もしも最強の無法者が銀髪碧眼幼女になったら

東山統星

文字の大きさ
17 / 80
チャプター1 銀髪碧眼幼女、LTAS(エルターズ)に立つ

017 バスト80、ウエスト56、ヒップ75

しおりを挟む
「さて、携帯は買った。あとは髪切って服買うだけだな」
「キャメルと服買わなかったのか?」
「ゴスロリなんて常時着られると思うか? 私は思わんな」
「我が妹ながら、変な趣味してんなァ……」
「というわけだ。キャメルが姿を見せねェうちに服を揃えよう。この国は寒いから、暖かい服に限るな」

 *

 要するに、全身が隠れる服である。そしてブラジャーと下着も必要だ。

「クール、いくら父親でも娘のサイズを測るのにいたらまずい。すこし待っていてくれ」
「姉弟の貧相な身体見たって仕方ねェしな」

 そんなわけでルーシはスリーサイズを測る。店員に話しかける間でもない。個室に入り、服を脱げば、勝手に身体へ適した服装を出してくれるらしい。

「バストが80。ウエストが56。ヒップが75、か。思ったより胸がでけェな。キャメルよりでかいんじゃねェか?」

 ルーシが知る限り、バストが80ならばBカップといったところだろうか。
 別に男どもの劣情を呼ぶ気もないので、体型はどうだって良い。
 しかし、またキャメルをいじる口実ができたことに、ルーシは鼻で笑う。

「だが、女もののブラジャーとか買ったことねェな。さっそく携帯の出番だ」

 ルーシは腕時計型の携帯を起動する。電源ボタンに指紋認証センサーがついており、起動するのに1秒とかからない。
 だが腕時計のサイズでは小さすぎるので、腕に情報を載せる。こうなれば、おおむね普通のスマートフォンを使っているのと変わりはない。服の上でもまったく歪まず表示されるのはすごいが。

「どれどれ……。トップバスト? アンダーバスト? 呼び方? もっと簡略化できねェのかよ。女って面倒だな」

 仕方がないので、ルーシは個室の電光掲示板にふれる。そこへは、ブラジャーとパンツ、服がいくつか提示されていた。

「高けェほうが頑丈だろうが、もしかしたら成長期が来るかもしれねェからな。あのポンコツ天使がどのようにおれの身体をいじったのかは知らねェが、ここはある程度値段の安いものにしておくか」

 とはいえ、このデパートは富裕層御用達である。安いブラジャーでも、平然と100メニーを超える。金は持っているものの、なんともバカバカしい気持ちにもなる。10歳児のブラジャーなんて大半の人間は気にしないだろうに。

「……ま、愚痴ばかりいってられねェ。さっさと買うもの選ぼう」

 前世、ルーシにも妹がいた。しかし、買い物に行ったらルーシの金で適当な服や下着を買っていた。だから自分で女物の服を選ぶという機会ははじめてだ。奇怪な気分になるが、受け入れるほかないだろう。

「総計……1350メニーか。なになに。店員がもう用意してあって、あとは買うだけだと。便利でなによりだ」

 ルーシはふと姿見で自分を見る。そこには全身がお絵かきだらけの幼女がいた。当然といえば当然である。

(この刺青まみれの身体もどうにかしないとな。ほとんど全部を改ざんしたくせに、刺青は前世とまったく変わっていねェ。学生やるのなら、墨は見られねェほうが色々と楽だ)

 アホ天使がどんな意図で刺青を残したのかは知らないが、こうなるとタトゥーも邪魔でしかない。

「ま、全部長袖と長いスカート、長いパンツだ。バレることはないだろう」

 気候が寒い国で助かっているところがある。現在は3月だが、最高気温が10度行くか行かないか程度なので、こういった長めで防寒性のある服を着ている人は多い。あまり10歳児らしくない格好かもしれない──16歳のキャメルの格好を見れば余計に子どもらしからぬ格好だが、大人ぶる幼女ということにでもしておけば良い。

「1350メニーです」
「はい」

 カバンから100メニー札を14枚取り出す。店員はあからさまに驚いていたが、ルーシは気にも留めない。

「え、えっと、50メニーのお返しです。ありがとうございました」
「いえいえ」

 もう煙草が吸いたい。まるでやったことのない行動をした所為か、脳内がニコチンとタールを求めている。

「……喫煙所へ行くか。つか、クールはどこ行った?」

 自由な男だ。時間にして10分も経っていないのに、彼はどこにもいなかった。一応携帯を購入した際にクールの表での電話番号は聞いてあるので、特に問題はない。

「たぶんキャメルもいねェだろ。髪切ってスーツ仕立てる前に1服しておくか」

 *

 屋上。非常に広い喫煙所にて。
 こんなに広い場所なのに、人はまるでいない。なにかイベントでもあるのだろうか。

「ま……関係ねェか」

 ルーシはベンチにもたれ、白に赤のアクセントがある12ミリのソフトパッケージ煙草を取り出す。のこり3本。クールの部下におつかいさせたほうが良さそうだ。

 そんなルーシのもとへ、
「またいつか会おう、っていってたくせに」
 メリットが現れた。

「しゃーねェだろ。喫煙所はひとつしかねェんだから」
「しゃーない? 9歳か10歳程度の子どもと煙草吸ってたら、こっちまで通報される」
「オマエこそ高校生だろ? キャメルから聞いたぞ?」
「……キャメル?」
「知っているだろ。MIH学園の主席だよ。私の叔母……というか、姉みてェなもんだ」
「……アンタは才能に満ちあふれてそう」
「まァな……」ダウナーな声である。

 ここでルーシは煙草に火をつける。吸い方は昔から変わらない。尊大な態度で吸うだけだ。

「アンタみたいなヤツが一番嫌い」
「あァ?」ルーシはメリットを睨む。
「才能にかまけて、与えられたチカラでどんどん出世していって……だから嫌い。ドイツもコイツも才能だけで勝って、なにが楽しいのかわかんない」

「そりゃおめェ……」ルーシは半ば寝転がるように手を頭の後ろに回し、「別に才能だけってわけでもねェだろ。偉大すぎる兄を持つがゆえに、いまある実力で我慢するっていう当然の判断ができないヤツだっているんだ。無能も有能も苦しんでいるのさ。そしてオマエは無能じゃない」

「……はあ?」
「去年の壮麗祭、キャメルが優勝したんだろ? 1年坊のくせに2、3年生を潰して優勝となりゃ、たいしたもんだ。だが、ソイツがいっていたぞ? 去年もっとも苦戦した相手はふたり。ウィンストンとメリットだって」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

処理中です...