悪女と呼ばれた私は静かに微笑む

時雨 琉樹

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怒鳴り合い

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5歳の寒い冬の夜だった。

形だけはあった家族が
崩れ壊れたのは。

その時まで私は何も分かっていなかった。父が何を考えていたのかを。


そしてあの日は私を変えた。

いつものように私の寝室で
母は色々な歴史の話を
聞かせてくれた。
それは歴史書の綺麗事の文章
よりもとても現実的で闇が
見える内容だった。


しばらくすると何やら怒鳴りが聞こえた。


母は渋面の顔つきで
「ルファーナはもう寝なさい。」
と言い放ち

部屋を出ていった。

母が部屋を出ていくと
怒鳴り声はより一層大きくなった。


…何があったんだろう

私は母が心配だったので
様子を見に行った。


怒鳴り声が聞こえたのは玄関の方からだった。

玄関に向かっているとエナが

「ルファーナお嬢様どこに行くんです?玄関へ行ってはダメです。」

と私を咎めてきた。

「…怒鳴り声がするの。お母様が危ないかも知れないの。」


エナは哀しそうな顔をし



「お嬢様…。」と呟いた。


エナは何かを覚悟したように言った。

「…お嬢様。お嬢様が居ること絶対にバレてはいけませんよ。」


「わかった!ありがとう。エナ!」


私はそう言い残し玄関へ向かった。


音を立てない歩き方、盗み聞きの練習は沢山した。

後に役立つと言われ母に教わったが
本当に役立つとは。

静かに耳を澄まし話し声を聞く。


「何が悪いんだ!別に良いだろう!お前も俺も関係が破綻してるのだから!」

「良くないに決まってるでしょ!
何考えてるのよ!?頭が悪いとは思ってたけどここまでとは思わなかったわ。」

2人の怒鳴り声は耳が痛かった。
しかし何に揉めてるのだろう。

考えていると理由はすぐに分かった。

「お前とあの子どもと居ると息が詰まるんだ!
だから俺の愛する新しい妻と娘を連れてきたんだ!」


………え?5歳の私でも分かった。

本当に私の父、頭が悪い。
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