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覇権争い

学園東京本校より。

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「防衛線を引き直せ!!教室ひとつひとつの奪い合いだ!畜生がァ!」
本校は混乱状態だった。空間移動系超能力者が横浜及び第2校連合軍に紛れ込んでいた。本校の防衛体制は万全だと安心して眠っていた高等部主力生徒は叩き起され、直ちに防衛戦を始めていた。
「超能力者だって人間だ。本校の連中がタカをくくっていたんだろうな?こっちの勝ちはあちらさんの王将、アーサーの首を持ってくること。あちらさんの勝ちはこっちの王将、いや、クイーンの首を持って帰ること。しかしだ!アーサーもこっちの女神も、単体の超能力者として強力だ!それに最短を通ればその分厄介な連中がいることは理解している。それでも…!」
様々な所に空間移動系超能力者を利用して超能力者を湧かせる。第2校ネットワークを通じて彼らに指示を行う学園横浜、学園東京第2校のたちは、戦線の過剰拡大は各個撃破の可能性を産むことを理解している。最終的な目的地は学園東京本校生徒会本部生徒会会長室だ。
「あのイギリス人、ちゃんと会長室で座ってやがる…。肝が据わってるのか、それともただ阿呆なだけか。それともなくては…。」
ただ広い会長室の最奥に置かれた席に不敵な笑みを浮かべながら座しているアーサーと阿部。まるで負けることを想定していないかのようだ。
「会長。ヤツらは意外と本校に侵入してますな。全く、ネットワークで負けてますわ。あちらには少しやり手なハッカーがいるようですな。」
アーサーは不敵な笑みを浮かべたまま、彼の性分でもあるハッキングに手をつける。
「そうだねぇ。あのオタク野郎リーコンが頑張っているようだ。だがな、だが、あいつには思い出して貰った方がいいな。てめぇにこの技術を教えてやったのは誰かをな!」
口調が変わる。リーコンが組んだ妨害プログラムを再妨害するためにコードを入れ始めた。鮮やかな手つきで組み終わると、会長室に仕掛けてあった学園東京第2校による盗撮カメラに指で銃の形を作り、撃つような動きをした。
「…お前らさ。勝った気でいたろ?油断してたろ?本校による支配を終わらせて、他の学園に英雄として凱旋するとか夢見てたろ?舐めすぎなんだよ。何もかもをよ。全部手前らの思い通りに行くわけねぇだろ?」
その瞬間だった。本校に潜り込んだ第2校と横浜の生徒と完全に音通不信になる。それからまもなく、第2校全体のネットワークが遮断された。
「…やられた!!あのイギリス人は全て分かっていて…!」
復旧が困難を極めるという報告と共に、第2校はかつてない危機に襲われた。そして、この闘いに戦力を注いでいる横浜も。
「あの自信に溢れた面が悲痛なものに変わるのが楽しみだわぁ…。」
「あの自信に溢れた面が恋破れて哀れにもさ迷う少女に戻るのが楽しみだ。」
欲望に満ち溢れた覇権争いグレート・ゲーム。学園横浜及び学園東京第2校対学園東京本校。事態は動きを見せ始めている。
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