ミックスブラッドオンライン・リメイク

マルルン

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始まりの森編

海賊の財宝見付けちゃった!

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 最悪な事に、その中に別の弓持ちゾンビが1体混ざっていた。遠距離攻撃はもうコリゴリ、何とか先に倒してしまいたいのだけれど。
 取り敢えずはファーの作戦を踏襲とうしゅうして、集団に向けて雷の水晶玉を使用しての時間稼ぎと範囲ダメージ。残りの個数を気にしている場合では無い、ってか確実にもう残り少ないが仕方がない。

 炎の水晶玉に限っては、もう既に切らしてしまっているのは確定済み。難破船は見事に傾いていて、壊れた船体の残骸で甲板まで坂道が出来ていた。
 それを伝って、何とか厄介なスナイパーゾンビに接敵出来た。一度接近間際に矢弾を喰らったけど、そんな些細ささいな事はどうでも良い。

 お釣りが来るくらいの好条件、この間合いとチャンスを逃すと敵の集団に挟まれて大変な事に。そんなあせりと憎しみを込めて、棍棒の一撃を喰らわせる。
 相手は武器チェンジに、弓矢を捨ててナイフを取り出そうとしていた。その隙を見逃す俺では無い、と言うか待ってやるほどお人好しでは無い。

 そして結局スナイパーゾンビは、持ち替えたナイフを振るう暇も無く没。ホッと息を継いだのも束の間、ワラワラとなんだか賑やかな集団が追い掛けて来た。
 その中心には、それと分かる程に特異なレア種の海賊船長の姿が。そいつは荒ぶって、指揮を執ると言うか部下たちをこちらにけしかけて来ている。

 そんな訳で、嫌々ながらも難破した船上での第2ラウンド戦闘の開始である。ボロボロに破れた海賊旗が、吹き込んで来る潮風で不気味にはためいている。
 そして俺の集中をぐように、甲板の端に宝箱の設置を確認。しかも3つもあるじゃないか、否応無くテンションが上がるんですけどっ!?

 ファーが最後の水晶玉を、固まっていた集団に向けて投下した。派手に閃光が飛び散って、雷の麻痺効果を受けた連中が残骸の通路の上でたたらを踏む。
 それを見逃さず、集団の先頭のゾンビに取り出した木の槍と手斧を続けて投擲してやる。狙い違わず、続けざまに2体の敵がこちらに接敵する前に脱落。

 おやっ、また何か珍しい装備品の入手のログが脳内に響いたかな。まぁ、今はそんな事を考えている暇は無い、とにかく残り半ダース程度になった死霊海賊団を殲滅せねば。
 幸い陣取った場所は、残骸の登り口のてっぺん辺り。間口は狭いしこちらが上手うわてを取っているので、囲まれる心配も無いし《ブン回し》が凄く効果的にヒットする。

 そしてまた1匹崩れ落ちて、何だかんだで良いペース。ただし、生き残った弓持ちゾンビと、レア種の海賊船長のコンボは本気で辛い。
 ダメージの入っていない敵はいないけど、こちらもHPは安全地帯と危険領域を行ったり来たり。パウダー型のポーションは、ポッケの中に残りわずかな感じ。

 依然として魔法は使えないので、回復手段は薬品頼りしか手は無い……まぁ、死霊相手に闇のHP吸引魔法は効果が無い気もするな。
 そんな感じで焦りは無いが、向こうが大技を放って来たらピンチかも。特に海賊船長が残ってるので、有利な場所取りは出来ていても油断は未だに出来ない状況。
 ってか、残り時間はどうなっているんだ?

 確認する暇は無いので、とにかく戦闘を早めに終わらせるのが唯一の手段には違いない。そんな横道にれた思考を巡らせていたら、海賊船長のハイパー化が来た。
 今までの強敵にも、体力が残り少なくなると大暴れする敵は確かにいた。だけどコイツの大暴れは、まさに桁違いと言うか周囲の手下にも被害が及ぶ程。

 手にしたサーベルを、狭くて足場の悪い場所で高速で振り回している。負のオーラを撒き散らして、目の前の俺しか目に入っていない様子。
 こちらも対応に大わらわ……ってか、側に控えていた手下が巻き込まれて足場を踏み外して落下してますけど? 頭に血がのぼると、本当にろくな目に遭わない良い例だ。

 などと冷静に楽観視していたこちらにも、大変なアクシデントが発生。レア種海賊のサーベル攻撃を受けた俺の持ち武器、棍棒が嫌な音を立てて真っ2つに!
 ちょっと待って、まさかこんな激しい戦闘の途中でメイン武器を失うとかアリ!? 更なる大振りの横ぎを、俺は慌ててしゃがんでやり過ごす。

 その後の撃ち降ろし攻撃が、危うく頭をかち割られそうな勢いで眼前を通り過ぎて行く。慌てて退避行動を取った、こちらの姿勢も良くなかった。
 別に坂の頂上に陣取っていた事実を、すっぽり忘れていた訳ではないのだが。うっかり足を滑らせた体勢で、相手の懐に飛び込んだら勢いがつき過ぎてしまった。

 その勢いのまま、俺と敵の集団はバランスを崩す破目におちいった。足場のふちっぺりから真っ逆様さかさままぬがれたけど、坂道を一緒に転げ落ちるボーリングの球状態。
 頭の中では、ピンが次々に倒れる音が見事に木霊こだまする。

 まさにそんな感じで、俺達は坂の頂上から甲板への登り口まで一蓮托生いちれんたくしょうで駆け抜けた。離れた場所で攻撃を仕掛けていた、弓持ちゾンビを巻き込めたのは唯一ストライクと叫べるポイントだろうか。
 そんな軽口も叩けない程に、警告アラーム音と視界の赤く染まった状態は笑えない。これは不味いとポッケに手を遣ろうとしても、何かがかぶさっているのか両手が動かせない。

 いや、その正体は十中八九敵ゾンビの身体なんだろうけどね。ゾンビや骸骨とくんずほぐれつなんて、まさに冗談じゃないと飛び起きたいのだが。
 受けたメージのせいか、身体に力が入らないのだから何と言うか仕方が無い。そんな俺の視界に、飛翔するかすかな光輪が近付いて来た。


 ファーだった、文字通り敵の群がる危険地帯に、彼女は何の恐れも無く飛び込んで来てくれた。そして俺の目の前で背中を向けて、必死に羽根を振るわせている。
 妖精の放つ鱗粉りんぷんは、質量を備えて光り輝いていた。それが雪の様に降り注いで、俺の皮膚に触れるとゆっくりと溶けて行く。

 いや、これはヒーリングの効果が乗っかっているのか? それを知らせるように、次第に危険を知らせるアラーム音と赤い視界が正常に戻って行く。
 ステータスを確認すると、実際に回復したのはほんの2割程度らしかった。それでも有り難い、今まで確実にHPは1桁のレッドゾーンにあったのだから。

 防御の弱いスケルトン勢は、団体ボーリング走行で壊滅してしまったみたいだ。こちらが身を震わせると、光となって分解して消え去ってしまった。
 残りはレア種の海賊船長と、手下のゾンビが1体のみ!

 恐らくは、ファーが必死に運んで来てくれたのだろう。入り江の洞窟奥に置いてあったふた空きポーションが、意外とすぐ近くに置いてあった。
 ファーに指し示されるままに、俺はそれに飛びついて一気に飲み干す。これでHPにかなり余裕が出来た、そして改めてファーにお礼を言う時間も取れて何より。

 ガッツポーズで応える相棒は、何とも可愛くて頼もしい。さてそれじゃ残った敵を片付けようか……って構えた俺の、手の中には武器が1つも無いっ!
 慌てて近くを窺うと、投擲で見事役目を終えた石斧が近くに転がっていた。駆け寄ってそれを拾い上げ、そのままの勢いで手下ゾンビAの脳天に打撃をお見舞いする。

 虫の息の雑魚ゾンビは、それで呆気無く昇天してくれた。そしてようやくタイマンに持ち込めた、手下を全て失った海賊船長がこちらに襲い掛かって来る。
 ただしその手には、あの凶悪な威力を誇っていたサーベルは無い。転落の衝撃で落としたのか、はたまた壊れてしまったのかは不明なまま。

 これは完全に、複数武器を操る俺に勝利の女神が微笑んだパターンか。ナイスゲームと敬意を表し、単身向かって来るレア種に止めを刺して死霊軍は全て没の結果に。
 長かった入り江の闘いは、こうして幕を閉じたのだった。結局一体、俺はこの場で何匹の敵を倒したのだろうか。あっと、やっぱりレベルが上がってるみたい、これでレベル8となった。
 今日だけで4つも上がるとか、何気に凄くない?



 水晶玉は使い切ったけど、報酬は充分で元が取れたとは謙遜けんそんし過ぎだろう。宝箱3つ分に加えて、レア種撃破報酬と手下の武器ドロップなどなど。
 一気に貰い過ぎて、何て言うかプチパニック状態で嬉しい悲鳴が止まらない。それだけ激しい戦いだった、いやこれも依頼の一環だったのかも知れない。

 まずはレア種とレベルアップで、スキルPが2+4の6Pも一気に増えた。確かに奴は強かったし、手下も多かったので海賊船長の4Pは妥当な線かなとも思う。
 ついでに、手下の武器ドロップが何か凄くて有り難い。

 ――海賊のサーベル 耐久8、攻+9
 ――海賊の長槍 耐久8、攻+12
 ――海賊の大斧 耐久9、攻+14

 いやいや、スキルを振ってる武器は出なかったけど、それでも使ってみたくなる性能である。両手武器の長槍と大斧は、凄まじい攻撃力には違いない。
 他には闇の水晶の欠片とか、古銭とか錆びれた装備類だとか。使い物にならないモノに関しては、もうここに置いて行く事には決めてある。
 何しろ、3つあった宝箱の中身と来たら……。

 おっと、その前にレア種の海賊船長のドロップを報告しておこうか。こちらは普通に『闇の術書』と『闇の水晶玉』×4、お金が5000モネーに魔石(小)と言うスタンダードなモノ。
 更に加えて当たりの装備だけど、何とベルトとマントと2部位も出た。人型のモンスターって美味しいのかな、コボルトやゾンビだけ見てるとそう思ってしまう。
 とにかくこれらも、かなり性能は良くて嬉しい限り。

 ――革の幅広ベルト 耐久7、防+5、ポーチ×4
 ――海賊のマント 耐久8、防+7、敵対心+2、魅力-2

 装備欄の空いてるスペースが埋まっただけでも嬉しいのに、上々の性能である。後で確認するとして、次は宝箱の中身……いやいや、これこそ後で確認する大量レベル。
 うん、スクショで撮影して現実世界で琴音にでも鑑定して貰おうかな? このゲーム、アイテムを眺めると一応簡単な説明文が浮き出て来るのだ。

 そんな事している時間が勿体無い程、入ってる品物が大量過ぎて困ってしまう。そんなこんなで1人悦にひたっていると、妖精のファーが物凄い勢いで肩に乗って来た。
 それから、入って来た方向を必死に指差して何かを訴えている。新たに敵でも湧いたかと慌てる俺だけど、そんな影はどこにも見当たらず。
 ビビらせないでくれ、こっちは激戦の後なんだよ……。




 ――って、残り時間はっ?






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