200 / 258
~螺旋凶線編 第4章~
しおりを挟む
[継承]
「き・・・貴様ッ・・・」
ゴルドはキャレットを恨めしそうに睨みつける。キャレットも血走らせた目でゴルドを睨みつける。ゴルドは口から血を流しながらも無理やり笑みを作る。
「・・・ふんッ、この程度・・・何とも・・・」
ゴルドが威勢を張った・・・その時、突如腹部に突き刺さったレイピアから赤黒い血管が伸び、体に絡まっていくと、突然異様に傷口から肥大化し始めた。ブクブクと醜く膨れ上がっていく腹にゴルドは思わず目を大きく見開く。
『何だ⁉急に腹が膨らんで⁉』
「くっ!」
ゴルドがレイピアを投げてきたキャレットの方へと顔を向ける。その際、ゴルドはキャレットの口周りに血がべっとりと付着しており、彼女の足元にバラバラに切断したエリーシャの肉片が干からびて散乱していることに気が付いた。その光景を見たゴルドの頭に、ある仮説が過った。
『まさかあのヴァンパイア・・・母親の肉片から血を吸ってッ・・・』
ゴルドが目を細めてキャレットを凝視していると、キャレットが荒い息遣いでゴルドに話しかける。
「ふん・・・如何やら感づいたようね?私が母さんの血を吸ったってことに・・・」
「ッ!母親の血を吸った・・・だから傷が治って・・・」
「残念だけど、それは違うわ。私の傷が癒えているのは母さんの血を吸ったからじゃない・・・妹が私に食べさせてくれた『黄金の葡萄』のおかげよ。」
キャレットはゆっくり瞬きをすると、哀れな者を見るかのような目で見つめ、話を続ける。
「私達ヴァンパイアは吸血した対象の能力を引き継ぐことが出来る・・・今あんたの体を犯している能力は元々母さんの能力よ。母さんの能力は己の血を植物の根のようにして相手に絡みつかせ、爆ぜさせる能力・・・」
「!」
「気づいたようね、今あんたの体に起こっている異変のこと・・・」
キャレットの言葉を受けてゴルドの顔を青ざめる。ゴルドの体の異変はどんどん広がっていき、既に首より下・・・腰より上の部分が醜く肥大化し、所々破裂し、血と膿と体液が周囲に巻き散らかされる。
「こ・・・このッ・・・」
ゴルドが残った手を動かして攻撃を仕掛けようとしたが、腕が水風船のように破裂する。そしてそれが引き金になったのか体中が一気に破裂し始める。
「く・・・苦じいッ!が・・・ハァッ!」
「・・・」
「ま・・・まだ死ねんッ!まだ・・・まだ奴らを滅ぼしていないッ!まだ・・・妻と息子を殺した奴らに復讐を果たせて・・・ガハァッ!」
ゴルドの体はもう原型を留めていない程に肥大化し、言語すらまともに発せなくなった。キャレットは右手を強く握りしめ、ゆっくりと顔の前にまで上げる。
「・・・」
「だ・・・だずげで・・・ま・・・だ・・・がだぎを・・・」
「お断りね。あんたの奥さんや息子さんなんて私には関係ないし、どうでもいいから。それよりもそんなみっともない命乞い・・・無様ね。」
「あが・・・がが・・・」
「苦しいでしょ?辛いでしょ?痛いでしょ?・・・ねぇ返事しなさいよ。」
「あばばばばば・・・」
「・・・もうまともに返事も出来なくなったようね。・・・なぁ~んか可哀そうに見えてきたわ、貴方のこと。・・・分かった、もう楽にしてあげる。でも貴方残念ね。・・・ん、何でかって?」
キャレットは握りしめていた拳を開いた。するとゴルドの肥大化した体が限界以上に膨れ、遂に炸裂した。
「だってあんたはどうせ地獄行きだし、家族には会えないと思うから。」
「げべぇあっ!」
聞くに堪えない断末魔と『ブシャアッ!』と血や膿を撒き散らしながらゴルドは爆散した。周囲に肉片が散らばり、鼻がひん曲がりそうな程強烈な匂いが風に乗って来る。その匂いを嗅いだキャレットやケストレル達は顔をしかめ、塞いだ。
「うっ・・・何て強烈な匂い・・・臭ッ・・・」
「・・・一刻も早くこの場から離れたいな・・・」
「あぁ・・・堪んねぇよ・・・匂いが服に浸み込んじまう。」
ケストレル達は強烈な匂いを発するゴルドの死体から距離を取るように古都の内側へと移動し始めた。ケストレル達がいなくなった城壁にはただ腐敗臭を放ち続けるゴルドの肉片だけが残された。
「き・・・貴様ッ・・・」
ゴルドはキャレットを恨めしそうに睨みつける。キャレットも血走らせた目でゴルドを睨みつける。ゴルドは口から血を流しながらも無理やり笑みを作る。
「・・・ふんッ、この程度・・・何とも・・・」
ゴルドが威勢を張った・・・その時、突如腹部に突き刺さったレイピアから赤黒い血管が伸び、体に絡まっていくと、突然異様に傷口から肥大化し始めた。ブクブクと醜く膨れ上がっていく腹にゴルドは思わず目を大きく見開く。
『何だ⁉急に腹が膨らんで⁉』
「くっ!」
ゴルドがレイピアを投げてきたキャレットの方へと顔を向ける。その際、ゴルドはキャレットの口周りに血がべっとりと付着しており、彼女の足元にバラバラに切断したエリーシャの肉片が干からびて散乱していることに気が付いた。その光景を見たゴルドの頭に、ある仮説が過った。
『まさかあのヴァンパイア・・・母親の肉片から血を吸ってッ・・・』
ゴルドが目を細めてキャレットを凝視していると、キャレットが荒い息遣いでゴルドに話しかける。
「ふん・・・如何やら感づいたようね?私が母さんの血を吸ったってことに・・・」
「ッ!母親の血を吸った・・・だから傷が治って・・・」
「残念だけど、それは違うわ。私の傷が癒えているのは母さんの血を吸ったからじゃない・・・妹が私に食べさせてくれた『黄金の葡萄』のおかげよ。」
キャレットはゆっくり瞬きをすると、哀れな者を見るかのような目で見つめ、話を続ける。
「私達ヴァンパイアは吸血した対象の能力を引き継ぐことが出来る・・・今あんたの体を犯している能力は元々母さんの能力よ。母さんの能力は己の血を植物の根のようにして相手に絡みつかせ、爆ぜさせる能力・・・」
「!」
「気づいたようね、今あんたの体に起こっている異変のこと・・・」
キャレットの言葉を受けてゴルドの顔を青ざめる。ゴルドの体の異変はどんどん広がっていき、既に首より下・・・腰より上の部分が醜く肥大化し、所々破裂し、血と膿と体液が周囲に巻き散らかされる。
「こ・・・このッ・・・」
ゴルドが残った手を動かして攻撃を仕掛けようとしたが、腕が水風船のように破裂する。そしてそれが引き金になったのか体中が一気に破裂し始める。
「く・・・苦じいッ!が・・・ハァッ!」
「・・・」
「ま・・・まだ死ねんッ!まだ・・・まだ奴らを滅ぼしていないッ!まだ・・・妻と息子を殺した奴らに復讐を果たせて・・・ガハァッ!」
ゴルドの体はもう原型を留めていない程に肥大化し、言語すらまともに発せなくなった。キャレットは右手を強く握りしめ、ゆっくりと顔の前にまで上げる。
「・・・」
「だ・・・だずげで・・・ま・・・だ・・・がだぎを・・・」
「お断りね。あんたの奥さんや息子さんなんて私には関係ないし、どうでもいいから。それよりもそんなみっともない命乞い・・・無様ね。」
「あが・・・がが・・・」
「苦しいでしょ?辛いでしょ?痛いでしょ?・・・ねぇ返事しなさいよ。」
「あばばばばば・・・」
「・・・もうまともに返事も出来なくなったようね。・・・なぁ~んか可哀そうに見えてきたわ、貴方のこと。・・・分かった、もう楽にしてあげる。でも貴方残念ね。・・・ん、何でかって?」
キャレットは握りしめていた拳を開いた。するとゴルドの肥大化した体が限界以上に膨れ、遂に炸裂した。
「だってあんたはどうせ地獄行きだし、家族には会えないと思うから。」
「げべぇあっ!」
聞くに堪えない断末魔と『ブシャアッ!』と血や膿を撒き散らしながらゴルドは爆散した。周囲に肉片が散らばり、鼻がひん曲がりそうな程強烈な匂いが風に乗って来る。その匂いを嗅いだキャレットやケストレル達は顔をしかめ、塞いだ。
「うっ・・・何て強烈な匂い・・・臭ッ・・・」
「・・・一刻も早くこの場から離れたいな・・・」
「あぁ・・・堪んねぇよ・・・匂いが服に浸み込んじまう。」
ケストレル達は強烈な匂いを発するゴルドの死体から距離を取るように古都の内側へと移動し始めた。ケストレル達がいなくなった城壁にはただ腐敗臭を放ち続けるゴルドの肉片だけが残された。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
356
1 / 3
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる