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始まりだってよ
しおりを挟む≪2020年 日本≫
俺は大仲マナブ20歳、最近彼女に逃げられた(初体験の為強引に迫り1週間で振られた)現在はコンビニでアルバイトをしながら少ない予算で、パチンコとFXレバレッジ25倍で投資をする底辺ギャンブル民である。
両親は幼い頃母親がストーカーの被害にあうが、警察に相談しても取り合ってもらえず、
ついに家まで押しかけたストーカーに両親共々殺された。
俺はたまたまお遣いを頼まれて犯人と遭遇せずに生き残ってしまった。
現在も犯人は捕まっていない。
昔、祖父に絶対犯人を見つけて俺が犯人を殺すと話したことがあるが、祖父にはボコボコにされた後、とても悲しい顔でお前まで失いたくないと泣きながら
抱きしめられた事がある、あんな顔はもう二度と見たくない。
以来この件には触れない様にしている。
しかし何故俺だけ生き残ってしまったのか…… あのまま一緒に両親と死んでしまいたかった、と幼少期は出来るだけ誰にも関わりを持たない様友達も作らず陰の存在でしかなかった。
そんな心まで腐りかけた俺を現在まで立ち直らせてくれたのが、母型の祖父と祖母であった。
少し立ち直り過ぎて逆にやばい存在に成っているのは置いといて。
祖父は敬虔なアーリア教の神父であり、普段はとても厳しく時に優しく皆に敬愛される存在だった。
「マナブ! 貴様っ! 証券会社からの150万の請求とはなんだ!! 」
やばい、じじぃに殺される。
普段から祖父は俺だけには特に厳しい。
「今回はお前をアーリア教で徹底的に改心させてやる!! 」
「うるせぇじじぃ!! アーリア教なんて胡散臭い宗教やってられるかよ!! 」
「俺には宗教なんて関係ねー投資で秒速1億を稼ぎ出す! キャバクラで遊びまくりだ」
自信に満ち溢れた表情で祖父に言い放った。
我ながらクズであることは自覚済みである。
余計祖父を怒らせてしまった様である。
今回ばかりはだいぶやばい状況だ。
祖父の顔がみるみる沸点に達していくのがすぐわかった。
「出て行け!! 二度と家の敷居はまたがせん!! 」
祖父がしゃがみ込みクラウチングスタートをしていた。
気づけば俺は宙をまっていた、どうやら飛び蹴りをくらったみたいだ。
全てがスローモーションで動いているようだ。
ブラックアウトしそうな頭の中では過去の記憶が鮮明に映し出されていく。
これが走馬灯か…頭の中ではパチンコで大当たりを引いた時の映像が流れている。
これが俺の人生か…。
放り出された後しばらく自分の人生のつまらなさに呆然としていると、祖母が心配そうに駆け寄ってきた。
「マナブ、またおじいちゃんを怒らせたのかい、すぐ怒りはおさまると思うから落ち着いてからまた戻っておじいちゃんにあやまりなさい、後これを持っておゆき」
祖母の手には俺の鞄とおにぎりがあった。
こんなどうしようもない孫に対しての優しさと本物のクズ人間である自身の情けなさにより目から一筋の光が流れ落ちてきた。
「ばぁちゃん、俺じいちゃんに顔向けできるくらい立派になるまで戻らないよ」
本当にありがとう…
祖母の優しさに触れ本音で言葉にすることが出来た。
俺は変わるんだ!!
…
…
さてどうするか。
凛として立ち上がった(基本クズという者はポジティブである)。
とりあえず祖母のおにぎりを咥えながら鞄を漁ってみる。
鞄の中には財布と水筒と祖母が大切にしていたクリスタルの石が入っている。
石だけ手に取り、昔祖母が嬉しそうに何度も話してくれた内容がフラッシュバックした。
昔祖母は大学の研究員として勉強に励んでいた、その頃大変お世話になった先生の伊藤教授から頂いた物みたいで、早くに死んだ父の代わりではないが父のようにしたっていたそうだ。
伊藤教授は妻が早くに亡くなり、子供もいなかったこともあり祖母を自分の子供みたいに思っていたのかもしれない。
その伊藤教授が大病を患いもう長くないと宣告された際、先祖から受け継がれているこのクリスタルの石を祖母に託したそうで。
祖母はそのクリスタルを大切そうにいつも眺めていた。
そんな大切な物を俺なんかに… 無くして大変だ。
マナブは財布の中にクリスタルをしまった。
財布の中身は……2万円、なんともいえない。
幸い、俺が住んでいるこの都市は世界各国から観光客が絶えない為バックパッカー用に安宿も充実している。
そしてコナモンが安い。
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