ミックスブラッドオンライン・リメイク

マルルン

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始まりの森編

朽ち果てた海賊船を見付けちゃった!

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 洞窟に潜り込んでから、既に1時間近くが経過した。そしてまだ奥があると言う事実に、我ながら戦慄しているのが今の状況である。
 だって、戻って行く時間も考慮しないと色々と不味い事態が。例えばログアウト作業は変な場所でするなと、琴音に散々に注意されているのだ。

 雑魚相手でも、ログイン&ログアウト間際の不意打ちを食らうと詰んでしまう可能性が。本当に、未だに依頼は未遂なのだろうかとちょっと悩んでしまう。
 この奥に精霊の言う“よどみ”が、果たしてあるのかが問題だ。ってか、既に洞窟の奥を徘徊はいかいするゾンビの群れを発見してるんだけどね?

 おやおや、よく見たらスケルトンの群れまでいらっしゃる……あいつ等は使える装備を色々と落とすから、なるべく数を倒したいんだよねぇ。
 欲を出す訳じゃ無いけど、多分この奥にも何か有用なモノがある気がする。仕方ない、物欲には逆らえないので慎重かつ大胆に探索を続けようか。

 ゾンビもスケルトンも、陽の差し込む場所には覿面てきめんに免疫が無い様子。思い切りひるむアクションを見せるので、これを利用しない手は無い。
 何と言うか、敵に囲まれにくくなるだけで凄く有り難い。相手の数が意外と多いので、こちらに有利な場所を提供してバランスを取っているのかも知れない。

 そんな感じで、日向ひなたを利用しての雑魚の駆除はスムーズに進んで行く。しかし、スケルトンの軽い骨の感触はともかく、ゾンビの腐った肉の感触は結構苦手かも。
 漂って来る臭いも酷いし、バーチャとは言え良く出来ている。感心している場合ではないが、感は存分に味わえているのも事実。

 この限定サーバに限っては年齢制限も無いみたいだし、大丈夫なのかと変な心配をしてしまう。まぁゾンビに限って言えば、怖いと言うより嫌って感覚が強いかな。
 生理的な嫌悪を何とか呑み込んで、俺は棍棒でひたすら敵の駆除に励む。多いと思っていた死霊の群れだが、意外と早く5分足らずでほうむり去る事が出来た。

 ちなみに今回は、さっきの休憩でちょっと思い付いた戦法を積極的に取り入れてみた。それが功を奏したのかも、ダメージ量は確かに上がっていたような気も?
 何かと尋ねられれば、称号の『猪突』の効果である。

 これには『進みながらの打突にボーナス』と言う特性が付いていて、それを実験で試してみた結果。確かに数歩進みながら殴りつけた方が、ダメージ量が数割増していた。
 これは良い事に気付けたなぁと自画自賛、今後は積極的に取り入れて行こうと思う。魔法が使えない今だからこそ、小さな創意工夫が光るとも思う次第。

 何しろ魔法の詠唱は、実はその場から動くと中断されちゃうのだ。つまりは動きながらの闘いには、魔法系は組み込めない仕様となっている。
 この精霊から受けたクエを達成すれば、再び魔法が使えるようになる可能性は高い。そしたらまた改めて、新しい戦法を考えれば良い話。

 今持っている手札の中で、編み出したこの戦法はそう言う意味では体に良く馴染む。せめてこの洞窟内では、積極的に活用して行こうと思う。
 攻撃ダメージ増量は、実は戦闘時間の短縮にも繋がる。つまりはこちらも怪我を受ける機会が減るので、体力面でも嬉しい事だったりする訳だ。

 もう1つの称号の『蝶舞』についてだが、こちらも何となく効果は体感している。敵の攻撃を避ける際に、昨日より身のこなしが軽い感じがするのだ。
 気のせいかなって最初は思っていたが、どうやらこれも補正効果が乗ってるらしい。考えてみれば、武器スキルも補正スキルも、セットする数には限りがある。

 つまりは、スロットをふさがす効果を発揮する“称号”って凄く便利! 琴音ことねがそんな簡単に入手出来ないって騒いでたのも、まぁ分かる気はする。
 何故にこんな序盤で2つも俺が手に入れられたのか、それは全くもって謎ではある。まぁ、貰ったモノは有り難く使うのみ、誰にも文句など言わせるものかって感じ。

 実際に、この2つの“称号”は今後も有効的に活用するつもりでいる。文字通りに、血肉になるまで酷使する所存しょぞんなのでお付き合い願いたい。
 とにかくそんな感じで、続・海辺の洞窟の戦闘は終了の運びに。



 ……とは行かない様子、ってか更に奥の突き当りに入り江の様な場所を確認出来た。海へと続く出口は確認出来ないが、かなり薄暗いために直通の通路はふさがれて今は無いのかも。
 ならばあの船の残骸はどこから来たんだって思うが、確かに難破なんぱ船はそこにあった。そんなに大きくは無い船体が、見事に朽ちて半分以上海に沈んでいる。

 ボロボロの帆を確認するに、どうやら海賊船のなれの果てらしい。それにしても、海面をこんな近くで見るのはこのゲームでは初めてかも知れないな。
 ただし、そこに配置されている敵は、洞窟の入り口付近で戦った飛び魚やイソギンチャクでは無かった。さっきも熾烈に殴り合った、ゾンビやスケルトン達である。

 それが結構な数いて、数えるとさっき戦った連中の倍はいそう。いやまぁ、壁の隙間から陽の差し込む場所もあるから、動きはにぶいだろうけれど。
 奴らが手にするのは、サーベルやもりの様な形状の槍持ちが多い。さっき相手した死霊たちとは、明らかにグレードが上がってる気がする。

 何より異質なのは、難破船の近くに造られた骨で出来た椅子だった。髑髏どくろまとったその玉座、座っているのはボロボロの海賊ハットをかぶったレア種である。
 ちょっと待て、いやまぁ洞窟の最終戦には相応しいとは思うけどさ。

 ここまで来て、今日一番の強敵ですか……う~ん、時間的にも体力的にも厳しいなぁ。でもやるしか無いのなら、覚悟を決めて戦いに挑もうか。
 ファーもヤル気で、そのテンションは見ていて面白い。余分な水晶玉を彼女に持てるだけ渡して、遠慮はいらないぜと追加の言葉も掛けておくのも忘れない。

 それから束の間の、俺の脳内作戦会議……さて、コイツ等を効率的に倒す方法はどこにある? ってか、ほんの数歩近づいただけで、敵の半数が反応してしまった。
 レア種の海賊船長も同じく、禍々まがまがしい黒いオーラをまといつつ玉座から立ち上がってくる有り様。作戦を立てる暇もなく、なし崩しに戦端の幕は切って落とされた。

 こちらは手下の間引きからしたいんだけど、それまで待って貰えませんかね? などと、こちらの思惑は残念ながら相手の死霊軍には全く通じず残念な限り。
 とにかくまとまっている連中がいれば、雷の水晶玉を積極的に放り込んでやる。派手に戦闘スタートだ、そして陽の射すエリアは有効活用する。

 もちろん当然だ、こっちの軍勢の人数を数えてみると良い。俺、そしてちっちゃな妖精が1匹だぞ! 敵は数えるまでも無く、余裕で2ダース近くいるのだ。
 密集した敵には《ブン回し》を積極的に使いつつ、ファーの水晶玉の援護も有り難い。コイツ等に特に効きそうな炎の水晶玉は、残念ながら手元にあと1個しかない。

 なので、ボスのレア種が群れに突っ込んで来たら、思い切りブチかましてやるつもり。そのレア種の『海賊船長』だが、こいつもやはりサーベル持ちだった。
 改めて確認すると、コイツはスタンダードなゾンビがベースっぽい。後の特徴と言えば、体格が良いのと風化した海賊帽をかぶっている位だろうか。

 着ている服も、元は結構豪華だったのかも知れない。ただし今やその面影も無く、原形を想像するのも骨が折れる感じ……おっと、また1体骸骨の骨を折ってやったぜ。
 洒落を言っている間に、手下の数はようやく半減かな。


 日向ひなたの場所を上手く活用しているお蔭で、こちらに目立った被害は無い。1度だけ、安全策でポーションパウダーを使ったくらいか。
 初めて使ってみたが確かに優秀だなぁ、パウダー系の薬品って。ちなみに戦闘を吹っ掛ける前に、これらの薬品はズボンのポッケにあるだけ突っ込んである。

 しかも瓶入りのポーションも、念のために潜んでいた場所に何本か置いてある。いざとなった場合には、そこまで全力で逃げて行く予定。
 さてさて、そろそろレア種の船長ゾンビが近付いて……うおっ、弓矢の攻撃が飛んで来たっ!? 何と沈没船の甲板にも、手下ゾンビが潜んでいた模様。

 それを見事に肩口に喰らって、俺は一転ピンチの状況に。ってか、今相手しているゾンビも、船長に負けずに体格が良い気がするんですけど。
 肉付きが凄く良くて、それがピンクや緑色に腐っ……いやいや、詳細を語るのは色々と不味いか。仕方ないので切り札を切るか、少々早い気もするけど。

 えーい、ままよ……ってな感じで炎の水晶玉の投下である。燃え崩れよ不浄のよどみ達よ! って程の燃焼力も無く、それでもそれなりのダメージを与えた様子。
 海賊船長は明らかに怯んでくれたし、肉付きの良い手下は見事焼け落ちて灰に……おっと、何か装備品をドロップしてくれた様子。

 それは後のお楽しみに確認するとして、ちょっと船長とは距離を置きたいかも。それよりも、遠方からの弓矢使いが本気でウザい!
 難破船の高台から撃ち込んで来るので、射線を切れるスペースが無いのが痛い。そして弓の攻撃力も、それなりに高くて当たるととっても痛い。

 弓って強いな、あわや2桁のダメージで体力の2割を一気に持って行かれてしまう。続けて喰らうと、反撃も出来ずに頓死とんししてしまう可能性も。
 ここは一気に駆け寄って弓持ちゾンビから倒すべきか。ファーが気を利かせて、雷の水晶玉を死霊の群れの中心に投入してくれた。
 ここは相手が痺れて出来た隙に、一気に難破船に向けてダッシュ。

 途中に放たれた矢弾は、辛うじて避ける事に成功した。相手のモーションに集中していれば、飛び道具も意外と見切る事が出来るんだなぁ。
 などと感心していると、後方に潜んでいたスケルトンに横入りされた。まだいたのかと言う驚きと、目論見を邪魔された苛立ちが巻き起こる中。
 更なる増援が、壊れた船の影からワラワラとあふれ出て来た。




 ――敢えて言おう、奴らは軒並みゾンビ&スケルトンだった。






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