聖典の勇者 〜安宿に泊まったらバァさんついて来たってよ〜

ウメキチ

文字の大きさ
1 / 20

始まりだってよ

しおりを挟む
 
≪2020年 日本≫
 
   俺は大仲マナブ20歳、最近彼女に逃げられた(初体験の為強引に迫り1週間で振られた)現在はコンビニでアルバイトをしながら少ない予算で、パチンコとFXレバレッジ25倍で投資をする底辺ギャンブル民である。
 
   両親は幼い頃母親がストーカーの被害にあうが、警察に相談しても取り合ってもらえず、
ついに家まで押しかけたストーカーに両親共々殺された。
   俺はたまたまお遣いを頼まれて犯人と遭遇せずに生き残ってしまった。
   現在も犯人は捕まっていない。
   昔、祖父に絶対犯人を見つけて俺が犯人を殺すと話したことがあるが、祖父にはボコボコにされた後、とても悲しい顔でお前まで失いたくないと泣きながら
抱きしめられた事がある、あんな顔はもう二度と見たくない。
   以来この件には触れない様にしている。
   しかし何故俺だけ生き残ってしまったのか…… あのまま一緒に両親と死んでしまいたかった、と幼少期は出来るだけ誰にも関わりを持たない様友達も作らず陰の存在でしかなかった。
 
   そんな心まで腐りかけた俺を現在まで立ち直らせてくれたのが、母型の祖父と祖母であった。
   少し立ち直り過ぎて逆にやばい存在に成っているのは置いといて。
 
   祖父は敬虔なアーリア教の神父であり、普段はとても厳しく時に優しく皆に敬愛される存在だった。
 
 
 
「マナブ! 貴様っ! 証券会社からの150万の請求とはなんだ!! 」
 
   やばい、じじぃに殺される。
   普段から祖父は俺だけには特に厳しい。
 
「今回はお前をアーリア教で徹底的に改心させてやる!! 」
 
「うるせぇじじぃ!! アーリア教なんて胡散臭い宗教やってられるかよ!! 」
 
「俺には宗教なんて関係ねー投資で秒速1億を稼ぎ出す! キャバクラで遊びまくりだ」
   自信に満ち溢れた表情で祖父に言い放った。
   我ながらクズであることは自覚済みである。
 
   余計祖父を怒らせてしまった様である。
   今回ばかりはだいぶやばい状況だ。
   
   祖父の顔がみるみる沸点に達していくのがすぐわかった。
「出て行け!! 二度と家の敷居はまたがせん!! 」
   祖父がしゃがみ込みクラウチングスタートをしていた。
   気づけば俺は宙をまっていた、どうやら飛び蹴りをくらったみたいだ。
   全てがスローモーションで動いているようだ。
 ブラックアウトしそうな頭の中では過去の記憶が鮮明に映し出されていく。
   これが走馬灯か…頭の中ではパチンコで大当たりを引いた時の映像が流れている。
   これが俺の人生か…。
   放り出された後しばらく自分の人生のつまらなさに呆然としていると、祖母が心配そうに駆け寄ってきた。
 
「マナブ、またおじいちゃんを怒らせたのかい、すぐ怒りはおさまると思うから落ち着いてからまた戻っておじいちゃんにあやまりなさい、後これを持っておゆき」
 
   祖母の手には俺の鞄とおにぎりがあった。
   こんなどうしようもない孫に対しての優しさと本物のクズ人間である自身の情けなさにより目から一筋の光が流れ落ちてきた。
 
「ばぁちゃん、俺じいちゃんに顔向けできるくらい立派になるまで戻らないよ」
本当にありがとう…
 
   祖母の優しさに触れ本音で言葉にすることが出来た。
俺は変わるんだ!!
 

 …
 
   さてどうするか。
凛として立ち上がった(基本クズという者はポジティブである)。
   とりあえず祖母のおにぎりを咥えながら鞄を漁ってみる。
 
   鞄の中には財布と水筒と祖母が大切にしていたクリスタルの石が入っている。
   石だけ手に取り、昔祖母が嬉しそうに何度も話してくれた内容がフラッシュバックした。
   昔祖母は大学の研究員として勉強に励んでいた、その頃大変お世話になった先生の伊藤教授から頂いた物みたいで、早くに死んだ父の代わりではないが父のようにしたっていたそうだ。
   伊藤教授は妻が早くに亡くなり、子供もいなかったこともあり祖母を自分の子供みたいに思っていたのかもしれない。
   その伊藤教授が大病を患いもう長くないと宣告された際、先祖から受け継がれているこのクリスタルの石を祖母に託したそうで。
   祖母はそのクリスタルを大切そうにいつも眺めていた。
   そんな大切な物を俺なんかに… 無くして大変だ。
マナブは財布の中にクリスタルをしまった。
 
   財布の中身は……2万円、なんともいえない。
   幸い、俺が住んでいるこの都市は世界各国から観光客が絶えない為バックパッカー用に安宿も充実している。
   そしてコナモンが安い。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

処理中です...