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マルルン

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始まりの森編

ネタバレ海岸エリア2

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 猪肉の2個目ゲットと共に、念願のレベルアップがやって来た。ステータス画面を眺めると、どうやら短槍スキルも1P生えてくれた様子で何より。
 3Pに増えたスキルPは、今回は保留して貯めておく事に。短槍か投擲スキルに振り込めば、スキル技を取得は可能なんだけど。

 棍棒スキルを伸ばさないと苦戦する敵が出て来たら、それはそれで大変だ。実際、あの大蛾の大群は範囲攻撃スキル有りの棍棒で挑む予定。
 レベルアップで強くなった多少の自信と共に、再び例のポイントへ向かいつつ。それでも用心は怠らず、ポーション瓶を数か所に設置を忘れない。

 開幕はもちろん、炎の水晶玉の投げ付けからに決まっている。あんなに密集してくれているのだ、使わない理由が見当たらない。
 そして敵が寄って来たら《ブン回し》技を使って、一気に派手に数を減らして行く。おおっと、目論見もくろみ通りの良い調子じゃないか。

 初日の教訓を忘れずに、下手に調子に乗ったりはしないけど。棍棒の範囲スキルの定期的な使用で、大群はどんどんその数を減らして行く。
 そして殴る度にSPは溜まって行くと言う、何とも素敵サイクルは確かに戦闘の醍醐味だな。相変わらずの麻痺に苦労しながら、俺のアバターの快進撃は続く。

 これなら武器使いオンリーでも、不便は感じないのかな? まぁ俺が魔法剣士を目指してたのは、有利不利よりロマンを求めてだったんだけど。
 範囲攻撃の水晶玉で、その雰囲気を味わうだけで満足すべきかな。そんな事を思いつつ、たかって来た敵に再び範囲攻撃の雷の水晶玉を投げつける。

 新しく貰ったズボン装備には、一応だが小さなポッケが付いてるのだ。これがあると無いとでは大違い、初期装備のズボンには付いてなかったから尚更である。
 戦闘中に鞄からアイテムを出すと言う、この行為の難しさは前にも説明したけど。例えそれがポーションでも戦闘用の道具でも、難易度が高いのは同じ事。

 だから使うアイテムは、前もって鞄の外に出しておく必要がある。ちなみに雷の水晶玉、麻痺効果もあるみたいで使用感はグー。
 炎の水晶玉の方は、延焼効果なのか継続ダメージが付いて攻撃力だけ見ればこっちの方が上かも。そんな事を考えながら、ようやく減って来た敵影を見て一安心。

 念の為にと用意しておいた、補給ポイントは無駄に終わったようで何より。妖精が目印となってくれてるので、今度は慌てて場所を失念して探し回る心配も無い。
 残りの敵の数が片手で数えられるようになった頃、またもや嬉しいアナウンスが。何と本日2度目のレベルアップ、早い気もするが大蛾だけでも30匹以上倒している。

 これはひょっとして、連続討伐ボーナスでもあるのかな? とにかくラッキー、これでレベル6だ……と思っていたら、少し離れて観戦していたファーが何やらゼスチャーで騒いでいる。
 どうも大蛾がとまっていた、大きな樹の上を指し示しているっぽい。

 さっきチラッと見たけど、蛾のモンスターがいなくなってやっと『虹色の果実』が視認出来た。それで妖精が騒いでいるのかと思ったら、どうも違った様子。
 もっとヤバい大きな影、ってかシルエットは大蛾ですねぇ……大きさと翅の色が全然違うけど。ってか、鱗粉を喰らってこっちはいきなりダメージを喰らってますけど。

 どうやらこの大蛾はレア種レらしいが、何故にこのタイミングでっ!? 幸いにも、雑魚はほぼ倒し終えていて周囲はスッキリしている。
 HPも一応は安全圏だし、相手の大蛾はしっかりこちらをターゲットに指定している。逃げられないのなら、闘うしか選択肢は無い。

 今回も、前の大蛇戦と同じく、なし崩し的に戦闘開始となってしまった。敵はやっぱりレア種レだけあって、HPも攻撃力も高くて嫌な感じだ。
 麻痺のついでにダメージまで入る、鱗粉攻撃がたまらなくウザい。気付けばHPは半分を割っていて、俺はたまらずヘルプと補給ポイントへダイブ。

 木陰に隠れて、ポーションを口に含むいつものパターン。問題なのは、一緒に付いて来た妖精が相変わらず慌てて指差してる方向が大蛾レア種のいる位置と違う事。
 体力ゲージの回復を確認して、物凄く嫌な予感と共にそちらに目を遣ると。今度はノーマルとは色合いも大きさも違う大猪の姿が、大きな鼻息と一緒に飛び込んで来た。

 やっぱりこのパターン……俺のアバター運の良さって、本当に当てになるのか? 素敵レア種2匹を同時相手って、初なパターンに思いっ切り怯みつつ。
 それでも勝利を信じて、瞬時に作戦を脳内で練り上げて行く。幸い地形は樹木の生い茂る森の中、突進が得意なあの敵にはやや不利なのはこちらの強みか。

 そんな事を考えていたら、案の定の大猪レア種の突進技が来た。咄嗟に樹の影に入ってやり過ご……後ろから大蛾レア種の鱗粉をモロに喰らっちゃったよ!
 やはり2匹同時相手はキツい、猪は足を止めての牙のすくい上げ攻撃も存在する。こちらのHPは再び半分以下へ、何とか敵を1匹でも仕留めたいのだが。

 慌てているのは相棒の妖精も同じで、彼女が咄嗟に取ったのはさっきあげた水晶玉での援護だった。それは派手に荒ぶっていた猪レア種に命中、相手は見事にピヨって動きを止める事が出来た。
 その隙に俺は再び近くの藪の中にダイブ、強引に大蛾レア種のタゲも外す。そして作ったわずかな時間で、何とか鞄の中のポーション飲みに成功。

 ファーにはマジ感謝、そしてここから反撃の始まりである。取り敢えずは幾分か体力を減らしている大蛾の方を始末したい、そう考えつつ俺は予備武器の短槍を取り出す。
 そして藪から飛び出して、連続での短槍の投擲攻撃を敢行してやった。そんなに離れていなかったせいもあるが、幸いにも短槍は2本とも命中!

 最初のは大蛾の左はねに大穴を開けて、2本目は何と胴体に突き刺さった。俺ってひょっとして、投げ槍のセンスがあるんじゃないのか?
 などと自惚うぬぼれながら、追撃のチャンスを逃さない様にと慌てて大蛾のレア種に近寄ってみたり。向こうは完全にグロッキー状態、もはや飛ぶ事も無く地面に墜落している。

 その状態でも、一応は鱗粉飛ばしは出来る様子。それでも、動かない標的に手こずる俺では無い。近付きながら棍棒で一撃、これで何とか息の根を止められた。
 何か色々手に入れられたみたいだが、チェックする間もなく俺は次の闘いへ。



 猪のレア種は、完全にヤル気を取り戻していた……と言うか、怒気で身体が倍に膨らんで見えた。ヤバい気配は伝わって来るが、勿論もちろん逃げる訳にもいかない。
 俺は少々位置取りを工夫して、相手に対してしゃに構えることに。人間の身体の正中線は、当然だが弱点だらけでヘンにさらすのは悪手である。

 それから攻撃力のある敵を相手に、左手に盾装備も忘れない。それから右手に構える武器は、毒の付与を期待して女王蜂の短槍へとチェンジ。
 何度か武器交換をして、ちょっとだけ分かった事がある。俺が一番スキルを振ったのは『両手棍』のスキルで、片手で棍棒を振り回してもそのスキルPは反映されないのだ。

 攻撃力にやけに差があるなと思っていたが、どうやらそう言う事らしい。最初は両手で振り回す分の上乗せだと思っていたが、片手での攻撃はスキルP無し状態だったと言う。
 片手では、せっかく覚えた《ブン回し》も使えない事態も納得が行った。つまりは、盾装備時には棍棒も短槍も攻撃力に大差は無いと言う事になる。

 ただし琴音に聞いた話だと、とつと殴打とざんの効能はモンスターによって耐性が違って来るらしい。確か肉厚の獣系は、殴打には強く斬や突は苦手だった筈。
 良くは覚えていないが、幾つも武器を所有する有利点はそれ位だと言っていた気がする。何にせよ、突進して来るなら串刺しの返り討ちにしてやるだけだ。

 実際は、足を止めての太い牙と短槍での突き合い戦になってしまった。体力と攻撃力に物を言わせて、ガリガリとこちらのHPを削ろうと荒ぶる猪レア種に対して。
 こちらは必死に慣れない盾で応戦、直撃を喰らわない様に位置取りを調整しつつ敵の隙を探る。お陰で大きくHPを減じる事も無く、反撃の余裕も整って来た。

 こちらも相手を削らなければ始まらない、そんな訳で手にした短槍で反撃に掛かる。そんな感じで、余裕が出たせいで少し調子に乗っていたかも。
 2割ほど削り返した場面で、カウンターの突きを貰ってしまった。

 盾と一緒に出していた左脚の太腿に、牙で大穴を開けられてしまった。それ以上にHPが3割にまで急落、これは大変なピンチである。
 咄嗟にポーションの場所を確認しようと、周囲に視線を飛ばしてみるけど。やっぱり大慌ての妖精ファーが、コッチ来てとゼスチャーで示していた。


 そんな訳で、痛みを我慢して再び藪の中にダイブを敢行する。何故か一緒に飛び込んだ妖精が、チョーダイのポーズで何かをおねだり。
 欲しいのは丸い何からしい、それに気付いて俺は咄嗟にポッケを探る。そして再び雷の水晶玉を受け取ったファーが、猪レア種を足止めに飛んで行った。

 俺は置いてあったポーションを掴んで、左脚の傷口にブッ掛ける。これで幾分か余裕は出来たが、肝心の敵のHPはてんで削れていない現状。
 ここはパバッと、スキルPを短槍に振り込むべきだろうか? 今日は既に2つレベルが上がっているので、スキルPは割と潤沢に残っている。

 武器スキルが上がれば、通常攻撃の威力もずっと強くなる筈。考えるより今は実行だ、そんな訳で短槍スキルを1⇒4へと上昇させてみた。
 結果、新たに《落とし突き》と言う武器スキルを取得!!

 これは体重を込めて突きを下方へ見舞う技らしいが、果たして威力は如何いか程? 取り敢えずは体力は回復したし、色々と心配はあるが戦場に舞い戻ろう。
 大猪レア種は、前より更に荒ぶっていた。さもありなん……自分より小さな妖精に、散々と翻弄ほんろうされたのだ。その怒りは、全て俺に向けられてると言うね。

 飛び出した俺と少し距離があったためか、いきなりの突進技がやって来た。これを喰らう訳には行かない俺は、華麗にとは行かないが必死に身をかわす。
 そのスピン力を活かして、初めての《落とし突き》を敢行してやる。これは結構効いたみたいで、相手の体力を一気に2割ほど削る事が出来た。

 これでペースは掴んだ、敵の反撃を丁寧にブロックしながら次なる機会を窺う。そんな大猪レア種だが、体力が半減したからかしきりにショート突撃技を使うようになって来た。
 これがまた厄介で、突進前の退避行動で一度ならずこちらの攻撃をスカされてしまった。こっちも、相手のチャージをスカし返してやったけど。

 こちらも必殺技を取得したって言う、心の余裕が意外と大きい。いざとなれば、多少の傷を負っても相討ち覚悟で特攻も可能になって来る。
 さっきまでは、それが完全こちらの負け確定だったのだ。その心の余裕が視野を広げたのか、妖精がまた何やら画策しているのを視界の隅でキャッチした。

 茂みの奥に、何やら苔むした大きな岩が鎮座していて。そこに必死に、俺が野に放っていたポーション瓶を空中輸送していたのだ。
 なるほど、あの上に何とか駆け登れば、一時的にでも攻撃が届かないと言う塩梅あんばいか。大蛾レア種が消えた今なら、作戦としては素晴らしいと思う。

 それどころか、岩の上から一方的に攻撃……は難しいかな、弓矢とか使えるならまだしも。そんな事を考えている最中、ピーンとある作戦をひらめいてしまった。
 ぶっつけ本番だが、果たして上手く行くだろうか。

 妖精の準備は整ったらしく、コッチ来てと必死なゼスチャーが何とも可愛らしい。ただし俺の作戦が上手く行けば、ポーション回復より先に敵を始末出来ている計算だ。
 怒り心頭モードの大猪レア種は、こちらが背を向けて逃げ出すと、案の定牙をグッと懐に貯めてチャージモードに。さっきの内腿の大穴を思い出し、背中に冷や汗を掻く俺。

 地響きと共に、俺の倍以上の体重の物体が勢いよく突進して来た。それをタイミング良く三角ジャンプでかわせたのは、本当に僥倖ぎょうこうだった。
 大岩の丁度良い所に、足を乗せる出っ張りを咄嗟に見付けられたのが大きい。哀れな敵のレア種は、俺の下方で自滅の大音響を立てて目を回している。

 俺はジャンプの勢いを利用して、真下の大猪に向けて二度目の《落とし突き》を敢行する。体重を乗せたその必殺技は、見事に相手の皮と脂肪を突き破った。
 俺も少なくない衝突ダメージを喰らったけど、目論見通りに敵レア種はそれ以上の被害を受けた。って言うか、逆転勝ちのKO判定らしい……凄いな、重力って。

 代わりと言ってはアレだけど、何と使ってた女王蜂の短槍が壊れてしまった。耐久値が一気に減ったらしい、真っ二つに折れてしまって修繕不可能の状態に。
 まぁ、生き残れたって事で自作の武器にはひたすら感謝。




 ――それよりも、何か色々と貰えたってアナウンスがうるさいんですけど!






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