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-6 『交流』
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それからというもの、アンジュはその工房へと足繁く通うようになっていた。
朝起きて、朝食を食べて、朝風呂につかって寝汗を流したら、おめかしをして出かけていく。
「あんまり邪魔はしないでよ」という私の忠告に「はーい」と生返事だけを言い、足早に旅館を出て行ってしまう毎日だ。
どうやら工房の横の作業場で、ヴェルが彫金をしている姿を眺めながら話をしているらしい。
先日の一件以降すっかり意気投合した二人は、もすっかり旧来の友人であるかのように仲を深めていた。
とは言っても、ほとんどがアンジュの話ばかりらしい。初めての温泉旅館の感想。今朝食べたご飯の美味しさ。その日あった旅館での新体験。そんな日記にも満たないどうでも良いことを、アンジュはヴェルへと何度も何度も投げかけていた。
ヴェルも精密な作業中に関わらず、少しもイヤがる様子なく話につきあい、耳を傾けてはほどよく相槌を打っている。
二人の歳は離れてはいるが、親子というより兄弟といった感じだろうか。小柄で口うるさいわんぱくな妹に、面倒見の良い優しい兄といった構図みたいだ。
私が様子を見るために訪れた時も、やはり相変わらずアンジュばかりが口を動かしていた。
作業をしているヴェルの傍らで、アンジュが近くにあった鉄細工を指さす。
「これは何?」
「花さ。ラナンキュラスという多重の花でね。ボクの実家の方では開花の時期になると、凄く綺麗な紫色の花を見せてくれるんだよ」
「へえ、そうなの」
「紫色のラナンキュラスの花言葉は『幸福』。この旅館に幸あれ、って飾ろうと思ってね」
「へえ。そういえば、その鳩も幸せの象徴ね。それも一緒に飾るのかしら」
「ああ、うん。そうだね」
可憐なバラによく似た多弁の花がいくつも咲き誇る鉄細工の横でヴェルが作っているのは、立体的な、翼を広げた鳩の鉄細工だ。まだ作り始めたばかりで、ようやく鳩だとわかるような輪郭を持っている程度だった。
近頃はアンジュがやってくるとそれを作っていることが多かった。
これから削ったり切り抜いたりして、本物の鳩のように命を吹き込んでいくのだろう。
それを想像するだけでわくわくするのか、見守るアンジュの目は楽しそうに輝いている。
「じゃあ、これが完成したらあの時計はできあがりなのね」
「ちゃんと傷んでるところを補修して、あの花を飾ってあげたら完成かな」
「楽しみね」
アンジュの笑顔がまぶしく弾む。
「そういえば、花といえば私のお屋敷には百合の花が咲いているの。春が終わり始めると花を咲かせるのよ。綺麗な白色をしていて、顔を近づけると甘い匂いがするの。お姉様の十歳のお誕生日に、お父様が植えてくださったのよ」
「へえ。それも見てみたいね」
「私の町へ来たときはぜひともいらっしゃい。貴方なら大歓迎よ。お父様にお願いして、私の友人として招き入れてあげるわ」
「それは光栄だ」
いきいきと話すアンジュの元気ぶりに、ヴェルも作業はしながらも口許を綻ばせる。
しかしふと、
「あ、でも……」
アンジュの顔が沈み、塞ぎ込むのに気づいてヴェルの手が止まった。
「はやく来てくれないと、アンはもう屋敷からいなくなってるかも」
「え?」
「お父様が縁談を持ってきてくださったの。アンにはまだ少し早いけれど、もしそれが決まったら時が来たら、私はあのお屋敷からいなくなっちゃうかもだから……」
快活だったこれまでとは正反対に沈み込んだアンジュの声調に、ヴェルは心配そうに眉を潜ませた。
「キミは……イヤなのかい?」
恐る恐るといった様子でヴェルが尋ねる。するとアンジュは顔を伏せたまま、それでも首は横に振ってみせた。
「そういうわけじゃないけど。でも、相手がどんな人かもわからないし。アンはまだ子供だから、もし怖い人だったらどうしようかなって思って」
そう細々と言うアンジュに、ヴェルは何かを言おうとして、しかしそれを呑み込んだままじっと彼女をみるばかりだった。
気まずい沈黙が流れる。
やがてしばらくして、ようやくヴェルが口許を緩めて言った。
「大丈夫。きっとその相手もキミを大切にしてくれるよ」
「そう、かな」
「ああ、そうさ。だってキミは優しい子だからね。ボクの鉄細工が壊れただけでとても心配して謝ってくれたし、ボクの駄作達を凄いって褒めてくれるから」
「駄作なんかじゃないわ!」と、反射のようにアンジュがヴェルへと詰め寄って言い放つ。さっきまでの低調を忘れたようにそれは勢い強かった。
それを見て、ヴェルがやはり口許をより緩ませる。
「ほらね。こんな風にさ」と。
「ちょ、ちょっと。わざとそう言ったの?」
「どうかな」
「むう……いじわる」
頬を膨らませるアンジュだが、先ほどまでの表情の陰りはいつの間にか消え去り、いつもの明るい少女へと戻っていた。
「不思議。貴方といると、お家のこととかがどうでもよくなっちゃう」
「少しでも離れて、家族が恋しくなったりは?」
「しないかな。家にいても息苦しいばかり。屋敷の中で会えるのはお父様か、使用人達くらいだもの。たまにお父様の知人の方が訪ねてくることはあるけど、みんな私とお父様のご機嫌を取ろうとするみたいに、腫れ物を触るように余所余所しくされるばかりだし」
うんざりした顔つきでアンジュは言っていた。
「みんな、私が何もしてないのに褒めてくる。ご機嫌を取ろうとしてくる。それって私自身の中には何もないみたいで、上辺だけを見られてるみたいで大嫌い。だから、お屋敷にいてもいいことなんてなにもなかったわ」
簡単な問題が解けただけでも家庭教師の先生は絶賛してくるし、庭先で雨に濡れた野良犬を心配しただけでも心優しい子だと持て囃される。過保護の極みだ。
「でももしかしたら、みんなも真剣にキミのことを想っているのかもしれないよ」
「それはないわ。あ、でもお姉様は別。お姉様はいつも私のことを見てくれていたもの。だから今、お姉様がお屋敷にいないのはちょっと寂しいわ」
私の話題も出たし、ちょうど良いだろう。
私は開いている扉をノックし、二人に気づかせた。
「お姉様!」とアンジュの顔が持ち上がる。ずっと話を聞いていたのだけどまったく気づいていなかったようだ。
「アンジュ。そろそろ夕食の時間よ。帰っておきなさい」
「ええ、もう?」
「それとヴェル。進捗はどうかしら」
「ああ。いい感じだよ。修繕の金具の方もお爺さんがいいものをこしらえてくれてる。そっちはもう取り替えるだけかな」
よし。
これならヴェルへの依頼も滞りなく完了しそうだ。
旅館の発展も順調。
このままいい具合に進んでいってほしいものだ。
「帰るわよ」とアンジュを連れ、私は工房を後にした。
気がつけば西の山から夕日が差し込んでいた。
朱色に染まった旅館までの道を二人で歩く。
そういえば、姉妹二人きりになったのは久しぶりだった。
勝手に出て行った私をアンジュはどう思っているだろう。お父様はどんなことを言っていただろう。
そんなことを考えながら、隣を歩くアンジュを盗み見ていた。
すると、
「お姉様」
急にアンジュもこちらを見てきて、私は思わず慌てて視線を逸らしてしまった。
「どうしたの、アンジュ」
「その……すごく言いにくいんだけれど」
なにやら手をもじもじと組んで、歯切れの悪い声をしている。いつもきっぱりと声を張るアンジュらしくない。
ふと、彼女の耳元がかすかに赤くなっているのに気づいた。これはきっと夕陽だけのせいではないだろう。
アンジュはためらうようにしばらく口を噤むと、それから意を決したように私を見上げて言った。
「お姉様にお願いがあるの!」
朝起きて、朝食を食べて、朝風呂につかって寝汗を流したら、おめかしをして出かけていく。
「あんまり邪魔はしないでよ」という私の忠告に「はーい」と生返事だけを言い、足早に旅館を出て行ってしまう毎日だ。
どうやら工房の横の作業場で、ヴェルが彫金をしている姿を眺めながら話をしているらしい。
先日の一件以降すっかり意気投合した二人は、もすっかり旧来の友人であるかのように仲を深めていた。
とは言っても、ほとんどがアンジュの話ばかりらしい。初めての温泉旅館の感想。今朝食べたご飯の美味しさ。その日あった旅館での新体験。そんな日記にも満たないどうでも良いことを、アンジュはヴェルへと何度も何度も投げかけていた。
ヴェルも精密な作業中に関わらず、少しもイヤがる様子なく話につきあい、耳を傾けてはほどよく相槌を打っている。
二人の歳は離れてはいるが、親子というより兄弟といった感じだろうか。小柄で口うるさいわんぱくな妹に、面倒見の良い優しい兄といった構図みたいだ。
私が様子を見るために訪れた時も、やはり相変わらずアンジュばかりが口を動かしていた。
作業をしているヴェルの傍らで、アンジュが近くにあった鉄細工を指さす。
「これは何?」
「花さ。ラナンキュラスという多重の花でね。ボクの実家の方では開花の時期になると、凄く綺麗な紫色の花を見せてくれるんだよ」
「へえ、そうなの」
「紫色のラナンキュラスの花言葉は『幸福』。この旅館に幸あれ、って飾ろうと思ってね」
「へえ。そういえば、その鳩も幸せの象徴ね。それも一緒に飾るのかしら」
「ああ、うん。そうだね」
可憐なバラによく似た多弁の花がいくつも咲き誇る鉄細工の横でヴェルが作っているのは、立体的な、翼を広げた鳩の鉄細工だ。まだ作り始めたばかりで、ようやく鳩だとわかるような輪郭を持っている程度だった。
近頃はアンジュがやってくるとそれを作っていることが多かった。
これから削ったり切り抜いたりして、本物の鳩のように命を吹き込んでいくのだろう。
それを想像するだけでわくわくするのか、見守るアンジュの目は楽しそうに輝いている。
「じゃあ、これが完成したらあの時計はできあがりなのね」
「ちゃんと傷んでるところを補修して、あの花を飾ってあげたら完成かな」
「楽しみね」
アンジュの笑顔がまぶしく弾む。
「そういえば、花といえば私のお屋敷には百合の花が咲いているの。春が終わり始めると花を咲かせるのよ。綺麗な白色をしていて、顔を近づけると甘い匂いがするの。お姉様の十歳のお誕生日に、お父様が植えてくださったのよ」
「へえ。それも見てみたいね」
「私の町へ来たときはぜひともいらっしゃい。貴方なら大歓迎よ。お父様にお願いして、私の友人として招き入れてあげるわ」
「それは光栄だ」
いきいきと話すアンジュの元気ぶりに、ヴェルも作業はしながらも口許を綻ばせる。
しかしふと、
「あ、でも……」
アンジュの顔が沈み、塞ぎ込むのに気づいてヴェルの手が止まった。
「はやく来てくれないと、アンはもう屋敷からいなくなってるかも」
「え?」
「お父様が縁談を持ってきてくださったの。アンにはまだ少し早いけれど、もしそれが決まったら時が来たら、私はあのお屋敷からいなくなっちゃうかもだから……」
快活だったこれまでとは正反対に沈み込んだアンジュの声調に、ヴェルは心配そうに眉を潜ませた。
「キミは……イヤなのかい?」
恐る恐るといった様子でヴェルが尋ねる。するとアンジュは顔を伏せたまま、それでも首は横に振ってみせた。
「そういうわけじゃないけど。でも、相手がどんな人かもわからないし。アンはまだ子供だから、もし怖い人だったらどうしようかなって思って」
そう細々と言うアンジュに、ヴェルは何かを言おうとして、しかしそれを呑み込んだままじっと彼女をみるばかりだった。
気まずい沈黙が流れる。
やがてしばらくして、ようやくヴェルが口許を緩めて言った。
「大丈夫。きっとその相手もキミを大切にしてくれるよ」
「そう、かな」
「ああ、そうさ。だってキミは優しい子だからね。ボクの鉄細工が壊れただけでとても心配して謝ってくれたし、ボクの駄作達を凄いって褒めてくれるから」
「駄作なんかじゃないわ!」と、反射のようにアンジュがヴェルへと詰め寄って言い放つ。さっきまでの低調を忘れたようにそれは勢い強かった。
それを見て、ヴェルがやはり口許をより緩ませる。
「ほらね。こんな風にさ」と。
「ちょ、ちょっと。わざとそう言ったの?」
「どうかな」
「むう……いじわる」
頬を膨らませるアンジュだが、先ほどまでの表情の陰りはいつの間にか消え去り、いつもの明るい少女へと戻っていた。
「不思議。貴方といると、お家のこととかがどうでもよくなっちゃう」
「少しでも離れて、家族が恋しくなったりは?」
「しないかな。家にいても息苦しいばかり。屋敷の中で会えるのはお父様か、使用人達くらいだもの。たまにお父様の知人の方が訪ねてくることはあるけど、みんな私とお父様のご機嫌を取ろうとするみたいに、腫れ物を触るように余所余所しくされるばかりだし」
うんざりした顔つきでアンジュは言っていた。
「みんな、私が何もしてないのに褒めてくる。ご機嫌を取ろうとしてくる。それって私自身の中には何もないみたいで、上辺だけを見られてるみたいで大嫌い。だから、お屋敷にいてもいいことなんてなにもなかったわ」
簡単な問題が解けただけでも家庭教師の先生は絶賛してくるし、庭先で雨に濡れた野良犬を心配しただけでも心優しい子だと持て囃される。過保護の極みだ。
「でももしかしたら、みんなも真剣にキミのことを想っているのかもしれないよ」
「それはないわ。あ、でもお姉様は別。お姉様はいつも私のことを見てくれていたもの。だから今、お姉様がお屋敷にいないのはちょっと寂しいわ」
私の話題も出たし、ちょうど良いだろう。
私は開いている扉をノックし、二人に気づかせた。
「お姉様!」とアンジュの顔が持ち上がる。ずっと話を聞いていたのだけどまったく気づいていなかったようだ。
「アンジュ。そろそろ夕食の時間よ。帰っておきなさい」
「ええ、もう?」
「それとヴェル。進捗はどうかしら」
「ああ。いい感じだよ。修繕の金具の方もお爺さんがいいものをこしらえてくれてる。そっちはもう取り替えるだけかな」
よし。
これならヴェルへの依頼も滞りなく完了しそうだ。
旅館の発展も順調。
このままいい具合に進んでいってほしいものだ。
「帰るわよ」とアンジュを連れ、私は工房を後にした。
気がつけば西の山から夕日が差し込んでいた。
朱色に染まった旅館までの道を二人で歩く。
そういえば、姉妹二人きりになったのは久しぶりだった。
勝手に出て行った私をアンジュはどう思っているだろう。お父様はどんなことを言っていただろう。
そんなことを考えながら、隣を歩くアンジュを盗み見ていた。
すると、
「お姉様」
急にアンジュもこちらを見てきて、私は思わず慌てて視線を逸らしてしまった。
「どうしたの、アンジュ」
「その……すごく言いにくいんだけれど」
なにやら手をもじもじと組んで、歯切れの悪い声をしている。いつもきっぱりと声を張るアンジュらしくない。
ふと、彼女の耳元がかすかに赤くなっているのに気づいた。これはきっと夕陽だけのせいではないだろう。
アンジュはためらうようにしばらく口を噤むと、それから意を決したように私を見上げて言った。
「お姉様にお願いがあるの!」
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