょ?」
と私が言うと、少し寂しそうな笑顔で首を横に振る。
「僕、努力ってできないんだ」
私はよく意味がわからなかったけど、いつも淡々としているユウの『寂しげな』ところにキュンとした。
私たちは言葉少なに帰路についた。
この尾行によって。
ユウが『ぐう聖』なことがわかった。
それにあの寂しげな顔。
ますます遠い存在になってしまった気がする。
それに結局ユウが『女が好き』かどうか、と言う情報は手に入らなかった。
もし女に興味がなかったらどうしよう?
ときどきマリンの胸の谷間やシズの巨乳をちらりと見ているから大丈夫だと思うけど……。
そんな彼を私が非難がましい目で見ると、両手を挙げながら顔を赤らめて首を振るんだよ。
『ち、違う! 誤解だよ!』ポーズ。
『僕、何故か女の子の連れがたくさんいるんですよね、でも普段はあまり意識なんかしてないし!』
そんな彼に私は恋をしている……
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