二人の願い

映研小説部

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白井純恋視点

第一話

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私は、白井純恋しらいすみれ
元はこの学校の生徒で、今はもう死んじゃって、幽霊としてこの学校にいる。
どうして学校にいるのかというと、私もよくわかってないけど、多分、学校に行きたいと思いながら死んじゃったからだと思う。
それからもう一つ、単純にここから出られないから。
学校から出られない理由も、多分、同じだと思う。
もう二年間くらいここにいるけど、私のことが見える人や、私の声が聞こえる人に出会ったことが無い。
ある男の子に会うまでは。

その日、私はいつも通り、学校の中を彷徨っていると、屋上に行こうとしている男の子を見つけた。
その男の子は、とても暗い顔をしていて、それでも、何かを決めたような感じがして、私は直感的に、あ、死のうとしてるんだ…と思った。
そう思った時、私はその男の子に「ま、待って!」声をかけていた。
そんなことしても、どうせ聞こえないから意味ない、そんなことを考えようとした時、その男の子は、驚いた顔をしながら私の方を見た。
私は、自分の声が届いたことに驚いて、とっさに言葉が出なかった。
「あ…えっと、ちょっと話したいなって思って…」
本当に聞こえていたのか、それを確かめるように、私は言葉をひねり出した。
その男の子には私の声聞こえていて、姿も見えているようだった。
「僕と?」
その男の子は、ちゃんと私の方を見て、私に向かって話していた。
私が頷くと、その男の子は
「いいけど…僕と話しても楽しくないよ」
と、自嘲気味に答えてくれた。
「やった、それじゃあこっちに来て」
私は、階段の前にある、少し広くなっている所のベンチのような所に座って、横に来るよう、その男の子に合図する。
「私は白井純恋、貴方は?」
草凪旬くさなぎしゅん…」
「旬君か~、良い名前だね」
「そうかな…僕はそうでもないと…思うけど…」
「良い名前だと思うけどな~」
ちゃんと喋ってくれてるのが嬉しくて、多分すごく馴れ馴れしくしちゃったと思う。
「旬君の好きなものって何?」
旬君は少し考えて
「…あんまり思いつかないけど…」
と、答えた。
「そうなの?私はお粥が好き、体が弱かったから、よく熱とか出したりしてたの、そのたびにお母さんが作ってくれたんだ」
「そうなんだ、いいね、優しい母親がいて」
と、旬君は本当に羨ましそうに言った。
「旬君のお母さんはどんな人?」
「僕の母親は…あんまり良い人じゃなかったよ、僕のことなんてどうでもいいんじゃないかな」
「そんなことないと思うけど…」
「もういい?」
旬君は少し疲れたような感じだったと思う。
でも、私はもっと話したくて「まだ全然喋ってないじゃん」と、相手のことを考えずに話を続けてしまった。
「ねぇ、旬君は夢とかあるの?」
「夢…?夢なんてないよ」
それでも、こんな感じでお喋りに付き合ってくれる旬君は優しいなと思う。
「それじゃあ、やりたいことは?」
「何もないよ」
「え~、じゃあさ、今考えようよ、今」
「今?何を?」
「やりたいこと」
「えぇ…ん~…」
旬君が考えている間、私は私のやりたかったことを言っていった。
「私はもっと思いっきり遊びたいな、それから、友達と授業受けたり、授業中に喋って注意されたり…」
こんな感じのことを言ってたたら、旬君に
「なら、すればいいじゃん、僕には友達なんていないし、遊ぶ相手もいないけど、白井さんにはいるでしょ」
そう言われた。
そうだった。
旬君が自然に話してくれるから、忘れてたけど、私…もう死んでるんだった。
「…そうだよね、こんなの普通にできるよね」
それを思い出した時、とても悲しくなったけど、それより今はお喋りがしたかったから
「さ、それより、旬君のやりたいことは決まった?」
と、強引に話をかえた。
「…友達を作りたい」
その言葉を聞いて、私は自然と
「ならさ、友達になろ?」
そう言っていた。
「え?」
「だから、友達」
「誰と?」
「私以外にいないじゃん」
「ありがとう、でも…いいよ、無理しなくて」
「無理なんてしてないって」
そう言っていると、先生がきて
「なんだ、まだ残ってたのか、用が無いなら、暗くなる前に帰れよ」
注意された。
もちろん、私は見えてないから旬君だけだけど。
「あ、はい…」
先生にそう言って、旬君は立ち上がった。
「僕は、もう帰るよ」
そう言って、下り階段の方へ歩いて行く。
「…うん、また明日ね」
この言葉は聞こえて無かったのか、それとも聞こえていたけど無視したのか、特に反応することも無く、旬君は帰って行った。
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