72 / 80
チャプター3 すべての陰謀を終わらせる陰謀、壮麗祭
072 ルーシの危機
しおりを挟む
最終日。いよいよ、決勝戦が始まる。
しかしそんなこと、ルーシにはどうでも良い話しだった。
まず、ルーシの持つ会社『スターリング工業』に一斉捜査が入った。すでに100名弱もの者が逮捕されている。警察機関がスターリング工業壊滅に向けて動き始めたのだ。この事案の対処はクールと峰にまかせてあるが、果たしていつまで全面戦争が避けられていられるか、といったところだ。
続いて、パーラの体調だ。彼女は地毛がピンク色で、二週間に一回金髪に染めているのだが、本来染めに行く時期になっても体調不良で美容室へ行けないのだ。根元がピンクになっていて、しかしそれすらも気にしていられないほど、パーラに生気がない。
「……病気になったことねェからわからねェな」
正直、仕事を優先しなくてはならないが、見舞いくらいはできる。
パーラは意固地になって入院したくないとぼやく。嫌な記憶を思い出してしまいそうだからと。そしてみんなと一緒にいたいとも。彼女の意志を尊重し、ルーシたちはパーラの自宅に集まっていた。
「バカとなんやらは風邪引かないから」
「風邪ってわけでもねェだろ、この状況」
ルーシとメリットは落ち着き払っていた。慌てたところでパーラが治るのか、という話しである。
対照的なのはメントとホープ。時々うめき声を上げて汗を流すパーラを見ては、落ち着いていられないのか、病人食を用意し、水分補給をさせようとしている。
「結局、なんの理由か、だ。もう一度医者呼ぶぞ」
当然ルーシのポケットマネーで医者を呼ぶ。もう五人目だ。そろそろ病名が発覚しても良い頃合いだが、彼らはさっぱり見当がつかないという。
「パーラ……」メントの声に力はない。
この元気な獣娘が病気にかかるものか? メントとパーラの付き合いは長いが、彼女ほど健康な子も珍しいくらいなのに。
「……魔力が原因?」
そんななか、ホープはなにかに気がつく。
「魔力? ……そういうことか?」
それに答えるはルーシ。
「パーラちゃんは微弱な魔力しかもってなかった。でも、いまはウチでもわかるくらい魔力が強い。いまにも膨張しそうなくらいに」
「魔力を抜くことはできるのか?」
「それこそ、医者じゃないと難しいと思う」
「だったらその手の医者を呼ぼう……ちょっと待っていろ。電話だ」
ルーシは部屋から出て、電話に答える。
『プレジデント。やはりガサが進んでおります。サクラ・ファミリーやクール・ファミリーからも逮捕者が出ているほどです』
「一次組織から……? ヤツらも本気だな。大統領の汚職や痴態は見つからねェのか?」
『情報提供者が複数名出始めておりますが、その前に当局の動きを止める必要があるかと。これは噂ですが、セブン・スターズが動いているとも……』
「そこにはクールを当てろ。一組織潰すのにセブン・スターズをふたりも三人も出さねェはずだ。連中の懸念材料は間違いなくクールだからな」
『確かに、クールCEOを逮捕できる者などそうはいませんからな』
それでも、ざわめきは収まらない。
しかしそんなこと、ルーシにはどうでも良い話しだった。
まず、ルーシの持つ会社『スターリング工業』に一斉捜査が入った。すでに100名弱もの者が逮捕されている。警察機関がスターリング工業壊滅に向けて動き始めたのだ。この事案の対処はクールと峰にまかせてあるが、果たしていつまで全面戦争が避けられていられるか、といったところだ。
続いて、パーラの体調だ。彼女は地毛がピンク色で、二週間に一回金髪に染めているのだが、本来染めに行く時期になっても体調不良で美容室へ行けないのだ。根元がピンクになっていて、しかしそれすらも気にしていられないほど、パーラに生気がない。
「……病気になったことねェからわからねェな」
正直、仕事を優先しなくてはならないが、見舞いくらいはできる。
パーラは意固地になって入院したくないとぼやく。嫌な記憶を思い出してしまいそうだからと。そしてみんなと一緒にいたいとも。彼女の意志を尊重し、ルーシたちはパーラの自宅に集まっていた。
「バカとなんやらは風邪引かないから」
「風邪ってわけでもねェだろ、この状況」
ルーシとメリットは落ち着き払っていた。慌てたところでパーラが治るのか、という話しである。
対照的なのはメントとホープ。時々うめき声を上げて汗を流すパーラを見ては、落ち着いていられないのか、病人食を用意し、水分補給をさせようとしている。
「結局、なんの理由か、だ。もう一度医者呼ぶぞ」
当然ルーシのポケットマネーで医者を呼ぶ。もう五人目だ。そろそろ病名が発覚しても良い頃合いだが、彼らはさっぱり見当がつかないという。
「パーラ……」メントの声に力はない。
この元気な獣娘が病気にかかるものか? メントとパーラの付き合いは長いが、彼女ほど健康な子も珍しいくらいなのに。
「……魔力が原因?」
そんななか、ホープはなにかに気がつく。
「魔力? ……そういうことか?」
それに答えるはルーシ。
「パーラちゃんは微弱な魔力しかもってなかった。でも、いまはウチでもわかるくらい魔力が強い。いまにも膨張しそうなくらいに」
「魔力を抜くことはできるのか?」
「それこそ、医者じゃないと難しいと思う」
「だったらその手の医者を呼ぼう……ちょっと待っていろ。電話だ」
ルーシは部屋から出て、電話に答える。
『プレジデント。やはりガサが進んでおります。サクラ・ファミリーやクール・ファミリーからも逮捕者が出ているほどです』
「一次組織から……? ヤツらも本気だな。大統領の汚職や痴態は見つからねェのか?」
『情報提供者が複数名出始めておりますが、その前に当局の動きを止める必要があるかと。これは噂ですが、セブン・スターズが動いているとも……』
「そこにはクールを当てろ。一組織潰すのにセブン・スターズをふたりも三人も出さねェはずだ。連中の懸念材料は間違いなくクールだからな」
『確かに、クールCEOを逮捕できる者などそうはいませんからな』
それでも、ざわめきは収まらない。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる