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超能力者開発指数(PKDI)

テスト

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「生徒会会長、学園の表の顔であり、それになるということはそいつの存在を証明してくれる涙溢れる称号だ。」
大智は生徒会というものには興味が無いが、イリイチに対して説明をする。現在リーコンはこの生徒会の内務委員長。学園の情報に対しての最高責任者である。
「なるへそ。まぁ俺には関係ねぇな。金が出るなら話は別だg…。」
「給料は出るぞ。毎月100万強ほどな。義経先輩や武蔵先輩はそれを当てにして生活しているらしい。」
「会長の座が俺を待っているようだな!よし、立候補するぞ!大智、お前もだ!」
金の話になればイリイチの目の色は変わる。守銭奴からすれば100万円程度の小銭だって落としたくはないのだ。
「…まぁ、生徒会に立候補するためには筆記試験で点数とらないと成れねぇぞ。中学生程度の簡単な問題らしいが、ようは知能指数の低い馬鹿に生徒会をやらせると情報漏洩するっていうお達しだ。」
「俺を舐めてるのか?中学生レベルのテストで不合格になるとでも?」
息巻いているイリイチは、そもそも彼の勉強は小学校中学年で止まっているのを忘れている。
「じゃあ申し込んどくか。リーコンも受けるだろうし、つうか名の売れているやつはみんな受けるだろうな。」
テスト。中学生レベルの数学や国語、社会、理科、英語と高校生を名乗っている以上は通過出来ない訳が無い程度のものである。テストは3日後。一応勉強をしとかないと恥をかく羽目になるため、大智は軽く勉強をするらしい。
リーコンもそのようで、イリイチは何もやることがない。何気なく外に出て武器でも買いに行こうとしていた。
「拳銃は必須だな。軽くて撃ちやすいやつ。それでいて整備が簡単で弾も手に入りやすい。1911でいいや。あと、近接戦闘に備えてメリケンサックでも用意しておくか。」
武器屋。日本においてはまずありえないであろう店は学園の中でも一応は隠されてはいる。パチンコの換金店ぐらいには。頭も隠さずに尻も隠さない漢らしい姿勢に、イリイチも喜ぶ。
「制服の内ポケットの存在意義を考えたが、どうも銃とメリケンサックをしまうものらしいな。」
購入して外に出る。射撃場付きの武器屋は様々な銃が揃っている。
「アメリカ人もアンビリバボーだな。」
暇つぶしに色々な武器を試し打ちする。手馴れたものだ。遥か遠くの的に一撃必殺で当ててみる。
「すげぇな!」
ギャラリーが出来ていたようだ。そのうちの1人が称賛の言葉をかけてくる。
「ありがとう!」
その歓声に気を良くして、より一層射撃を見せてみる。イリイチの弾丸は、見世物にもなるレベルで高い。
「のび太にも負ける気がしねぇな。早撃ちは負けそうだが。」
「射撃の練習に付き合ってくれないか?」
ギャラリーの1人、さっきイリイチを称賛した男が話しかけてくる。
「構わねぇぜ。」
射撃を教えるといっても、イリイチの場合は勘で撃っている節がある。それでも具体性のない浮いた説明を受けた相手は見事に命中させた。
「ナイスショット。」
「強くなるには射撃の精度もあげねぇとな。強くねぇと生徒会会長にはなれねぇ。」
「生徒会会長を目指してんの?」
「あぁ、そうだな。男なら名誉が大事だからな。」
その場の友好かと思えば、ライバルのようだ。それでも妨害する理由もないため、そこは何もする訳でもない。
「名誉ね。まぁ学園最強という名誉はすげぇよな。」
スマホが鳴る。どうもイリーナのようだ。
「あぁ、多分帰らないとまずいな。最後に名前だけ教えてくれよ。俺はイリイチ。」
「柴田公正だ。」
「柴田か。頑張れよ。応援するぜ。」
射撃場を出て、着信に出る。
「どうした。なんかあったか?」
「食べるものがなんにもない。」
そういや、食事する場所も食料も買い物用のスーパーも何も教えていなかった。
「わかった。学食に行こうか。直ぐにそっちに行く。」
移動が面倒な校舎だ。セグウェイを買うか本気で迷うような広さだ。仕方なしに歩いて向かう。
「飯、食いに行くぞ。」
学食の場所とスーパーとコンビニの場所を覚えさせ、護衛と執事バトラーを兼任できる者が必要だと感じる。
「都合のいい存在は、金で雇わないとな。」
イリーナを部屋まで送る。とはいっても、イリイチの部屋の隣ではあるが。執事バトラーがいるのなら、部屋は少し狭すぎる。学園の近くの家を買うために少し調べ物をするのであった。
「結構するな。土地代家代含めて1億円弱。維持費も考えると…。まぁこういう時のための貯金だ。パァーっと使ってしまおう。」
テストまでもう一日を切った。明日の12時からスタートである。既に寝る準備はしてある。そのまま寝てしまうのであった。
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