田舎の町興しにダンジョン民宿を提案された件

マルルン

文字の大きさ
31 / 128
1年目の春~夏の件

探索者支援協会が日馬桜町にやって来る件

しおりを挟む


 来栖家チームが、日馬桜ひまさくら町の“駅前ダンジョン”の間引きを無事に終えて1週間。5月も下旬を迎え、気候も過ごしやすくなって来た。
 畑と田んぼは順調、何しろ例年より人手が増えているのが大きい。香多奈は相変わらず小学校に行けてないが、6月から復帰する予定で担任とは話を付けている。

 それを受けて、本人はやっぱり安堵した様子……いつもの暮らしに戻れると言う報告は、精神的にも良い反応を与えてくれそう。
 家での勉強も、それなりに楽しんでいた香多奈ではあったモノの。やはり同年代の友達と、再び一緒に勉強したり遊んだり出来るのは楽しみな様子。

 良かったなと保護者の護人も思う、色々と考える事は多いけどこれで心の荷も1つ降りた。その中の1つに、探索者の活動と言う問題がデンと居座っているのも事実。
 それに関連した知らせが、丁度その頃に来栖家へと届いた。つまりは護人のスマホに、午前中の割と早い時間に着信があったのだ。

 それは地元にようやくの事、『協会』が出来るとの自治会長からの報告だった。そのスタッフと顔合わせをしたいから、時間を取れないかとのお伺い。
 聞けばどうも、3月に研修に来てくれた人物が支部長に就任するらしい。そして設立場所は、集会所の割と近くだとの事。

 つまりは町の中心部で、便利だがまぁ山の上の来栖家にはあまり関係無い。聞けば、スタッフは既に町に入っており、色々と事務の開設作業をこなしているそうだ。
 魔石やポーション類の買い取りも、既に臨時で始まっているとの事で。それを隣で聞いていた子供たちは大興奮、今から皆で行こうよとせっついて来る。

 別に構わないが、全員で向かうと色々と迷惑な気もする護人。何しろ普段から騒がしい子供達である、そういう意味でちょっと気が引けてしまう。
 それでも自治会長からは、皆でおいでとの言質を受け取った。それじゃあ早速向かおうよと、せっかちに出発準備を始める子供たち。

 その表情は、何が幾らで売れるかなととっても楽しそう。それは良いけど、全員で行くならハスキー達も3匹とも連れて行く事になる。
 何しろ護衛犬なのだ、行動は一緒との決め事を破るのはよろしくない。そんな訳で、一番大きなキャンピングカーで向かう事に。

「キャンピングカーで行くんだって、ミケさんも来る? ダンジョンじゃなくて、そこで回収したモノを売りに行くだけなんだけどねっ。
 儲かったら、商店に寄っていりこの袋買ってあげるよっ?」
「ミケは無反応みたいね、お留守番してるだってさ。お土産だけ買って帰る事にしよう、いつも探索の手伝いを頑張ってくれてるもんね。
 ミケにも報酬の分配、ちゃんと受け取って貰わなくちゃ」

 確かに姫香の言う通りだと、変な所で盛り上がりを見せる子供たち。そんな事をしている内にも、家族で出掛ける準備は完了した。
 そしていざ出発と言う際になって、何故か妖精ちゃんも付いて来る事態に。香多奈のお出掛けでも、学校にはついて行かない良心を持っていた筈なのに。

 今回は何か面白そうだと、好奇心が勝った様子。まぁ、多少は珍しがられるけど今更かと、護人も諦めモードでそれを了承する。
 大人しく運転手を務めて、向かうは『探索者支援協会』設立予定地である。そこは集会所と同じ敷地内で、元は不定期で子供園っぽい施設に使われていた建物だった。

 それが少子化のあおりか、稼働率は低かったが今も遊具はポツポツ散見される。それを見付けた香多奈が、コロ助と遊び始める一幕も。
 それは特に問題は無いのだが、施設内には額に汗して働く人々が。どうやら業者や自治会のメンバーも手伝っているようで、合計7名が作業中だった。

 その中には峰岸みねぎしもいて、こちらを見付けて挨拶して来る。そして引き合わされたのは、3月に講習会に立ち会っていた大男だった。
 確か名前を仁志にしと言って、今度からこの協会の支部長になるとの事。挨拶と共に名刺を渡され、護人も名刺を渡し返す。

 それを見て、何故か隣の姫香は得意顔。仁志の隣にも女性が控えていて、この人も3月に付きっていたスタッフに間違いない。
 もう1人ほど事務員を含む、3名で今後この支部は回して行くらしい。ハッキリ言って、スタッフ3名常駐は田舎にしては凄い力の入れようである。

 実は支部の最低人数なのかも知れないが、そこは考えたら負けな気も。そして仁志支部長は、やはり元は探索者の出身だったらしい。
 そんな人物と、今後ともどうぞよろしくと当たり障りのない挨拶を交わし合う。すると、外で遊ぶのに飽きた香多奈が妖精ちゃんと乱入して来た。
 そして始まる、案の定の混沌のうたげ

「わっ、なっ……何ですか、その飛翔生物はっ!? ってか本当に生き物ですか、まるで物語に出て来る妖精に見えるんですがっ!?」
「えっ、妖精ちゃんだよ……?」

 急にテンション高く食い付いて来たのは、支店長の仁志ではなくもう1人の小柄な女性の事務員だった。名前を能見のうみと言うらしく、支店長によると優秀なサポート員らしい。
 凄く珍しがられる妖精ちゃんだが、確かに家族以外の者が見たらそうなのかも。いわゆる座敷童的な、見れたらラッキーな存在なのかも知れない。

 ちなみに、この支部の3人目はかなりのオジサンで、事務員として雇われた人らしく。この騒ぎにも泰然とした表情、奥の事務用の棚の片付けの手を止めていない。
 パソコンや何やらの配線をいじっていた、外注の作業員達ですらその騒ぎには手を止めたと言うのに。そんな作業はようやく半手分程度終わって、事務所の格好はようやくついて来た感じ。


 そしてようやく、その妖精騒ぎもひと段落がついてくれた。元はクールな表情の女性社員は、取り乱して失礼しましたとこの騒ぎを取りつくろう。
 それから改めて、初めてこの『探索者支援協会』日馬桜町支部に訪れてくれた、顧客を敬意をもって歓迎すると口にする。

 それからは事務的な口調で、協会のサービスについての説明を開始した。椅子を勧められた来栖家は、2脚しかない椅子に四苦八苦して全員が位置を決める。
 結果、護人と紗良が席について若い2人はその後ろへ。

「失礼しました、まだ備品も資料も整っていない状況でして……来栖様のチームは、既に町の間引きをお手伝い頂いた実績があるとお伺いしております。
 協会は探索登録者の優遇措置はもちろん、活発に活動頂いておりますチームは特にサービス提供いたします。特に魔石やポーション類の買い取りは、支部の評価にも繋がりますので。
 是非とも頻繁なご利用、お願いいたします」
「は、はぁ……」

 熱く語る能見さん、この人も先ほど名刺を差し出してくれて名前が判明した。その視線は妖精ちゃんをずっとロックオン、どうもかなりツボってしまった様子。
 それは良いのだか、やはりここでは素材や骨董品の売買は難しいらしい。安くなら買い取るそうだが、企業やオークションに直接がより儲かる手法との話。

 そんな話の流れで、来栖家は思わぬ情報を仕入れてしまった。どうやら6月の最初の日曜日に、この日馬桜町で企業参加の青空市が開催される予定との事。
 その行事だが、他の町の支部では割と大々的に宣伝をしているらしい。販売車を出してくれる企業も、『四葉ワークス』『眞知田マチダオート広島』『不磨フマキラー薬品』と地元の大手が名を連ねているそう。

 それだけに規模も大きいそうで、それに是非ぜひとも参加をと持ち掛けられる。ついでにこの支部の探索者特典で、ブース出店も可能だとの話。
 これには子供たちも大興奮、すぐにも申し込みを申請する勢い。何を売るつもりだと、しばし護人は戸惑うモノの。最悪、野菜を売ればいいかと開き直る。

 それでは販売ブースを1つお取りしておきますねと、青空市の予約はこれにて終了。それにしても、告知に力を入れていると言っていたが、地元の人にはあまり知られていない気も。
 まぁ、企業の販売車に向こうから来て貰えるのは大助かりだ。

 何しろこちらの手間も省けるし、装備の買い足しも期待出来る。護人は子供たちに、販売ブースの出店予定に加えて、探索に欲しい物リストを作っておくようにと言い渡す。
 ブースの販売物や準備については、その辺は子供たちに丸投げに。それより欲しい物について、香多奈から意外な声が上がった。
 ペット達の装備が欲しいと、末妹の要望に能美さんもキョトンとした表情。

「えっと……実はウチのチームは、ハスキー犬が3匹と猫が1匹ほど在籍していまして。その装備をどこかの企業が扱っていないかと、そう言う相談事です。
 大事なパートナーだし、戦闘での危険は私達と同じ程度には存在しますから」
「な、なるほど……いえ、お嬢ちゃん、呼んで頂かなくても結構ですよ? あらまぁ、大きなワンちゃん達ですね。なるほど、犬と猫の装備ですか……。
 私から提示出来るのは、現状だと2通りですかね。適当な魔法の素材で自作するか、専門の業者にオーダーメイドで頼む方法です。
 まぁお金は掛かりますが、業者に頼む方が無難かも知れませんね」

 事務所の入り口に勢揃いしたハスキー軍団に、束の間驚き顔の能見さんだったけど。有能な事務員の態度は崩さず、解決法を2つ提示して来た。
 それには紗良も驚いた様子、目からウロコと言うか自作の手があったかと手を叩く。ハスキー軍団を呼び寄せた香多奈も、良かったねと犬達をモフモフしている。


 まぁ、製作は恐らく紗良や姫香が中心になるだろう。材料費が必要なら、護人が積極的に支払う所存。自作と言えば、紗良が机に置いている鞄もそう。
 これは実は麻の魔法の鞄なのだが、外見があまりにもボロッちいので。綺麗な布を使用して、サイドバック風に紗良が自作で手直しをしたのだ。

 その魔法の鞄の存在が、魔石とポーション売りの話になった際に能見さんに判明。何しろ取り出した内容物と、鞄の膨らみの差異が一目瞭然。
 相手に驚かれるのは仕方ないが、そこから様々なアドバイスに発展する。

「魔法の鞄はとても貴重で、値段も高額になるので盗難騒ぎに発展する場合も多々あります。これを獲得した探索者も、便利なので滅多に売りに出しませんし。
 協会としては、盗難防止に個人所有登録をお勧めします。自転車の登録と一緒ですね、盗難に遭った際にこれをもとに捜索出来るので、今回の機会に是非」
「なるほど、それじゃあお願いします」
「それから、魔石の取り扱いに関してですが……これも結構な魔素を含んでいますので、特別な容器に収納する事をお勧めします。
 少々高いのですが、“変質”に対する現状で精一杯の予防措置ですね」

 その小袋はサイズ感に比例すると、少々どころでなくかなり高額だった。それでもあった方が良いのは確か、護人は躊躇ためらわずに購入する。
 もっとも、魔石の売り上げが半端なく高額になったので、それで充分にまかなえた。魔石は粒サイズで300個近くあって、それだけで50万円以上に。

 ポーション5ℓで同じく5万円、そしてビー玉サイズのが1個1万円。ボス系が落としたピンポン玉サイズのが4個あって、それが1個5万円にもなった。
 それらの合計が、何と90万円以上に!

 これには子供たちも大興奮、しかも今度の青空市でも販売ブースで収入を見込める。またみんなで探索に行こうねと、この結果を受けてすっかり探索者気取りの香多奈である。
 姉の姫香も、末妹の提案には満更でも無い様子。一番の良識派の紗良でさえ、そんな末妹の言葉をたしなめる素振りも無い。

 護人も今では、既に諦めの境地……妙な思考に陥っている顧客をよそに、能見さんのプレゼンは止まるところを知らない。
 そんな彼女の、事務能力は凄く高そうで魔石とポーションの換金作業も素早かった。そして今は、探索者の優遇制度についての説明に余念が無い。

 町内での若者を集めての支援会の話とか、有名チームになればスポンサーを獲得出来る可能性についてとか。そうやって懇意になれば、直接お仕事を回して貰ったりもあるそうな。
 引退後には企業に天下りの道もひらけるそうで、探索業もそれほど悪くは無いそう。まぁ、向こうは職業柄そう言うしか無いのは理解出来る。

「探索の動画編集サービスも、こちらで行なっておりますよ。探索で忙しくて、動画編集に詳しくないチームにはご好評頂いております」

 探索業においては、E動画での配信収入も重要な要素であるみたい。協会に依頼すれば、1本の動画編集を1万円程度で行なって貰えるそうだ。
 それを聞いて乗り気な子供たち、今後はお世話になろうよと護人に持ち掛ける。

 そんな感じで、各種の説明を数十分であらかた聞き終わった。結果、いっぱしの探索者を気取り始める末妹を、姫香が軽くたしなめている。
 もちろん香多奈は、年齢が低過ぎて探索者登録はずっと先の話である。少女にとっては、家族やペットと一緒にスリルや儲けを味わうのが楽しいのだろう。
 今も儲けたお金で、犬達とミケにおやつを買わなきゃとはしゃいでいる。




 ――出掛けの約束はきっちりと果たす、意外と律儀な少女なのであった。







しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ハーレムキング

チドリ正明@不労所得発売中!!
ファンタジー
っ転生特典——ハーレムキング。  効果:対女の子特攻強制発動。誰もが目を奪われる肉体美と容姿を獲得。それなりに優れた話術を獲得。※ただし、女性を堕とすには努力が必要。  日本で事故死した大学2年生の青年(彼女いない歴=年齢)は、未練を抱えすぎたあまり神様からの転生特典として【ハーレムキング】を手に入れた。    青年は今日も女の子を口説き回る。 「ふははははっ! 君は美しい! 名前を教えてくれ!」 「変な人!」 ※2025/6/6 完結。

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

魔眼の剣士、少女を育てる為冒険者を辞めるも暴れてバズり散らかした挙句少女の高校入学で号泣する~30代剣士は世界に1人のトリプルジョブに至る~

ぐうのすけ
ファンタジー
赤目達也(アカメタツヤ)は少女を育てる為に冒険者を辞めた。 そして時が流れ少女が高校の寮に住む事になり冒険者に復帰した。 30代になった達也は更なる力を手に入れておりバズり散らかす。 カクヨムで先行投稿中 タイトル名が少し違います。 魔眼の剣士、少女を育てる為冒険者を辞めるも暴れてバズり散らかした挙句少女の高校入学で号泣する~30代剣士は黒魔法と白魔法を覚え世界にただ1人のトリプルジョブに至る~ https://kakuyomu.jp/works/16818093076031328255

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる

僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。 スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。 だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。 それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。 色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。 しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。 ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。 一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。 土曜日以外は毎日投稿してます。

自由でいたい無気力男のダンジョン生活

無職無能の自由人
ファンタジー
無気力なおっさんが適当に過ごして楽をする話です。 すごく暇な時にどうぞ。

相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~

ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。 休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。 啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。 異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。 これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。

親友と婚約者に裏切られ仕事も家も失い自暴自棄になって放置されたダンジョンで暮らしてみたら可愛らしいモンスターと快適な暮らしが待ってました

空地大乃
ファンタジー
ダンジョンが日常に溶け込んだ世界――。 平凡な会社員の風間は、身に覚えのない情報流出の責任を押しつけられ、会社をクビにされてしまう。さらに、親友だと思っていた男に婚約者を奪われ、婚約も破棄。すべてが嫌になった風間は自暴自棄のまま山へ向かい、そこで人々に見捨てられた“放置ダンジョン”を見つける。 どこか自分と重なるものを感じた風間は、そのダンジョンに住み着くことを決意。ところが奥には、愛らしいモンスターたちがひっそり暮らしていた――。思いがけず彼らに懐かれた風間は、さまざまなモンスターと共にダンジョンでのスローライフを満喫していくことになる。

処理中です...