転生した俺は身バレしたくない〜ニ鬼を追うもの〜

海月ウミヅキ

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はじまり

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歩き出してすぐ、ロワンに町へ連れてきてくれた事、冒険者に誘ってくれた事、身分証の事、思い出す限りのすべての事に感謝を告げ、お礼に何でも食べたい物をあげる。と約束をした。

そして朝ごはん食べない?と言う俺の提案に、アルドが嬉しそうに、もう少し行った所にちょうど良い場所があるからそこで食おう!と、それはもうウキウキとした足取りで、なだらかな道を3人で歩く
車が一台通れそうなこの道は、左に鬱蒼と茂った森、右には見渡す限りの草原といった緑で囲まれている

澄んだ空気と、穏やかな風を感じながらアルドの後ろを歩き、これから向かうダンジョン都市に想いを馳せた。
どんなタイプのダンジョンだろうか…
定番系?モンスターからドロップ品はある?何階層?転移とかできる?
楽しみだなあ…2人にどんなダンジョンか聞こうか迷ったが、楽しみは置いておこう。
とりあえずダンジョンに行く前に、装備を整えたい!次こそ魔石を売ろう…
そして弱いモンスターくらい1人で倒せる様になろう…!そうしたら素材とか色々売ったりして、自由に出来るお金も増えるはずだから……



「着いたぞ」


え?ダンジョン??

…そんな訳はない。朝ごはんを食べる場所だ。
道沿いに鬱蒼と茂っていた森の一部が伐採されていて、小さな空き地となっている
休憩所目的で伐採されたのだろうか?切り出した丸太が並べられていて、ゆっくり座れそうだ

丸太に座ったアルドに早くしろ、と急かされてステータス画面を開き思い出す。
あれ?ロワンにランクアップした事言ってない?


「ロワン、昨日スキルがランクアップしたんだ。買える物変わったから一緒に見ない?」
「スキルが…ランクアップ?」

訝しげな顔をしたロワンが俺の横へと腰を下ろす。


「うん!何か突然ランクアップして……
あ!でもあの、スキル変更の宝玉?のせいでロワンには見えないかな?」

「いえ、あの宝玉は魔物には効果がありませんので大丈夫ですよ」


魔物に効果が現れないという事は、アルドも見ることが出来るのか…。
一緒に旅をする中だし、2人に見えるのは有難い
ロワンが画面を覗き込んだのを確認して、コンビニの商品画面を開いた。
画面に広がるのは、新商品の数々。全て画像付き
ノギノ商店とは違って、左上にメニュー画面があり、ジャンルごとに分けられている。とても親切で使い勝手抜群だ…


「ふむ…これがランクアップですか…
品数がすごいですね…」


だよね!ノギノ商店と比べると凄い違いだよね!昨夜色々見たけど、俺もまだ全部は確認出来ていない。


「どんな物が食べたいとかある?」
「俺は肉と米」


ロワンへの問いに食い気味でアルドが答える
昨日ハンバーグ弁当を食べてからというもの、アルドは米の虜だ。この世界ではアルドが知る限り米は無いそうで、最初怪訝な顔で口へと運んでいたが、二口目にはもう、スプーンに限界まで盛った米を口へと詰め込んでいた。
それからはもう、米、米、そして肉

まあ、美味しいから分かるけどね、その気持ち


「私は出来ればあっさりとした、軽めのものを…」


肉、米と騒ぐアルドを蔑視したロワンが、俺には眉を下げて笑う
うん、わかる。今から歩くし…まだ朝だし、あっさりサッパリいきたいよね!俺もロワンと一緒
まず煩いアルドを黙らせる為に、生姜焼き弁当を5つ、アルドの前へと並べた。箸が使えないからスプーンとフォークを添える

次に、あっさりした物……俺の手は自ずとサンドイッチを選択していた
いや、あっさりしてて、ロワンに凄く似合いそうでつい!あとは、紅茶とメロンパン
メロンパンは必須でしょう??
俺もロワンと同じものにしよう!

たっぷりのレタスと、トマトとたまごが挟まれたサンドイッチをロワンへと手渡し、俺も自分のサンドイッチへとかぶりついた。

シャキシャキ…あっさり!トマトのサッパリ!朝ごはんって感じがする…
サンドイッチを味わい、一息つきながら紅茶を飲む。美味しいご飯に美味しい空気、爽やかな風、視界は一面緑
こんな清々しい朝が今まであっただろうか!いやない!

サンドイッチを齧ったロワンが、瑞々しい!と目を輝かせている
アルドと違ってしっかり味わって食べてくれるし、とても美味しそうな顔するし…ロワンと食べる食事の方が美味しいな!
そして何より美しい…見てるだけで幸せな気持ちになれる美しさだ。
アルドも美形だけども、ロワンのこの神秘的な美しさには到底及ばない

俺はよっぽど、ロワンが食べる美しい姿に見惚れていたのだろう…
アルドの「見過ぎだ」という言葉で我に返り、誤魔化す様にロワンへと紅茶を勧めた。

俺に勧められるがまま、定番のストレートティーを口へと含んだロワンが目をパチクリさせたかと思うと、その後目を細め、夢を見ているかのように表情を緩め、口を開く


「これは…まるでテオ酒のような味ですね。
でもテオ酒より甘くて美味しい」
「テオ酒??」
「ええ。私が好んで飲むお酒です。お酒にはあまり強く無いので…この味が酒精無しで楽しめるとは素晴らしい」


もう一度紅茶を口に含んだロワンが、吐息を漏らし恍惚とした表情を見せる。
紅茶味のお酒か…それはとても飲みやすそうで、美味しそうだ。
この世界にも美味しいお酒はあるのか…。
アルドが持ってたあのお酒が特殊ということだろうか?そうだと良いな


それにしても一つ意外だったのは、ロワンがお酒に強く無いという事。俺の勝手な思い込みだが、ロワンが敵わない物は無いような気がしていた。
いやでも、これは…魔物の中では強く無いという意味かもしれない。だってアルドがアルドだし…


俺もロワンが好きだというテオ酒を飲んでみたいなあ…
ん?待てよ。そういえばコンビニってアルコール取り扱ってるけれど、俺は購入出来るのだろうか?年齢確認とかどうなっているんだろうか?
…物は試しだ!2人に見えない様に、自分にだけ見える方法で画面を開き、ジャンルから酒を選択して1番上にあったビールを…

購入……!

か、買える!買えちゃったよ!
これは暫く黙っておこう。アルドには絶対気付かれないようにしよう。面倒臭い事になりそうなのが目に見えている
そう決意し、そっと画面を閉じると、不思議そうな顔をしたロワンが俺の瞳を覗き込んでいた。



「…大丈夫ですか?考え事ですか?」



うっ…ロワンに知られたらアルドにバレる…ここは何としても気付かれないまま切り抜けなければ!
必死に取り繕おうと、さっきまでの会話を反復し、脳細胞を総動員させる。


「う、うん!えっとね……その、ロワンが好きなお酒、俺も今度飲んでみたいな…って」


精一杯の笑顔をロワンに向けると、朗らかにほほ笑んだロワンが「では一緒に飲みに行きましょう」と、なぜかロワンと飲みに行く約束をしてしまった事になった。
の、飲めるかなぁ。お酒の経験ほとんど無いんだけれど…
できればあまりアルコールが強く無い事を願おう!
「そん時は俺も連れてけ」って何処からか声が聞こえたような気がしたが、きっと気のせいだろう。
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